​みなさんはフィスコ暗号資産(仮想通貨)取引所をご存知でしょうか?取引所の特徴は知ってはいても、どのようなビジョンをもって取引所が運営されているかはさすがにご存知ないかと思います。

​今回取引所インタビュー記事第二弾。インタビューしたのはフィスコ暗号資産(仮想通貨)取引所の取締役、越智直樹さんです。​

越智さんは大阪大学経済学部経営学科卒業​後、情報サービス企業​や投資会社を経てFISCOグループに入社したのち、10年以上にわたり事業戦略・オペレーション戦略​の企画と実行に携わってきた人物です。

それではさっそくインタビューの内容を見ていきましょう!

 

フィスコ仮想通貨取引所とは

関:それではよろしくお願いいたします。まずはフィスコがどんな取引所なのか教えてください。

越:はい。フィスコ暗号資産(仮想通貨)取引所はジャスダックに上場しているフィスコグループの傘下の取引所です。

もともとフィスコ自体は投資・金融情報の配信を行う会社で、そうしていると自然と市場や世界の金融がどのような動きをしているのかがわかります。そうすると自然と世の中を大きく変える革命的な流れが見えてくることがあるんです。これは一般的に「パワーシフト」と呼ばれています。そして「暗号資産(仮想通貨)」も間違いなくパワーシフトのひとつだと判断しています。

越:例えば、はじめは商業銀行がおこなっていたことをゴールドマン・サックスなどの投資銀行が行なっていく流れがあったように、今は投資銀行から暗号資産(仮想通貨)へと流れています。このような流れを長くみてきて、フィスコ社としても暗号資産(仮想通貨)は資源を投入する価値があると以前から注目していました。

ただ、法整備がされていない状態で参入するにはあまりにもリスクが高くて様子をうかがわざるをえませんでした。しばらくたって法整備も進む見込みがたってきて、テックビューロさんとの資本業務提携の話が決まったタイミングが暗号資産(仮想通貨)への参入です。こうして2年前の8月に誕生した取引所が「フィスココイン(当時)」でした。社名が「フィスココイン」という名前だったのはよりみなさんにわかりやすいからという理由だったんですが、その後フィスコで「フィスココイン」というトークンを発行することになったので社名を変え、少し長いですが今の「フィスコ暗号資産(仮想通貨)取引所」 になりました。

 

社名 ​株式会社フィスコ暗号資産(仮想通貨)取引所
​設立日 ​平成28年4月12日
​資本金 ​3億8,706万円(平成29年10月31日時点)​
​所在地 東京都港区南青山5-11-9​​
​株主 ​株式会社フィスコデジタルアセットグループ​
​役員 ​取締役 越智直樹​

関:なるほど。フィスコ暗号資産(仮想通貨)取引所はほかの取引所と比べてどのような特徴があるんですか?

越:フィスコの強みの一つはセキュリティの高さです。​9月にシステムをリニューアルいたしまして、かなり強固なセキュリティ対策を実装しています。具体的に「これをやっている」というと、そこをハッカーに狙われたりしますし、完璧はないと思っているのであまり具体的に申し上げることはできないんですが、セキュリティ会社2社と契約し外部の目を取り入れたテストを実施しています。​


越:あとはおもしろそうな試みをどんどん試しているのがフィスコグループの強みです。たとえばあまり知られていないんですが、フィスコグループではすでに3種類の自社コインを発行しています。

関:あ、Zaifでみかけたことはありましたけど、3種類もあったんですか!各会社がトークンを発行する意味ってなんなんですか?

越:フィスコグループでは暗号資産(仮想通貨)という世界において、通貨の経済圏をつくることがとても大切であると考えています。だからこそフィスコグループではサービス内で実際に利用できる暗号資産(仮想通貨)を発行し、株主様やユーザーに配布することで独自の経済圏を築こうと考えています。

​フィスココイン ​ネクスコイン ​カイカコイン
​発行元 ​株式会社フィスコ ​株式会社ネクスグループ​ ​株式会社カイカ​
​ティッカー ​FSCC NCXC​ ​CICC

 

フィスコ仮想通貨取引所の今後の予定

​関:先ほど越智さんがおっしゃっていたように、フィスコは暗号資産(仮想通貨)への参入がいささか遅かったようですが、今後はどのような巻き返しを図るのでしょうか?

