イングランド銀行が想定する3つのシナリオ

この調査報告書では法定デジタル通貨(CBDC)をCBDCの利用権の範囲に応じて3つのシナリオを立てて53ページに渡って検討しており、その幅は利用権が銀行やノンバンク(銀行や信用金庫と異なり、預金などを受け入れず小口金融を行う金融機関であるnon-bank financial institutions​:NBFIs)に限られたモデルや、各家庭や金融機関ではない各会社が直接的または間接的に利用できるモデルまで様々です。

まず「金融機関アクセスモデル」では利用権限は銀行とノンバンクのみがCBDCを利用でき、金融機関が取引所で直接的に中央銀行とCBDCの購入や売却などのやりとりをできます。また、このモデルでは金融機関は中央銀行が発行した通貨に裏付けされた資産を家庭や企業に提供してはいけないとされています。

次に「エコノミー・ワイドアクセスモデル」では銀行やノンバンクに加えて各家庭や企業もCBDCを利用できる状態を想定しています。このモデルでは、CBDCは経済の全分野で通貨として機能します。中央銀行と直接CBDCのやりとりをできるのは銀行とノンバンクのみに限られますが、この報告書では「家庭や企業もCBDCを預金としてやりとりするためにCBDCの取引所でCBDCを売り買いしなければならない」とされています。

そして最後のモデルでは再びCBDCの利用権は銀行とノンバンクに限られます。このモデルではナローバンク(1986年にブルッキングス研究所のロバートライタンが提案した銀行の業態の概念の1つ。預金を集めて安全な資産で運用して送金や振り込みなどの決済はするが、リスクを伴う貸付業務は行わない)として機能する金融機関が最低1つ存在し、その金融機関が各家庭や企業にCBDCに裏付けられた金融資産を提供することになっています。

そしてこの報告書の注目すべきところは、CBDCに関して何らかのより具体的な決定を下すには更なる調査が必要だとしながらも、CBDCの導入が個人の信用や通貨供給の流動性に悪影響を与えるものだと考える理由は無いとしたところです。

コインオタクの見解

現在、各国の中央銀行は法定デジタル通貨(CBDC)の導入やCBDCが既存の銀行システムに対して持つ影響に関して研究を進めています。

先週にはノルウェーの中央銀行もCBDCの発行を評価する際に考慮すべき点について調査した報告書を発表しました。またスイスの連邦議会は、独自のデジタル通貨(いわゆる「eフラン」)を導入した時の好影響と悪影響をまとめた報告書を要求しました

現金主義の根強い日本とは異なり、世界的には発展途上国も含めて国家による仮想通貨の導入の動きが出て来ています。既にICOが行われたベネズエラのペトロをはじめとして、政府が発行する仮想通貨が広く流通する未来もそう遠いものではないのではないでしょうか?

​(以下、韓国とイランのCBDCに関する記事です)

目次​キャッシュレス社会実現に向けて中央銀行が動く コインオタクの見解​​キャッシュレス社会実現に向けて中央銀行が動く​​韓国日報が発行する英字新聞コリアタイムスによると、韓国の中央銀行(以下BOK)はCBDCを導入することを検討しているようです。CBDCとは各国の中央銀行が発行する法定のデジタル通貨のことであり、一般に認識されている仮想通貨とは区別されています。CBDCを発行することにより、従来の金融システムでは叶わなかった中央銀行と民間企業・個人との直接の取引ができるようになります。中央銀行は倒産の心配がないため銀行に預けていた資産が全部なくなってしまうようなリスクが無くなるのが大きなメリットです。BOKは現金の発行を減らすべきだという主張を2016年頃から起こしており、その時に法定紙幣からデジタル通貨に移行してキャッシュレス社会を創り上げるという案が生まれたのがきっかけとなってCBDC導入が検討されるようになりました​。​BOKは2020年までにキャッシュレス社会の実現を目標としているようです。今週水曜日にBOKが発表した声明では、仮想通貨に関する研究を開始した上でデジタル資産に関する勧告を公式に行う予定とのことで、国内および国際的な発展のためにキャッシュレス経済を確立することの将来性を入念に検討しています。また、当銀行は実装を行うには複雑な過程を経なければならないため、早まった行動をするべきではないという見解も持っているようです。このニュースに関連して専門家はCBDCは金融システムにおける中央銀行の役割とお金の流通システムに革命を起こす可能性があると述べています。サムスン経済研究所のベテラン経済学者は次のような発言をしています。市場の動きを活発化させる重要な要因はセンチメントです…BOKがデジタル通貨に関心を持っていることはさほど古い話ではなく、市場心理に良い効果をもたらすでしょう。​つまりはBOKがデジタル通貨に関心があることで投資家は積極的な投資を行うようになって上げ相場に繋がると言っています。気になる今後の動きについてですが、BOKは以下のような見通しを立てています。特別委員会は1月からCBDC発行の将来性とデジタル通貨が国全体の金融にどのような影響を与えるのかを検討してきました。我々はこの件に関するさらなる報告を6月末までに行う予定です。

 

​目次​仮想通貨禁止の姿勢を取りつつも実験を推進コインオタクの見解​仮想通貨禁止の姿勢を取りつつも実用化実験を推進​​イランで仮想通貨取引が禁止された数日後、政府の大臣は仮想通貨発行の「実験」を推進していると発言しました。イラン情報通信技術省大臣である Mohammad Javad Azari-Jahromi氏は「中央銀行が出した禁止令は国内開発のための仮想通貨利用を禁止したり制限することを意味するのではない」と​述べ、「先週行われた仮想通貨プロジェクトの進捗を確認する合同会議において実験モデルが準備されたことが発表された」と付け加えました。この実験モデルは現在イランの銀行に審査と承認のために提示されていますが、詳細は明らかになっていません。例えば、実験に使う仮想通貨がどれほど正確に機能するか、ベースとなっているブロックチェーンは何か、独自のブロックチェーンで動いているのかそれとも単なるトークンなのか、全ての銀行に対応可能かなどは明らかになっていません。そもそも大臣は2月に初期の発表をした際にも多くの情報を公開していませんでした。同氏は当時以下のように述べています。​「仮想通貨ブロックチェーンを基盤とした仮想通貨のポストバンクの取締委員会との会合において、同国きっての頭脳を用いて国内初の仮想通貨の試験的実施のために必要な措置を定めました。審査と承認が必要なパイロットモデルが同国の銀行システムに披露されるでしょう。」そうして今や最初の実験を開始するレベルまで来ましたが、これまで述べていたように詳細は依然として明らかになっていません。この原因としてはトランプが脱税に関してイランに圧力を強めており、5月12日に新たな制裁を課そうとしていることが関係あるのかもしれません。この憶測によってイランでは最近法定通貨が下落し、キャピタルフライト(自国から海外に資本が流出すること)やさらなる価格の下落を防ぐためにイラン中央銀行が仮想通貨を禁止する事態が引き起こされました。ここまでの流れを踏まえると、仮想通貨が国単位で稼働しているケースはベネズエラただ一つとなりますが、ベネズエラの場合はトークンであり、正確にいうとトークン化されたボンドと言えるため厳密にいうとイランが理想とするロールモデルにはならないでしょう。おそらくイランはドバイのケースのように自分たちの金儲けの可能性やデ

参考サイト:イングランド銀行の公式サイト

参考記事:Bank of England Issues Working Paper on Central Bank Digital Currencies

参考資料:イングランド銀行総裁のスピーチ