米上院は6月17日、FTX創業者サム・バンクマン=フリードに対する大統領恩赦や減刑に反対する決議案「S.Res.772」を全会一致で可決しました。決議は、バンクマン=フリードが「いかなる状況下でも」大統領恩赦、減刑、その他の連邦恩赦措置を受けるべきではないと明記しています。
2023年11月に詐欺やマネーロンダリングなど7件で有罪となり、2024年3月28日に25年の懲役刑を言い渡された人物に対し、上院が超党派で明確な拒否姿勢を示しました。暗号資産(仮想通貨)業界を巡る信頼回復と法執行の姿勢を示す動きです。
決議の正式名称は、サム・バンクマン=フリードへのいかなる恩赦にも不同意を示す内容です。文面では恩赦反対とあわせて、法の支配と米金融システムの健全性を確認しています。
提出したのは、上院銀行委員会デジタル資産小委員会のトップを務めるルーベン・ガレゴ議員とシンシア・ラミス議員です。民主・共和両党の議員が共同で動いたことで、暗号資産業界に関する政治的立場の違いよりも、司法判断の尊重を優先する構図が鮮明になりました。
ガレゴ議員は「サム・バンクマン=フリードは犯罪者だ。何百万もの人々から数十億ドルを盗み、アメリカ史上最大級の金融詐欺の一つを実行した。彼を牢に閉じ込めておけ」と述べました。ラミス議員も「彼は法廷で裁かれ、陪審は彼の言い分を信じず、裁判官は25年の刑を言い渡した理由がある。私は彼が責任を逃れるのを助けるつもりはない」としています。
S.Res.772の位置づけとFTX破綻を巡る議会の意思表示
今回のS.Res.772は非拘束的決議です。大統領の恩赦権そのものを法的に制限する効力はなく、恩赦や減刑を直接差し止めるものではありません。もっとも、上院が全会一致で意思表示した意味は小さくありません。行政権に対して、議会がこの案件を極めて重くみていることを明示しました。
バンクマン=フリードを巡っては、FTX破綻で顧客資金の不足額が80億ドル超と報じられたとされます。暗号資産業界では、大手交換業者の破綻が利用者資産の管理やガバナンスの脆弱さを露呈させ、規制強化の議論を一気に押し上げました。今回の決議は、個別の刑事事件にとどまらず、金融犯罪への対処と市場の信頼維持を結びつけて扱う議会の姿勢を改めて示しました。
バンクマン=フリードは2026年中に恩赦申請を正式に提出しており、司法省記録では保留中となっています。そのため今回の採決は、仮定の議論ではなく、現実に進行している申請に対する政治的な返答という性格を持ちます。
参考元:Congress
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