米議会で、暗号資産(仮想通貨)のマイニングとステーキング報酬に関する課税ルールを見直す法案の審議が進んでいます。H.R. 9175「Tax Clarity for Mining and Staking Act」は2026年6月8日、マイク・キャリー下院議員が提出し、同日中に下院歳入委員会へ付託されました。新たに発行されたトークンを受け取った時点ではなく、売却時まで課税を繰り延べられる選択肢を設ける内容で、納税のために保有資産を先に処分しなければならない負担を和らげる狙いがあります。
法案は、マイニングやステーキングで得た報酬の課税タイミング、所得の源泉、所得区分を内国歳入法上で明確にするものです。現在の米税制では、IRSの2014年通達や2023年の歳入裁定に基づき、こうした報酬は受領時点で課税対象として扱われています。
この扱いは、資産をまだ売っていない段階で税負担が発生する構造です。報酬として受け取ったトークンの価格が変動しやすい暗号資産では、納税資金を確保するために一部を売却する必要が生じやすく、事業者や個人参加者の資金繰りを圧迫しやすいとされてきました。
今回の法案は、そのずれを埋める内容として位置付けられています。報酬を受け取った時点ではなく、実際に売却して現金化した時点まで課税を先送りできれば、含み益に対して先に税金だけが発生する状態を避けやすくなります。暗号資産の取得と課税のタイミングをそろえる発想で、税務処理を現実のキャッシュフローに近づける狙いがあります。
業界団体は妥協案と評価、裁判所判断とも重なる論点
業界側の支持も広がっています。Blockchain Association、Crypto Council for Innovation、The Digital Chamberの3団体は6月22日、下院歳入委員会の委員長と筆頭理事に共同書簡を送り、法案の早期可決を求めました。
書簡では、この法案を暗号資産税制をめぐる「バランスの取れた妥協案」と位置付けています。包括的な制度改正ではなく、まずマイニングとステーキング報酬の扱いを明確にすることで、納税者と税務当局の双方にとって予見可能性を高める構図です。
ステーキング報酬をめぐっては、6月4日に米租税裁判所が関連判断を示した直後でもあります。判決文の詳細は広く共有されていないものの、報酬を受け取った時点で課税する現在の枠組みをどう整理するかという論点が、立法と司法の両面で浮上している格好です。
マイニングとステーキングは、ブロックチェーンの維持に参加した対価として新規トークンを受け取る点で共通しています。法案はこの報酬を、株式配当や利子のように受領時点で直ちに課税するのではなく、売却時に課税する仕組みに近づける方向を示しました。米国の暗号資産税制はこれまで個別通達に依存する場面が多く、今回の審議は、実務上の負担が大きかった領域を法律で整理する動きとして位置付けられます。
参考元:congress
画像:Shutterstock
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