ビットコイン(BTC)は8月12日午前8時時点で6万3650ドルと、前日から0.5%安で推移しています。8月9日に高値6万5474ドルをつけた後、10日と11日の2営業日にわたって続落し、6万4000ドルの節目を割り込みました。8月7日の弱い雇用統計を受けた上げ分を、ほぼ吐き出した水準です。
背景にあるのは、今夜8月12日午後9時30分に発表される米7月消費者物価指数(CPI)を前にしたリスク回避の動きです。発表を控えて9月の追加利上げ観測が再燃し、金利の先高観がリスク資産の重しとなりました。米現物ビットコインETFの資金が流出に転じたことや、大口企業の売却が伝わったことも、下値を押し下げています。
値動きの振り返り

BTC/USDT 30分足チャート
BTCは8月9日に高値6万5474ドルをつけた後、10日と11日にかけて水準を切り下げました。下落は両日とも米国時間にあたる日本時間の夜(21時台)に集中し、10日夜に6万5238ドルから6万4203ドルへ、11日夜に6万4515ドルから6万3451ドルへと下押ししています。
12日早朝には6万3238ドルまで下げて24時間安値をつけ、その後は6万3650ドル前後で下げ渋っています。24時間の高値は6万4515ドルで、この日は6万4000ドルが戻りを抑える上値の壁として意識されました。出来高は約1万2745BTCと、続落局面で膨らんでいます。
相場を動かした背景
今夜の米CPIを前にした利上げ観測の再燃
今夜のCPIは、市場予想で総合が前年比3.4%、コアが前年比2.5%とされ、前月比はいずれも0.2%の上昇が見込まれています。伸びが鈍化すれば、コアは1月以来の低さとなります。
もっとも、発表を前に金利先物市場では警戒感が強まりました。CMEフェドウォッチによると、9月会合での追加利上げと据え置きの確率は約5割ずつで拮抗し、8月10日時点の据え置き約56%から利上げ観測が再び強まったと報じられています。金利の先高観の再浮上が、金利を生まないビットコインなどのリスク資産の重しとなり、雇用統計後の上げ分の吐き出しにつながりました。
ETF資金が流出に転換
需給面では、これまで下値を支えてきた米現物ビットコインETFの資金が反転しました。8月3日から7日まで5営業日連続で流入し、この間の合計は約7億6500万ドルに達していましたが、10日は1億4460万ドル、11日は2800万ドルの流出に転じています。10日はブラックロックのIBITが5360万ドル、フィデリティのFBTCが4030万ドルの流出でした。機関マネーの流出が、今回の続落の需給的な主因です。
ビットコイン(BTC)テクニカル分析
まず中長期の位置づけを確認します。週足では20週線が6万9143ドル、50週線が8万2506ドルといずれも大きく上方にあり、下降トレンドの途上にあります。注目は長期の支持線である200週移動平均線で、水準は約6万4002ドルです。BTCは10日に一度この線を回復したものの、続落によって現在値6万3650ドルは同線を約0.6%下回り、再び200週線を割り込みました。
長期支持線をめぐる攻防が続くなか、今夜のCPIが上抜け・下抜けの分岐点となります。この位置関係を前提に、短中期の各時間軸をみていきます。
日足チャート

日足では、現在値が20日線(6万4188ドル)を割り込み、50日線(6万3380ドル)の直上に位置しています。100日線(6万7622ドル)と200日線(6万9914ドル)は上方にあり、戻り売りの壁として意識されます。8月10日・11日は連続の陰線で、MACDのヒストグラムはプラスからマイナス(-25.3)へ転じ、短期の改善が一服しました。
現在は20日線と50日線に挟まれたもみ合いです。上値メドは20日線の6万4188ドル、その先はボリンジャーバンド上限の6万5574ドルとなります。下値メドは50日線の6万3380ドル、さらにバンド下限の6万2802ドルです。
4時間足チャート

4時間足は、現在値が20・50・100・200の主要移動平均線をすべて下回り、短期トレンドは下向きです。MACDのヒストグラムはマイナス幅を広げており、下押しの勢いが続いています。
現在値はバンド下限(6万3411ドル)付近まで下げており、戻り売り優勢の地合いです。上値メドは20時間平均にあたる6万4547ドル、下値メドはバンド下限の6万3411ドルとなります。
1時間足チャート

