タイ最大の映画館が仮想通貨決済を導入

​タイ最大の映画館経営企業であるメジャー・シネプレックス(Major Cineplex)暗号資産(仮想通貨)支払いを導入するようです。これにより、同映画館にてチケットや食べ物の購入をビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)で行うことができるようになります。

暗号資産(仮想通貨)決済実現のために同社はスイスの金融デベロッパーRapidzPayと提携しており、タイのニュース出版社The Nationによると、同企業が構築したデジタル通貨決済エコシステム及びPoSシステム搭載機械を導入することで映画のチケットなどを購入できるようです。具体的には、RapidzPayの取引プラットフォームを利用し、暗号資産(仮想通貨)ホルダーがRapidzPayのウォレットに入金した通貨を企業側が確認することで取引が成立するようになります。

世界的経済誌フォーブス(Forbes)によると、メジャー・シネプレックスはタイ全国で678台ものスクリーンを所有しており、2020年までにスクリーン数を1000台にまで増やす予定を立てているようです。そしてメジャー・シネプレックスの創立者であるVicha Poolvaraluck氏は他国内のマクドナルド250店舗を運営する企業McThaiも所有していることから、今後もタイ国内でさらなる暗号資産(仮想通貨)決済の普及が期待されています。

メジャー・シネプレックスのマーケティングディレクターであるChanya Tamrongweenichai​氏はこの事業に関して以下のように述べています。

RapidzPayのモバイルアプリを利用することで、我々メジャー・シネプレックスで映画のチケットやポップコーンなど様々なモノやサービスの購入をすることができます。​

RapidPayのメジャー・シネプレックスとの了解覚書(注.法的拘束力を持たない複数の組織間での合意事項を記載した文書)には、この提携が今年初めにRapidPayがバンコクに新たな支社を設立したことがきっかけであると書かれており、運用開始後1年以内に100万人のアクティブユーザーの獲得を目標にしているようです。

タイは仮想通貨に友好的な姿勢を見せている

上記2社によるこの開発はタイが現行の規制の下でブロックチェーンICO暗号資産(仮想通貨)を管轄しようと積極的に動き出したのをきっかけに開始されました。タイの公式証券市場監督当局は昨年末に、同機関が「ICOの潜在可能性」を認識し、規制下での合法化の動きを起こすことを示唆していました。そして今年3月になってタイ中央銀行総裁は当局が暗号資産(仮想通貨)を「完全に規制する」ための法律制定に取り組んでいると明らかにしました。そのために同国の内閣は暗号資産(仮想通貨)取引の規制同アダプターへの課税システムの強化を目的とした二つの国王令を承認しました。また、5月には税務当局が暗号資産(仮想通貨)に課される7%の付加価値税(VAT)を免除することを発表し、暗号資産(仮想通貨)普及に向けて大きな動きを見せています。

さらに今年7月に、タイ証券取引委員会(SEC)はビットコインやイーサリアム、リップルを含む7つの暗号資産(仮想通貨)での支払いを受けることを可能にするICOの発行を許可する規制枠組みを制定し、7月16日から施行されています。その他にもタイの主要な証券会社が暗号資産(仮想通貨)取引への小売業者や組織の関心の高まりを認識して共同暗号資産(仮想通貨)取引所​設立計画を立てていることからも、規制当局が暗号資産(仮想通貨)に対して友好的な姿勢を取っていることが伺えます。

コインパートナーの見解

​先週木曜日のWinklevoss兄弟のETF申請却下後大幅な下落を見せたBTCも回復の兆しを見せている中で新たな暗号資産(仮想通貨)利用例として大きく注目が集まりそうなニュースです。今回は決済導入先が大手映画館ということでこれまでのユースケース(ビットコインATMの設置など)と比べても高い利用率を期待できるのではないでしょうか。

これまでも述べているように、暗号資産(仮想通貨)ユースケースというのは直接的に市場に影響を及ぼすことは少ないですが、それによる安全性の保証というのは今後大きく勢いを加速させるファクターになり得ると考えています。