日鉄ソリューションズとN.Avenue(エヌアベニュー)は6月30日、共同事務局を務める暗号資産インデックス協議会の報告書を公表しました。国内で暗号資産(仮想通貨)ETFを組成する際に必要となる、日本円建ての暗号資産価格インデックスの算出に向けた議論を整理した内容です。対象はまずBTCとETHで、今後テスト算出を始め、金融機関や情報ベンダーとのシステム接続・配信開始を予定しています。
国内で暗号資産ETFを組成するには、売買の基準となる価格指標の透明性と信頼性が欠かせません。株価指数や債券指数が投資信託やETFの土台になるのと同じく、暗号資産でも市場参加者が共通して参照できる円建てベンチマークの整備が必要になります。
今回公表された報告書は、その基盤づくりを目的としたものです。協議会は2025年に設立され、2025年11月から2026年5月までに全6回開催されました。座長は上智大学法学部教授の森下哲朗氏が務め、N.Avenueと日鉄ソリューションズが共同で事務局を担いました。
報告書では、国内暗号資産ETF組成などに必要な「透明性が高く信頼性の高い日本円建て暗号資産取引価格のインデックス」の算出に向けた議論の成果を共有しました。原典となる報告書PDFも公開されており、算出に向けた検討の全体像を確認できます。
円建て指標が必要になる理由
日本で暗号資産関連の商品を広げるうえでは、海外のドル建て指数をそのまま流用しにくい事情があります。国内の投資家や金融機関にとっては、円で評価でき、参照市場や算出ルールが明確な指標の方が商品設計や説明責任に適しています。価格の出どころが見えにくいままでは、ETFのような公募商品に求められる管理水準を満たしにくいためです。
制度面でも環境整備が進んでいます。米国ではビットコイン現物ETFの拡大が進み、日本でも暗号資産を金融商品取引法の枠組みに移す議論が進む中で、インデックス整備は制度と商品をつなぐ実務インフラとして位置付けられます。取引所や運用会社だけでなく、価格配信を担う情報ベンダーやシステム事業者まで含めた接続が必要になるのはこのためです。
今後の工程も具体化しています。2026年6月から報告書の公開とBTC・ETHのテスト算出を始め、利用を検討するユーザー企業の募集に入ります。8月からは金融機関などにβ版を提供し、2027年1月には金融機関・情報ベンダーとのシステム接続と配信開始を予定しています。
N.Avenueは暗号資産・Web3分野の情報発信や事業開発に強みを持ち、日鉄ソリューションズは金融システムを含む大規模IT基盤の構築を手がけてきました。今回の報告書公表は、暗号資産ETFの可否そのものを示すものではない一方、商品化に先立って必要となる価格指標と配信体制の整備が、実務段階に入ったことを示す動きといえます。
参考元:nipponsteel
