「暗号資産(仮想通貨)のボラティリティってなに?」

こう思っている人も少なくはないと思います。

たしかに暗号資産(仮想通貨)だけでなく他の投資商品でもボラティリティという言葉はよく耳にしますが、実際どのような指標なのが気になりますよね。

この記事ではコインパートナー編集部が一般的なボラティリティの定義を解説した上で他の投資商品と比べた暗号資産(仮想通貨)のボラティリティの特徴や利用方法について詳しく紹介しています。

この記事を読めばさらに、暗号資産(仮想通貨)に限定せず一般的なボラティリティの知識も得ることができます!

ボラティリティとは

ボラティリティ(Volatility)とは,ある資産のランダムな価値変動の激しさを表す指標のことです。

ボラティリティが高いと,実際の収益が期待値から外れる可能性が大きくなり,ボラティリティが小さいと収益が期待値に近くなる可能性が大きくなるため,リスクの指標の一つとしてよく用いられています。

ボラティリティには2種類ある

ボラティリティには「ヒストリカル・ボラティリティ(HV)」「インプライド・ボラティリティ(IV)」の2種類があります。

一般にボラティリティというと前者のヒストリカル・ボラティリティを指すことが多いです。

ヒストリカル・ボラティリティ(HV)

ヒストリカル・ボラティリティ(HV)とは,過去の価格データから求めた(正確には,推定した)ボラティリティのことです。

これは、統計学の「標準偏差」にあたります。

過去の価格データを等間隔にn+1個取っていった時にそのi番目の価格をSi(i=0のときが一番古いデータ)とすると,ヒストリカル・ボラティリティ(HV)をσとして,

と求めることができます。

式の意味をざっくりと説明すると,ある一定期間経った時に価格が何倍になっているか,というデータをたくさん取っていったときに,その比率のブレやすさがσになっています。

ヒストリカル・ボラティリティ(HV)が大きいと相場は荒れており、小さいと相場は穏やかであるというように、相場状況の判断に用いることができます。

インプライド・ボラティリティ (IV)

インプライド・ボラティリティ(IV)とは,オプション取引というもので用いられる,将来どのくらい価格変動が激しくなるかを表した値です。数式は難しいのでここでは省略します。

オプション取引というのは,ある期間が過ぎたときにある価格で商品を買えるという権利を取引するものです。

例えば,1BTCを1年後に80万円で買える権利を1万円で購入したとします。仮に1BTCが1年後に100万円になったとすると,100-(80+1)=19万円の得になります。逆に,ビットコインが下落して1BTCが40万円になってしまった時は,1万円で買った権利を放棄することができます。

この例から分かるように,オプション取引において価格の下落は権利の価格の分の損にしかなりません。そこでオプション取引では,ボラティリティが高いほど取引所が損する可能性が高くなってしまうので権利の価格は高くなります。

よって,インプライド・ボラティリティ(IV)はオプション取引において重要な要素になっているわけです。

ボラティリティは取引所によって違う

暗号資産(仮想通貨)の価格は取引所によって異なるので,当然算出されるボラティリティも取引所によって違います。

ビットコインの取引所ごとのボラティリティは,こちらで見ることができます。

つまり,ビットコインのボラティリティと一口に言ってもその値は一つに決まるわけではなく,結構あいまいな値になっています。

株やFXと比べて仮想通貨のボラティリティは高い!その理由3つを紹介

これは2018年10月21日における日経平均株価,ドル/円,ビットコインのそれぞれの60日ヒストリカル・ボラティリティをコインパートナーが独自に計算したものです。(ただし,データ取得間隔は1日,ビットコイン以外は取引停止期間のデータを除くため取得データ数は43となっています。)

ビットコインが圧倒的にボラティリティが高いことが一目で分かると思います。他の資産として金が挙げられますが,金のボラティリティはこのグラフには表示できないほど小さいです。

なぜ暗号資産(仮想通貨)のボラティリティ がこれほどまでに高いのか、主に次の3つの理由があげられます。

暗号資産(仮想通貨)のボラティリティが高い理由

    • 市場規模が小さい
    • ストップ高・ストップ安のルールがない
    • 中央管理者が存在しない

市場規模が小さい

暗号資産(仮想通貨)は2008年にビットコインの論文が初めて発表されたのをきっかけに世の中に現れ、暗号資産(仮想通貨)バブルとも言われる2017〜2018年にそれなりに社会に知れ渡りましたが本格的な普及はまだまだと言えるでしょう。

株やFXなど他の投資商品に比べると市場規模は小さく、その分大口の取引によって価格が左右されることが多いのが特徴です。

そのため短時間で価格が大きく上昇したり下落したりすることもよくあります。

ストップ高・ストップ安のルールがない

株式市場の場合、一日の中での価格変動幅には上限があります。

上限を超えると取引が中止になるので、上限を超えた価格の変動は抑えることができます。

しかし、暗号資産(仮想通貨)にはこのような上限が設けられていません。そのため相場の流れによって大きく価格が変動することがあり、需給のバランスが傾きやすいと言えます。

