​ベラルーシで仮想通貨が合法となる法令を発布

ベラルーシの国営メディアBelTAによると2017年12月22日にベラルーシ大統領アレクサンドル・ルカシェンコが「デジタル経済の発展に関する法令」に調印し、ベラルーシは初めて正式に暗号資産(仮想通貨)が認められた国となりました。この法令は2018年3月に施行される予定です。この記事では今回調印された法令の内容と、今後予想される展望を解説します。

IT先進国ベラルーシ

ベラルーシ共和国は、ロシアに隣接する人口950万人・GDP世界82位の旧ソ連諸国の一つです。激しい独裁国家であり死刑制度があることや美女が出国禁止であることが知られています。ベラルーシはIT分野に力をいれていて、2005年からIT関連企業が税金を免除されるHTP(ハイテックパーク)を開設し、海外からIT関連企業の誘致を進めています。すでに192社がHTPに登録されていて、その半数以上が海外企業です。ベラルーシでのIT発展は著しく、Google主催で毎年開催されているプログラミングの世界大会「CodeJam」で2013年から5大会連続でベラルーシ人が優勝しています。ほかにも、2014年に楽天が買収したSMSアプリViberや1億人以上のユーザーを持つゲームWolrd of Tanksはベラルーシで開発されています。Bloombergによるとベラルーシは暗号資産(仮想通貨)をはじめIT関連企業のための租税回避地「テックヘイブン」になろうとしています。


法規制の内容

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ICOを含むあらゆる技術が世界で初めて合法化

今回の法令により暗号資産(仮想通貨)取引やICO・スマートコントラクトが合法とみなされることになります。ICOを禁止するなど暗号資産(仮想通貨)に対する規制をする国は数多く存在しますが、暗号資産(仮想通貨)が合法であることが明言されるのはベラルーシが初めてです。マイニングやICOなど他国で禁止されることもある​分野に対し開放的である一方でマネーロンダリングなど犯罪防止策として取引所の基準に関する規制も含まれていて、暗号資産(仮想通貨)の正当性を高めるとてもポジティブな法規制であるといえます。地元メディアBelePANによるとベラルーシの財務省は「経済市場に大きなリスクを持ち込みうる」として暗号資産(仮想通貨)の禁止に否定的な考えであり「規制により暗号資産(仮想通貨)の流れを追うのは実質的に不可能」ともいっていて、12月28日にICO禁止を含む法規制が予定​されている隣国ロシアをはじめ多くの国々と異なる行動をとりました。


5年間非課税となる

また、今回の法令で2023年1月までトークンによる売り上げ、歳入(収入・利益)はすべて非課税となります。消費税などは商品にかかっているため免除されませんが、暗号資産(仮想通貨)取引による利益やマイニングによる収入には税金がかかりません。日本では暗号資産(仮想通貨)を日本円に替える出金時に税金がかかります。詳しくはこちらをご覧ください。

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ベラルーシではHTP企業はもとより法人税などが免除されているため、これによりHTPに登録されている暗号資産(仮想通貨)関連企業は相当な額の免税がなされとても大きな恩恵を受けることができます。ただ、5年が経過したのちにどうなるかに関しては明言されていません。


コインパートナーの見解

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暗号資産(仮想通貨)が禁止される危険性がないこと・様々な税金が免除されることから取引所やマイニング企業はもちろん、ブロックチェーン関連企業などがベラルーシに集中する可能性があるでしょう。それに伴いベラルーシ国内では流通が盛んになり​税収入が増えたり、銀行での暗号資産(仮想通貨)取り扱いが増えたり、法定通貨のベラルーシルーブルの価値が上がったりすることが予想されます。一方で暗号資産(仮想通貨)の利用が増えることで金銭の流れを把握できず経済政策が打ちにくくなることが懸念されるほか、組織犯罪の温床となることも考えられます。国の規模が小さいため国外に直接大きな影響を与えることは考えにくいですが、フィリピンをはじめ合法化を考えてる国々の火付け役となることはあるでしょう。いずれにせよ、今回のニュースが暗号資産(仮想通貨)の世界的普及を表す例となっていることは間違いありません。