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Decredとは、分散型暗号資産(仮想通貨)の一種です。「コインの保有者が運営方針を決めるべきだ」という理念の下、ブロックの承認方法に、PoW(プルーフオブワーク)だけでなくPoS(プルーフオブステーク)も導入していることが特徴です。PoSによる投票機能は、アップデートや開発方針の是非を問う際にも活用され、利用者のガバナンスを向上させる役割を果たしています。
これがDecredの現在(2017年10月14日~27日)のチャートです。24日に韓国大手取引所UPbitで取り扱いを開始したことから、高騰しました。
Decredは過去にも何度か大きなアップデートのたびに高騰・下落を繰り返しているので、この高値も一時的なものかもしれません。
Decredは、開発陣の発表したロードマップによると、今年中にライトニングネットワークの実装を予定しているので、実装直後に高騰が予想されます。
なので、もう少し値下がったら買っておくと良いかもしれませんね。
この投票機能は、コミュニティに参加している、コイン保有者の意向を反映する役割を持っています。裏を返せば、利用者がコミュニティに積極的に参加しない場合、機能不全に陥ってしまう可能性があるということです。
コミュニティに寄与せず、投資目的にDCRを保有するというスタンスの人が増えることで、そういった事態が生じるかもしれません。
投票は、Decredユーザーのガバナンスを強化するという役割があります。しかしながら、これはコミュニティ内でご意見番のような、発言力の大きな人物が出現した場合、裏目に出ることがあります。
というのも、大半のユーザーがその人物の発言に盲従してしまうような状況になった場合、その人物の一挙一動が開発方針に影響を与えてしまうかもしれません。そうなった場合、開発陣の意向と投票結果に齟齬が生じて、開発がうまくいかない可能性があります。
そういった、とても健全とはいえない状況が起きるリスクが投票制度にはあります。
投票制度の悪い面ばかり紹介してきましたが、当然このシステムにはいい面もあります。たとえば、マイニングにおいて、マイナーに対して計算資源を要求するPoW(プルーフオブワーク)と、投票によるブロック承認(プルーフオブステイク)とを同時に採用することによって、51%攻撃、Nothing at Stakeといった、どちらかしか採用していない場合にシステム上発生する可能性のある問題を解決しています。これは、ビットコインのような、どちらかしか採用していない通貨にはないメリットです。
投票機能によるガバナンス維持に健全な形で成功した場合、Decredはそれらのコインよりも安全性の高いものになるでしょう。
開発陣が新たな機能の開発にとても積極的な点が、Decredの将来性を大きく引き上げています。
たとえば、Decred開発陣によってリリースされたスマートコントラクトによって、他のコインとのアトミックトレードを達成しました。他にも、現在ではステークホルダー指向型のDAOなどが開発されています。
また、そういったスマートコントラクト技術以外にも、ライトニングネットワークへの対応や、開発ファンドの非中央化などが実装予定で、システム面・機能面共に充実させていこうという開発側の意欲が強く感じられます。
通貨名 | Decred |
公開開始 | 2016年2月8日 |
ブロック承認方法 | PoW PoS |
総発行量 | 21,000,000DCR |
現在のマイニング報酬 | 30DCR(うち60%がPoWマイナーに、うち30%がPoSマイナーに、うち10%が開発者に配布) |
ブロック生成速度 | 約5分 |
Decredの特徴的な点は、そのマイニング方法にあって、PoWでハッシュ計算、PoSで最終的なブロック承認というふうに、二つの承認方式を組み合わせている点にあります。これによって、51%攻撃やNothing at stake攻撃といった、PoW単体、PoS単体では生じていたシステム上の脆弱性に耐性を持っています。
PoWはでは他の暗号資産(仮想通貨)と同様にナンスを求める計算を行います。
一方、PoSでは、PoWマイニングによって出来上がったブロックを承認するかどうかという投票を行います。投票者は自分のコインを票に替え、承認への賛成・反対に投票します。多くの票の中からランダムにいくつかを取り出し、それらの票を有効票として賛成・反対を決めます。
このとき、有効票に選ばれた人には、票のために払った額にマイニング報酬が加算された額が手元に戻ってきます。また、無効票になってしまった人は、票のために払った額がそのまま返ってきます。
先ほどの投票制度は、Decredの開発方針を決めるためにも使われます。新たなシステムを導入する際や、フォークを実行する際など、その是非は投票によって決定されます。
