既に公開している第1弾では、今後暗号資産の価格が上昇していくシナリオを、第2弾では暗号資産の税制上の仕組みについて学べたと思います。まだこちらの記事を読んでいない方は先に読むことをおすすめします!

今年に入ってから海外を中心に盛り上がりを見せたことをきっかけに、以前インタビューさせていただいたビットコヌシさんなど日本でも多くのNFTアーティストが活躍しています。

数多く存在する日本の暗号資産取引所の中でも、第一線で活躍し、ローラを広告塔に起用していることでお馴染みのDMM Bitcoinの代表を務める田口社長は、そんなNFTも税制面で大きな課題を抱えており将来的に重く響いてくる可能性があると言います。

NFTの課題からその問題をDMMグループとしてどう解決するかまで、田口社長から学んでいきましょう!


DMM BitcoinのHP

NFTは税制上に課題がある

NFTには大きな課題があると伺っていますが、具体的にはどういう課題があるのでしょうか?

NFTに関しては税制面に凄く大きな課題を持っちゃっているんだよね。

税制面に大きな課題?

例えば、デジタルアートの作品を作った人がNFTを通じて販売したとしますよね。それを買い手がBTCで決済したとしても、NFTは暗号資産ではなく現金でもないから「物」に該当するんですよね。

つまり...?

つまり、消費税がかかってきてしまうんです。NFTプラットフォームは、売買を仲介するにあたって、本来的には消費税10%を徴収する義務があるように思っています。

消費税がかかってしまうんですね...

また、販売側にも税制の問題があります。製造原価に対して売れた金額の差が利益になるので、個人でやろうとすると雑所得に値します。すると、最高税率45%が課税されるんです。

雑所得も!?

さらには、購入した側も最高で45%の税率が課税される可能性があるんです。例えば、1円で買ったNFTアートを300万円の価格の時に売却するとしますよね。すると、利益を確立したことになってしまうので、雑所得に値します。

購入者も雑所得の対象になる可能性があるんですね...

そうなると、10億円のNFTアートを売買したときには消費税10%、売却者の雑所得45%、購入者の雑所得45%でNFT自体の商い代金に対して課税率100%になるんですよ。
そういったものを国税が見逃すはずがないと思うんですよね。

現時点ではそこまで税金面で悩んでいるという聞いたことがないですね...

多分、現状ではNFTがそんなに流行ってはいないので国税は見逃していると思うんですよ。
ただ、商い規模が月間で1000億や1兆円になったときに国税庁は絶対に言ってきます。

ここまで課税される可能性があるのはきちんと理解できていませんでした。

これが上手くいったときに出てくる課題で、おそらく多くの方が認知できていないんですよね。
1年が終わって、確定申告の時になったらいきなり確定申告しなければいけないですよって言われたら、じゃあわざわざ暗号資産でNFTアートを購入しなかったって話になるんですよね。

確かに、この話を理解できていない人が多そうですね。

NFTのプラットフォームを見ても、本来はこの話は一番大きく書くべき問題なんだけど、書かれていなかったりだとか、書かれていたとしても隅っこの方に小さく書かれているぐらいなんだよね。
これはNFTをやられる方は注意したほうがいいと思います。

NFTアートは権利問題がある

では、NFTアートに着目してみるとどんな懸念点がありますか?

NFTアートを購入するのは金額的には大きいし、インパクトとしても非常に着目されるとは思うんだよね。

大きな話題になっていますよね。

でも、アートってやっぱり希少価値が重要なのであって、全員が自分の作成したデジタルアートをNFT化して販売すると、結局ほとんどのものが無価値で、価値がある作品が本当にごくわずかなものになっちゃうんじゃないかって思うんだよね。
それがリアルで作られたアートの市場を凌駕できるかっていうと、やっぱりできないと思うんだよね。

難しそうですね。

あとは、NFTアートの問題では、著作権を購入しているわけではなく、何を購入しているかが明確に見えづらいっていうところもあるよね。

デジタル上なので見えづらい部分ではありますよね。

そこには法律がないから、各NFTプラットフォームの規約に記載しておくべきなんだけど、そこにも書いてなかったりする。

そんなこともあるんですね...

例えば、デジタルアートを始めは100版刷って完売したとするじゃないですか。おそらく製作者が著作権や再度版を刷る権利を持っていると思います。なので、高く売れたら、もしかしたらその後に、1000も2000も刷るかもしれない。
すると、価値がどんどん薄れていくし、現状だと、それを制限するような規約ってどこにもないんだよね。

インフレしてもおかしくない構造になっているんですね。

だから今トピックとしてはNFTアートは面白いんだけれども、どこかで権利問題が着目されるんじゃないかなって思うんだよね。

DeFiは税金の対象にはならない

NFTに関しては大きな課題があることが分かりました。それでは、DeFiに関してはどうなんでしょうか?

