BNB Chainは、高頻度取引と自律型AIエージェント向けに最適化した新たなレイヤー1ブロックチェーンを開発しています。パブリックテストネットは2026年末、メインネットは2027年初頭を予定し、既存のBNB Smart Chain(BSC)とは並行して運用されます。設計目標は10万TPS超で、中央集権型の暗号資産(仮想通貨)取引所に近い低遅延の執行環境をオンチェーン上に持ち込むものです。
新L1は、BSCを置き換えるチェーンではありません。BNB Chainの既存エコシステムを維持しながら、AIエージェントによる注文執行や自動支払いなど、処理速度が重要になる用途に特化した別の基盤として位置付けられます。
AIエージェントは、あらかじめ設定された条件や外部データに基づき、取引や決済を自律的に行うプログラムです。オンチェーンで動く場合、取引の待ち時間や手数料、ブロック確定までの時間がユーザー体験に直結します。短い時間で大量の注文を処理する金融アプリケーションでは、数百ミリ秒単位の遅延も成否を左右します。
BNB Chain上では、2026年4月時点で15万超のオンチェーンAIエージェントが展開されています。新L1は、この利用拡大に対応するための基盤として設計され、既存の分散型アプリケーションやエージェント関連サービスの処理能力を補う役割を持ちます。
新L1の低遅延設計とBSCとの役割分担
新L1の性能目標には、サブ1秒のブロックファイナリティと、サブ50ミリ秒のプリコンファメーションが含まれます。プリコンファメーションは、最終的なブロック確定前に取引が受け付けられたことを示す仕組みで、取引結果を素早く判断したいアプリケーションにとって重要です。
設計上の特徴として、パブリックメモリプールを廃止し、トランザクションを直接ストリーミングする方式が採用されます。一般的なブロックチェーンでは、未処理の取引がメモリプールに一時的に置かれ、ブロックに取り込まれる順番を待ちます。新L1ではこの待機構造を抑え、注文や支払いの処理をより短い時間で進める構成になります。
この設計は、オンチェーン取引の透明性を保ちながら、執行速度では中央集権型取引所に近づけることを狙うものです。資産を取引所に預けて売買する環境と異なり、ブロックチェーン上の取引はウォレットやスマートコントラクトを通じて処理されます。そのため、速度と自己管理の両立は、AIエージェントを使った取引や決済の広がりに影響します。
高頻度取引に対応するチェーン設計は、分散型金融だけでなく、決済やAIシナリオにも関わります。AIエージェントが複数のサービスをまたいで判断し、少額の支払いを繰り返す用途では、処理能力と低遅延がコスト面にも影響します。
新L1は、BNB Chainの2026年下期技術ロードマップにおける主要プロジェクトとして位置付けられています。既存BSCを維持しつつ、AIエージェント向けの取引処理に特化したチェーンを追加することで、BNB Chainは汎用チェーンと低遅延チェーンを分けて運用する構成へ進みます。
参考元:CoinDesk
画像:Shutterstock
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