51%攻撃を受けてPoWの脆弱性が露呈される

​BitcoinGoldの広報責任者であるEdward Iska氏​は、51%攻撃を受けて約20億円に相当するBTGが盗難の被害にあったことを発表しました。

51%攻撃とはハッキングを狙った集団がブロックチェーンでの取引の承認権を独占して、自分たちに都合の良い不正な取引ばかりを承認して利益を独占しようとするサーバー攻撃のことを指します。今回の事件は、犯人集団がネットワーク上の過半数のハッシュパワーを有することでプルーフオブワーク(BitcoinGoldの承認システム)において一時的にブロックチェーンコントロールを得たことが原因となって起こりました。その結果、BTGを取引所に預けると同時に、同じ通貨を他のウォレットに送金する二重支払いが可能になってしまったがために被害は発生しました。通常のPoWならば他のウォレットに送金する部分は後から行われた取引として否認されるのですが、今回は犯人側がネットワークの大半を支配していたがために両取引が承認されるようになってしましました。

5月18日を最後に不正取引は行われていませんが、犯人が未だに51%以上のハッシュパワーを持っている可能性は否定できず、またBTGの盗難被害が起こる可能性は0%ではない状況です。この事件を受けてBitcoinGoldのデベロッパーは、犯人が最大22個ものブロックに不正な操作を加えていたことから、取引に採用するチェーンの長さを50ブロックに引き延ばすように助言しています。

コインパートナーの見解

​ここ数ヶ月は大きなハッキング被害に見舞われてこなかった暗号資産(仮想通貨)ですが、ここ1~2週間で盗難被害が相次いでいるのが心配のタネです。

BitcoinGold以外にも今月13~15日には日本発祥のモナコイン(MONA)が約1000万円盗難されており、22日には Verge(XVG)が2億円相当のハッキング被害を受けています。

盗難被害にあった三つの通貨はいずれもコンセンサスアルゴズムとしてプルーフオブワークを採用しており、51%攻撃によってハッキングされたという共通点があります。この被害発生後、モナコインは以下のような声明をTwitterで発表し、プルーフオブワークの限界を危惧する声は少なくないことが露わになりました。

しかし、ビットコインはこういった通貨と同じコンセンサスアルゴリズムですが、専門家は「この51%攻撃は新出のアルトコインにのみできるものであり、ビットコインは被害を受ける心配は全くありません。仮に数千億円をつぎ込んだとしても、不正取引はせいぜい一回しかできないでしょう。」と絶対的な自信を見せています。というのもビットコインやイーサリアムは他のアルトコインと比べてブロックチェーンが長いがために脆弱性の問題を克服しているからです。

この事件を気にアルトコインのプルーフオブワークの脆弱性、さらにはビットコインやイーサリアムなど主要通貨の安全性にサイド関心を向けてみましょう。