投資家がイーサリアムを有価証券と見なさないよう要請

CCNが報じたように、弁護士とシリコンバレーのベンチャー企業「Andreessen Horowitz」と「Union Square Ventures」の代表らからなるワーキンググループが、先月に一部の暗号資産(仮想通貨)について「セーブハーバー」を設けるよう要請するために米国証券取引委員会(SEC)の高官と会議を行いました。

その報道によると、先月の会議はここ1、2年で非常に急増したICOトークンが議題の中心だったようです。

しかし日本時間20日、New York Timesは時価総額2位の暗号資産(仮想通貨)イーサリアムも同様に議題だったと報じました。

ご存知の方も多いかと思いますが、イーサリアムはICOのような形式で販売されて約20億円の資金調達が行われたという歴史があります。

NYTの記事によると、ワーキンググループの提案は、イーサリアムが合衆国の法律に照らし合わせて有価証券としての特徴をいくつか持っていたとしてもイーサリアムは分散化されすぎているので有価証券として見なすべきではない、というものだったようです。

より具体的には、その提案はトークンが有価証券かどうかを決める際にSECはそのトークンの分散性を考慮に入れるべきであり、トークンの発行者がネットワーク上でそのトークンの機能に一方的に変更を加えられないほどに機能性が高いかもしくは分散されている場合は有価証券として見なされるべきではない、というものだったそうです。

その会議のことをよく知る人物によれば、多くのトークンがSECの権限の範囲から外れる今回の提案をSECはすんなりと受け入れたわけではなかったようですが、SECが最近発行された新たなトークンとイーサリアムのように既に数年に渡って機能しているトークンを区別するのかどうかは未だにはっきりしていません。

コインパートナーの見解

もしイーサリアムやその他のトークンが有価証券に該当すれば証券法の規制対象になり、これまでのように自由な活動ができなくなります

例えば発行時に登録が必要であったり、証券はSECの管理下に置かれた証券取引所でのみ取引されるなど、まだ十分に法整備されているとは言い難い暗号資産(仮想通貨)の分野ではなく証券法の分野で扱われることになるのです。

そして、当然SECとしては多くのトークンを有価証券と見なして管理下に置きたいところでしょうし、一方の暗号資産(仮想通貨)投資家やICO実施者としては規制を免れたいところです。

なお、過去には暗号資産(仮想通貨)と同様にアメリカ合衆国の連邦証券法の適用範囲を争った裁判がありました。それが有名な「アメリカ証券取引委員会対W. J. Howey社事件」です。

この事件の裁判は最高裁までもつれ込み、その判例によっていわゆる「Howey基準」と言われる証券法における「投資契約」の基準ができました。

その基準とは、

①資金の出資、②共同事業、③収益の期待、④収益獲得 がもっぱら他者の努力によること

この4つです。

暗号資産(仮想通貨)の分野では、過去にThe DAO事件の際にSECがThe DAOのトークン発行が証券法の規制を受けるこの「投資契約」であると判断し、その判断はこのHowey基準に基づくものとされています。

イーサリアムがこの4つの基準を満たすかどうかは微妙なところ(だからこそ議論になっています)ですが、一部のICOによって発行されたトークンに関してはこの基準を満たしていると考えていいでしょう。

そして詐欺的なICOが頻発している昨今の情勢においては、独立した監督官庁として強い権限を持つSECがこの基準を一部のICOに適用して規制することで抑止力が働いて投資家保護に繋がることは間違いありません