SpaceXは2026年5月、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の申請書類を公開し、Nasdaqに「SPCX」のティッカーで上場する計画を示しました。
申請書類では、目標評価額が1.75兆ドルに設定され、2025年売上高は186.7億ドル、営業損失は25.9億ドルだったことが明らかになりました。
今回のIPO申請で注目されるのは、宇宙インフラ企業としての成長性だけではありません。書類では、AI向け計算能力をめぐる事業展開も示されており、その中でもAnthropicとの大型契約が大きな焦点となっています。
SpaceXはAnthropicと、月額12.5億ドル規模のAIコンピューティング契約を2029年5月まで結んでいることを開示しました。これは、SpaceXがロケットや衛星通信といった宇宙事業に加え、AI開発に不可欠な計算資源の供給にも深く関わり始めていることを示す内容です。
IPO申請を通じて、同社が単なる宇宙開発企業ではなく、AI時代のインフラ企業としての側面を強めている構図が浮かび上がりました。
IPO申請で浮かび上がる、AI計算資源ビジネスの存在感
今回の申請書類で特に目を引くのは、SpaceXの成長戦略が宇宙開発だけにとどまっていない点です。
同社はロケット開発や衛星通信事業に巨額の資金を投じる一方で、AI向けの計算能力を外部に提供するビジネスにも踏み込んでいます。その象徴的な材料が、Anthropicとの月額12.5億ドル規模のAIコンピューティング契約です。
Anthropicは生成AI分野で存在感を高める企業であり、AIモデルの開発・運用には大規模な計算資源が欠かせません。SpaceXが同社と長期契約を結んでいることは、AI計算需要を取り込むインフラ企業としての立ち位置を強めていることを意味します。
上場後もマスク氏が支配権を握る設計が鮮明に
IPOで株式を公開しても、経営の主導権は手放さない形です。申請書類では、マスク氏が1株当たり10票の議決権を持つClass B株式を保有し、支配権を維持する構造が示されました。Nasdaq上でも「controlled company」に分類される見通しです。
今回の開示では、AIと宇宙インフラを同時に積み上げる事業構造と、それを支える資本設計が一体で示されました。売上高186.7億ドルに対し、AI関連損失63.6億ドル、Starship研究開発費は巨額にのぼっているとみられるという数字は、SpaceXが利益の安定よりも、計算能力と輸送能力の確保に資金を振り向けていることを映しています。
参照:公式
