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インドでUSDTが8.5%超の上振れ|ステーブルコインの送金取り締まりが影響

2026年6月30日 18:39  Arai Yu

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インド国内で米ドル連動型ステーブルコインのUSDTが、6月29日時点で約102.88ルピーで取引され、同日のドル・ルピー相場94.65ルピーに対して8.5%超のプレミアムが発生しました。通常は3〜4%程度にとどまる上乗せ幅が急拡大した格好です。世界市場でUSDTがおおむね1ドル近辺を維持するなか、インドだけ価格が大きく乖離する異例の状態になっています。

プレミアム拡大の直接の引き金になったのは、インド執行局(ED)による暗号資産(仮想通貨)関連企業への捜索です。EDは6月17日にバンガロールの複数の暗号資産・フィンテック企業を捜索し、19日に内容を公表しました。RBI認可を受けない形でUSDTを使った対外送金が行われ、外国為替管理法(FEMA)に基づき2500億ルピー超の違反が疑われるとしています。

この措置で揺らいだのは、USDTそのもののドル連動性ではなく、インド国内での流通経路です。USDTは本来、発行体テザーが1ドルとの交換価値を意識して設計したステーブルコインですが、実際の店頭価格は地域ごとの需給で動きます。インドでは海外在住の非居住インド人(NRI)が、銀行送金の代替手段としてUSDTを使って資金を流入させる動きが広がっていました。

捜索後はこの流れが細り、国内で売りに出るUSDTが減少しました。一方で、USDTを必要とする需要は残ったため、価格だけが押し上げられた形です。1ドル相当の資産がインド国内では1.085ドル相当で取引される状況は、グローバル市場のペッグ維持と並べると、同じ資産が国境をまたいで別の値札を付けられている状態に近いです。

銀行の代替だった送金経路が止まり、国内価格だけが跳ね上がった

インドのUSDT市場では、銀行経由の国際送金に比べて手続きが速く、利用しやすい経路として暗号資産が使われてきました。とりわけUSDTは価格変動が比較的小さいため、送金の中継手段として選ばれやすかったとみられます。今回の取り締まりは、その供給源に直接手を入れたことで、市場価格に即座に跳ね返りました。

ステーブルコインの価格は常に世界で一律ではありません。発行体の信用や準備資産だけでなく、各国の規制、送金ルート、換金のしやすさが重なると、同じUSDTでも地域ごとに実勢価格がずれることがあります。今回はそのずれが、通常の3〜4%を大きく超えて8.5%超まで広がった点に市場の緊張が表れています。

政策面では、7月2日にインド議会の財政常任委員会で、インド準備銀行(RBI)当局者を交えたVDA(仮想デジタル資産)に関する議論が予定されています。足元のUSDTプレミアム急騰は、暗号資産を使った越境送金がすでに実需の一部を担っていたことと、それを締め付けた際に価格のゆがみが一気に表面化することを示しました。

参考元:coindesk
画像:Shutterstock

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