なので、運営・開発側の影響力が強いほかのアルトコインや、マイナーたちの影響力の強いビットコインなどよりも利用者の意見が重視されている、ガバナンスの高いシステムであるといえます。
ビットコインでは、スケーラビリティ向上の議論の際に、マイナーと利用者・開発者とで完全に意見が正面衝突して、その結果分裂してしまう結果になりました。こういった、コミュニティ全体の合意形成ができないことによる問題の発生が、DecredではPoSを利用した投票システムのおかげで起こりにくくなっています。
アトミックトレードとは、ざっくりいうと、「ブロックチェーン上で他人と直接異なる暗号資産(仮想通貨)同士の取引ができる」ということです。要は、「ビットコインをもらう代わりにDecredをあげよう」みたいな取引が、取引所を経由しなくても行えるということです。
取引所などを使おうとすると、どうしても自分の個人情報を登録しないといけません。ですが、アトミックトレードではその必要はなく、匿名性が保たれるのです。
一方、デメリットとして、時間がかかるという点や、マイナーに手数料を払わないとスムーズに取引できない場合があるという点が挙げられます。
Decredの開発陣は、スマートコントラクトを利用したアトミックトレードに成功しました。今のところ、ビットコイン、ライトコイン、Decred、ヴァートコインの間でのアトミックトレードに成功しています。
将来性の項でも書きましたが、Decredのブロックチェーンではスマートコントラクトの開発もできます。実際に、ステークホルダー指向型DAOの開発・実装が現在では予定されています。
アトミックトレードの成功など、開発の実績もあり、今後の開発も期待できます。
Decredには、やはり投票が裏目に出た場合のリスクが多く存在します。これもその一つで、開発者は投票によって否決される可能性が存在する以上、安定して開発のロードマップを引くことができないかもしれません。このことは、開発陣のモチベーションの低下など、開発の不安定化に繋がる恐れがあります。
また、このデメリットは、Decredの方針である、「コイン保有者に最終決定権をゆだねる」ことによって生じている問題なので、Decred内部で完全に解消することは難しいと思います。
投票システムの破綻がもし起こってしまうと、Decredの価値が著しく下落する恐れがあります。今現在はうまくシステムが機能しているようですが、これまでこの「投票による意思決定」に重きを置いてきたプロジェクトはThe DAOを含め軒並み失敗しているので、いつまでもこの良好な状態は続かないかもしれません。
投票システムは、Decredの大きな強みであると同時に、そこに投票者の意思という不確定要素を含んでいる以上、弱点であるとも言えるでしょう。
アメリカに本拠地を置く大手取引所です。Decred取引全体の45%がこの取引所で行われています。
ここは大手取引所の中でもアルトコインの取り扱いが非常に多いので、Decred以外のコインにも興味のある人はここを使ってみると良いでしょう。
ただし、日本語には対応していないので注意してください。
こちらもアメリカに本拠地を置く大手取引所で、Decred取引全体の54%がここで行われています。Bittrexとここで99%のシェアを占めているんですね。
こちらも、Bittrexほどではありませんが多くのアルトコインを取り扱っています。
ここも、日本語に対応していないので注意してください。
Decredは公式でウォレットのプログラムを配布しています。自分のウォレットを自分で管理したい方は、公式ウォレットがおすすめです。
とはいえ、Decredを他の通貨と取引するなら、そのたびに取引所のウォレットを使わなくてはいけません。
また、取引所ウォレットは、ハッキングの恐れがあるとはいえ、預けている他のコインと一緒にまとめて管理できるという利点があります。
なので、わざわざ専用のウォレットを使うのが面倒くさいなら、取引所のウォレットを使うと良いでしょう。
Decredでは、PoW、PoSの二通りのマイニング方法があります。そして、どちらの方法でも、公式ではPoolMining方式を推奨しています。
マイニングプールという組織に所属し、計算を手伝うことで、全員でマイニング利益を分割する方法です。
以下でそれぞれのプールを紹介します。ただ、どれも英語のページしかありません。
Decredは、保有者の投票という将来性にも問題点にもなりうる要素を導入しています。今のところはうまくいっているようなので、この状態が続けば、開発陣の努力によってかなり機能が充実してきていることもあり、もっとメジャーなコインになれるのではないでしょうか。
投票制度に不安はあるものの、正直かなりポテンシャルの高いコインだと思います。