現状のところ主流のDeFiは貸借取引を行うサービスを提供しているけど、これは売買ではないので、譲渡益課税とかの対象にはならないんですよね。

税金の対象ではないんですね!

なので、DeFi分野に関しては、暗号資産を担保にNFT化されたものをそのNFTを使いたい期間借りることが出来るっていうサービスが面白いんじゃないかと思っているんだよね。これは税制の改正とかもあるけど、次の時代の主役に躍り出る可能性があるかなって思う。

次の時代の主役!

例えば、Tesla社の車が1200万円で買えるとすると、ビットコインがものすごく安い時に購入してしまったら売却益が出ちゃうから税金を払わなくてはいけなくなっちゃうよね。
でも、一定のBTCを預けてもえらえば返却してもらうまでTesla社の車乗り放題ですっていうレンタルの形にすると、決済じゃないからBTCの譲渡益課税とかはかからないんだよね。

税金面から解放されるのはとても大きなメリットですね!

なので、僕たちとしては、暗号資産を担保に借りれるものは何でも借りれますよっていうサービスは大きな可能性があるということで、事業化の方法などを検討している

新時代のレンタルサービスですね。

これはNFTとも相性がいいと思っていて、Tesla社で例えるならば、Tesla社の車体番号○○番の車を運転できる権利を付したNFTを貸して、そのNFTを返してもらう時にはビットコインも返すよっていう形にすると税金がかからなくなってくる。
これのポイントは暗号資産の譲渡益課税とか確定申告とかの心配がないってことなんだよね。

凄く未来を感じます。

これは他の会社さんとはアプローチの仕方が違うと思う。ライセンスを持っているDMM Bitcoinでは難しいかもしれないけど、同じDMMグループでこの事業を専門的に行う会社を起ち上げていくことで企画検討をしている。

強みを伸ばしていきたい

最後の質問をさせてください。ここまでで様々なことをお聞きしてきましたが、その未来の中でDMM Bitcoinはどのような暗号資産交換所にしていこうと考えていますか?

強みをしっかり伸ばしていくことは第一優先にしています。
日本で現物取引銘柄として他社で取り扱われている銘柄に関しては、出来る限り今年度中にレバレッジ取引銘柄で網羅したいと考えているし、そのスピードを速めていきたい。

レバレッジ取引で全部網羅!

現物の銘柄に関しては、現状ではBTC・XRP・ETHしかないんだけど、レバレッジ取引と同じぐらい銘柄数も増やそうと思っています。
出来るだけ早く、今レバレッジで取り扱っている銘柄と同じ銘柄を現物取引でもランナップしたいと思っています。ただ、当初の段階では入出金出来ずに、現物銘柄を他社と比較してスプレッドが広くない形で取引できればいいって人に向けてやろうと思っている。
どこかのタイミングでFATFのガイドラインが固まり、自分たちでもウォレットの管理ができるという自信が持てたら、入出金ができるようにしていく予定。

現物の銘柄数も増やしてくれるんですね!


(DMM Bitcoin公式サイトより。現時点でも十分に取り扱い通貨が多いと思います)

もう1つはインターフェイスを暗号資産初心者に優しいようにしていこうと思う。

今でも十分使いやすいと思いますが...

今まではアプリで初心者ではなく、頻繁に取引しやすい人が使いやすいように設計していたんだよね。
それを、さらに簡易化されたシンプルなインターフェイスも秋口ぐらいに投入しようかなと考えている。
例えば、1,2万円と金額指定をして買いたいとか複雑なチャート分析はしたくなく簡易な形で売買できればいいって人に向けてリリースしていく予定だね。

めちゃくちゃ便利になりますね!


(DMM Bitcoin公式サイトより。様々な取引手数料が無料なのも凄く嬉しいポイントです)

また、暗号資産交換業であったり、暗号資産デリバティブ交換業って意味で行くと、2021年度中に成熟するんじゃないかなって思っている
だから、次年度でいくと、新会社を通じた新しいサービスを広げていくのがポイントになると思う。
そういうのを含めてDMMグループとしてお客様に寄り添っていきたいよね。

本記事を通じて、NFTが持つ課題について学べたと思います。ただ最近流行っているから~という理由で甘い考えだけしか持っていないと痛い目に合ってしまう可能性があることが十分に理解できたのではないでしょうか

  • NFTは税金の対象になってきてしまう恐れがある
  • NFTアートは権利問題が発生する恐れがある

上記の2点が特に大事だと思うので、これだけは必ず理解したうえでNFTを購入するようにしていきましょう!

今回のDMM Bitcoinとの対談だけではなく、以前にもNFTアーティストのビットコヌシさんとのコラボ記事や、コインチェックとのコラボし記事も投稿しています!ぜひそちらの記事も読んでみてください!

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⇩NFTアーティスト、ビットコヌシさんとのコラボ記事⇩

⇩コインチェックとのコラボ記事前編⇩

⇩コインチェックとのコラボ記事後編⇩