「独裁権力の反対」を理念に掲げる法廷が、大手国内銀行に対して暗号資産(仮想通貨)業者の銀行口座差し押さえを解除するように命じた判決を受けて、チリの経済産業大臣は暗号資産(仮想通貨)に対する支持を表明しました。チリの取引所であるBudaが提訴した10の銀行のうちの3つが取引所の銀行口座を再開するようです。
「経済産業大臣であるJosé Ramón Valente氏はチリ国内での暗号資産(仮想通貨)業者へのサポートを提供している」とDiario Financiero氏は現地時間27日に報道しており、同大臣の発言を以下のようにまとめています。
私たちが暗号資産(仮想通貨)に興味を持っているということは、暗号資産(仮想通貨)業界全体が発展することにつながります。というのも暗号資産(仮想通貨)は世界規模で起こっている重要な革新であり、私たちは成長する機会を提供する義務があるからです。
「我々はこうした革新、つまりは未来の経済に否が応でも関わりを持たないといけない。」と同氏は強調し、さらには「私たちは革新が起こらないようにするために人為的にロックをかけることもない」と付け加えています。
しかし、同大臣は暗号資産(仮想通貨)が自身の価値を示すためのチャンスは提供すると述べながらも、銀行と暗号資産(仮想通貨)取引所の間での衝突に関わる当事者に対してはサポートを行わないことを宣言しています。「我々は暗号資産(仮想通貨)に対して賛成でも反対でもなく、ただ単に暗号資産(仮想通貨)を革新と見ているだけである。そして我々はこういった革新が起こるという事実とチリが世界の技術的進歩に先立って可能性の目を摘むことがないことを望んでいるのだ。」と自説を詳しく述べており、サポートするのは取引所ではなく、あくまで暗号資産(仮想通貨)自体であるというのが経済産業省の姿勢のようです。
大臣の発言は自由競争保護のための裁判所(TDLC – Tribunal de Defensa de la Libre Competencia)がイタウ・コルプバンカ銀行及びチリ国立銀行に対してBudaの口座を再開するように命じた後になされました。
27日にはDiario Financiero氏によってTDLCがスコティア銀行に対して別の取引所であるCryptomarketの口座を再開するように命じたことが報じられました。
裁判所の判決を受けて、スコティア銀行は以下のように述べています。
私たちは意見を言うことはできません。しかし、スコティア銀行は規制が必要であるマネーロンダリングを防ぐための高度な水準を設けており、このことは全ての銀行利用者に例外なく認識してもらいたい。
また、当銀行は同社の口座を閉鎖した理由としては資金源に関する情報の開示を求めたにも関わらず十分に証明できなかったからだと述べています。
チリ国内のクリスチャン民主党副議長であり、下院の財務委員会委員長でもあるPablo Lorenzini氏は「TDLCの命令に従って我々はすぐに暗号資産(仮想通貨)に関する法律を制定する必要がある。」と述べています。
チリ国内で銀行が暗号資産(仮想通貨)取引所の口座を閉鎖したことから始まった一連の騒動ですが、官庁側が暗号資産(仮想通貨)を支持するという想像もしなかった方向へ事態は進展していきました。国側が暗号資産(仮想通貨)への支持を表明しているというのは今後業界にとっても明るいニュースとなるのではないでしょうか。
今回の騒動で問題になったのは「チリでは銀行が規制に関して主導権を握っている」のが浮き彫りになったことであると思われます。今後暗号資産(仮想通貨)が普及していくためにはPablo氏が述べているように適切な規制のための法整備が必要でしょう。
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著者: CoinPartner 編集部 CoinPartner