1時間足では、現在値が主要移動平均線をすべて下回り、一目均衡表の雲(6万4515〜6万4640ドル)の下に位置し、短期は売り優勢です。雲が上値抵抗として働いています。ただしMACDのヒストグラムはマイナス幅がわずかに縮小し、下げの勢いには一服の兆しもみられます。
当日の下値サポートは6万3238ドルの24時間安値、その下が日足50日線の6万3380ドルです。上値レジスタンスは6万3890ドルの20時間平均、次いで6万4000ドルの節目、さらに雲の下限にあたる6万4515ドルとなります。
デリバティブ動向
OI清算
先物の建玉(オープンインタレスト)は、Binanceで約10万9246BTCです。11日の10万6280BTCから増加しており、価格が下げるなかで建玉が積み上がりました。50日線割れとフィボナッチ78.6%水準の割れで、約5170万ドルのロング清算が発生したと報じられています。
ロング・ショート比率は約1.81倍と、10日の約1.10倍から急上昇しました。下落局面で個人の買い持ちが偏って積み上がっており、警戒すべきサインです。資金調達率はBinanceで0.0075%、OKXで0.0056%と小幅なプラスで、過熱感は限定的です。
清算ライン

下値では6万3238ドルの24時間安値、次いで日足バンド下限の6万2802ドルが意識されます。買い持ちの偏りが強いため、6万3000ドルを明確に割り込むと、ロングの投げ売りが下げを加速させやすい点に注意が必要です。
上方では6万4515ドルの雲下限と24時間高値が最初の関門です。ここを回復できれば、売り持ちの買い戻しを誘い、6万5000ドルにかけて戻りやすくなります。
ETF
米現物ビットコインETFは、10日に1億4460万ドル、11日に2800万ドルの流出となり、2営業日連続で資金が抜けました。直前の8月3日から7日までは5営業日連続の流入で、合計は約7億6500万ドルに達していただけに、明確な反転です。
需給面では、Strategyが8月3日から9日にかけて1690BTCを売却したことも重なりました。同社の2026年の売却は累計で約6900BTCに達したと報じられており、ETFの流出とあわせて、続落の需給的な裏付けとなっています。大口保有者全体の売買数量など、より詳細な需給データは未取得です。
本日のデイトレ注目材料
今日の最大の焦点は、日本時間午後9時30分に発表される米7月CPIです。総合が前年比3.4%、コアが前年比2.5%という市場予想に対し、結果が予想通りかそれ以下に収まれば、9月会合の据え置き観測が強まり、BTCの追い風となります。逆に予想を上振れれば、利上げ観測が一段と強まり、重しとなります。翌13日には卸売物価指数(PPI)、14日には小売売上高やミシガン大学消費者信頼感指数が控えるほか、同日には米証券取引委員会(SEC)の暗号資産ルールメイキング会合も予定されています。
上抜けシナリオとしては、CPIが予想通りかそれ以下に収まり、6万4000ドルを回復すれば、6万4515ドルの雲下限、さらに6万5000ドルの節目が視野に入ります。下抜けシナリオでは、CPIが予想を上振れて6万3238ドルの24時間安値を割り込むと、6万2802ドルの日足バンド下限、さらに6万2000ドルまで下値を試す展開が想定されます。短期トレーダーが当日見るべきラインは、下値の6万3238ドルと、上値の6万4000ドルです。
まとめ
12日のBTCは、今夜のCPIを前にしたリスク回避と利上げ観測の再燃を背景に、2営業日続落して6万3000ドル台まで水準を切り下げました。ETFの流出転換とStrategyの売却も重なり、8月7日の雇用統計を受けた上げ分をほぼ吐き出しています。
方向を決めるのは、今夜のCPIそのものです。予想通りの鈍化が確認されれば6万4000ドルの回復から戻りを試し、上振れれば6万3238ドルを起点にさらに下値を探る展開となります。個人の買い持ちが1.81倍まで偏っているだけに、下振れ時のロングの投げには特に警戒が必要です。まずは発表を挟んで、6万3000ドル台の攻防をどちらに抜けるかが試金石となります。
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