越:たしかにフィスコは暗号資産(仮想通貨)業界への参入が遅かったのは事実です。というのも、実は当初はフィスコグループとして暗号資産(仮想通貨)取引所ビジネスをそれほど重視していなかったんですよね。法整備がされていなかったので、まだ時期じゃないなあと。だからこそ大々的なプロモーションもしてきませんでした。でも暗号資産(仮想通貨)がだんだんと「しっかり規制された暗号資産(仮想通貨)」にシフトしていくにつれて、そろそろ本腰をいれていこうと動き出したのがつい最近のことです。

関:具体的にはどのようなことをするのでしょうか?

越:今考えているのは暗号資産(仮想通貨)のレンディングサービスです。BTCを担保にBTCを貸しつけて、それを売却することができれば、実は節税につながるんですよね

自らのBTCを売却するわけではないのため)。だからレンディングサービスってものすごい需要があるはずなんです。他にも、てきるだけ早く「イーサリアム」「リップル」「ライトコイン」の3つの通貨を追加する構想もあります。ほかにも会社発行の通貨のコンサル​やコイン積立など、わくわくするようなサービスをどんどん提供していきたいなと考えています。

FISCOの取り扱い通貨一覧フィスコでは現在有名通貨3種類と自社トークン3種類の計6種の通貨を採用している​

関:おもしろそうですね。フィスコは今後どのような取引所として生き残っていくのでしょうか?

越:私たちが目指すのは大勢のお客様にご利用いただける取引所​ですね。別に「ひとつの取引所だけが生き残る!」未来はそんなにないと思っていて、おそらく取引所間の住み分けができるはずなんですよね。ユニークな通貨を取り扱っているとか。フィスコは地道な基盤整備をコツコツと行ってきたタイプの取引所なので、すでに特定のユーザーには刺さるコンテンツが用意できているはずです。だからこそ、ここからは少しずつわくわくするようなサービスラインアップを増やせていけたらなと思っています。

取引所の未来を語る越智取締役​

 

ビットコインは世界の基軸通貨になりえるのか

関:では続いて暗号資産(仮想通貨)の未来について伺いたいと思います。ビットコインは世界の基軸通貨になり得るのでしょうか?

越:現状でもすでに暗号資産(仮想通貨)内だけの話で言えば​ビットコインは基軸通貨になっていますよね。知名度が段違いなので今後もそうであり続ける可能性が高いと思っています。すでに法定通貨を含めた取引量ランキングでも世界5位に入っていて、無視できないものとなっています。その上でビットコインが世界の基軸通貨になるかは、正直なんともいえませんが、少なくとも国の発展度合いによって異なると思います。

関:具体的にはどのような違いがでるのでしょうか?

越:発展途上国だと知名度の高いビットコインが普及する可能性が高いと思います。政府の統制がとれていなくて自国の通貨が全く信用できないケースも少なくありません。だからビットコインのほうが自国の通貨より信用できて人気がでるんですよね。あと「アンバンクト(unbanked)」と呼ばれる銀行口座をもたない人々でも口座を持てるのも強みです。これらの問題はどの暗号資産(仮想通貨)でも解決できるといえばそうなんですが、圧倒的な知名度からビットコインが普及していくと考えるのが自然でしょう。

JICAより引用

 

越:ただ先進国ではそうとは限りません。なぜなら先進国では国が経済圏を自分でコントロールできるからです。私の予想だと自国の法定通貨に連動したステーブルコインや、政府が独自に発行する通貨(CBDC)が台頭していくと考えます。特に政府が独自に発行する通貨に関してはかなり可能性を感じています。

関:たしかに最近ではロシアや日本でも自国の暗号資産(仮想通貨)発行が検討されていますよね。政府が暗号資産(仮想通貨)を発行するメリットはどこにあるのでしょうか?

ロシアでは自国発行の通貨「クリプトルーブル」の発行が2019年以降に予定されている

 

​越:圧倒的に国が経済政策を打ちやすくなりますよね。金利のコントロールがプログラムで簡単にできるので。例えば財政難になった場合、ある日突然政府が預金を減らしたり、マイナス金利にすることすら容易にできます。

関:そんなことをして大丈夫なんでしょうか?めちゃくちゃ批判を食らいそうなものですが...

越:それがそうでもない気がするんですよね。国民からしたら暗号資産(仮想通貨)にシフトしたことで支払いが便利になります。消費が楽になったぶん、そこまで損した感がないんじゃないかと思いますね。

関:なるほど、たしかにそんな考え方もできますね。長時間のインタビューありがとうございました!