中央管理者が存在しない

ほとんどの暗号資産(仮想通貨)には中央管理者が存在しません。このためプログラムの改善や機能向上を図る際は大勢の開発者やマイナーが協議して決めることになります。

そのため開発者間の対立が起こることもあり、これが価格変動に影響を及ぼすこともあります。

実際にビットコインキャッシュのアップデートの際には、開発者のコミュニティ内で対立が起こり価格が急落したことがありました。

ボラティリティが高くなるタイミング

ボラティリティが高くなるタイミング

  • 暗号資産(仮想通貨)取引所への新規上場
  • 市場関係者によるプレスリリース
  • 著名人の発言や社会の動向

ここではボラティリティが高くなるタイミングを解説していきます。 

暗号資産(仮想通貨)取引所への新規上場

株式市場などでは、大きな価格上昇が期待される新規公開株が新たに上場すると、急激に価格が上がることがあります。

これは暗号資産(仮想通貨)についてもいうことができ、新たな暗号資産(仮想通貨)の取り扱いが開始すると価格が上がる傾向があります。

特に登録者数の多い暗号資産(仮想通貨)取引所に新たな暗号資産(仮想通貨)が上場すると注目度も高まり、ボラティリティにも大きな影響が与えられます。

市場関係者によるプレスリリース

暗号資産(仮想通貨)についての情報は日々ネットやテレビなどで知ることができます。

特に市場関係者によるプレスリリースや企業提携などの発表が行われた際には価格への影響も大きく、ボラティリティが大きくなると言えます。

こうしたボラティリティの変化を見逃さないためにも暗号資産(仮想通貨)についてのニュースは常日頃からチェックしておくことが大切です。

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著名人の発言や社会の動向

暗号資産(仮想通貨)についての情報は市場関係者だけでなく著名人や政治家によっても発信されます。

影響力の大きい人の発言はその分価格に影響を及ぼす可能性が高く、ボラティリティも激しく変化することが言えます。

この他にも暗号資産(仮想通貨)トレードで大きな利益をあげた「億り人」の発言に注目してみるのもボラティリティ変化を知る上で有効な方法であると思われます。

ボラティリティの活用法

ボラティリティの活用法

  • 低ボラティリティが続くと要注意
  • 短期トレードにはボラティリティの高い通貨を選ぶ

ここからは暗号資産(仮想通貨)の高いボラティリティを活用する方法について解説していきます。

低ボラティリティが続くと要注意

ボラティリティが小さい相場が続いているときは相場のエネルギーが溜まっており、何らかのきっかけで価格が急激に動く可能性が高いです。

そのため、価格変動が転換するタイミングでエントリーすることで大きな利益を狙うことができます。

エントリーのタイミングを見極めることが重要になってくるので、価格の動きや様々な指標から総合的に判断するようにしましょう。

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短期トレードにはボラティリティの高い通貨を選ぶ

エントリーした健玉を長期間保有しておく長期トレードとは違い、短期トレードは短期間の値幅で利益を狙いにいくことが大切です。

そこで、値幅の大きさを示すボラティリティが重要になってきます。

短期間でも利益をあげられるように、なるべく高いボラティリティの通貨を取引するようにしましょう。

ボラティリティはどういう計算式から分かる?

ボラティリティのざっくりとした意味は説明しましたが,ここでは少し数学的な説明に踏み込みつつボラティリティを説明していきたいと思います!

参考程度のものなので興味のない方は読み飛ばしてもらって構いません。

ボラティリティの厳密な定義

ボラティリティとは、ある資産の価格が幾何ブラウン運動モデルという式に従うと仮定したときに,その式の中に出てくるある定数の名前のことです。

まず,幾何ブラウン運動モデルとは,価格をS(t),ブラウン運動と呼ばれるランダムな動きを表すものをB(t),σ,μをある定数とした時に,

という式に従うよ,というものです。実際の価格変動が完全にこれに従っているわけではないので「モデル」というわけです。

さて,ここに出てくる定数σのことをボラティリティといいます。詳しい式の意味は置いておいて,ボラティリティがランダムな要素B(t)の係数になっていることが分かりますよね?

つまりボラティリティが大きければB(t)の変化の影響を大きく受けて,小さければ影響も小さくなるというわけです!

このボラティリティの値の求め方の違いによってヒストリカル・ボラティリティ(HV)とインプライド・ボラティリティ(IV)の2種類が出てくるわけです。

Excelを使って計算してみよう!

ヒストリカル・ボラティリティ(HV)はさほど難しい計算ではないのでExcelを使って計算することができます。「ビットコインの2013年4月28日から2017年10月21日までのデータを1日おきで取った場合」を例にして説明します。

CoinGeckoからデータを取ってくる

まずこちらを開きます。チャートの下にある"Exported As"というところを押して"CSV"を選択するとExcelが起動します。すると,2013年4月28日から今日までのデータが1日ごとに表示されているはずです。

比率を出して,その自然対数を取る

Eの列の上から3番目(E3)に「=B3/B2」と打ち込んでください。そうするとB3の値をB2で割った値がでます。

そして,E3を選択したとき右下に出てくる四角を押したまま下へずーっと引っ張っていくと,毎日の価格比が自動で計算されていきます。

次に,F3を選択したら数式パレットの中にあるLNというという関数を選択し,()の中にE3と入力します。

先ほどと同様に,F3をクリックした時に出てくる右下の四角を押したまま下へずーっと引っ張っていくと,さっき求めた比率の自然対数というものが求まります。

標準偏差を求める

Fの列にあるデータの標準偏差を求めればそれがヒストリカル・ボラティリティ(HV)になります。

Fの列の一番下のデータが何行目にあるのか確認してください。2017年10月21日に行なったので1637となっています。

F1638のところを選択して,数式パレットの中にあるSTDEV.Sを選択して,()の中にF3:F1637と打ちます。(1637のところは行う日によって当然違いますので,自分でFの列の一番下のデータの行番号を入力してください。)

これで,ヒストリカル・ボラティリティ(HV)が求まりました!今回は0.043203961というだいぶ小さな値が出ましたが,これはデータを取る間隔が1日ごとで小さいからです。

くれぐれも複数の商品のボラティリティを比較するときに求め方が違ったりすることのないように気をつけてください。

必要に応じて不要なデータを消せば,好きな期間,好きな間隔でのボラティリティを計算することができます!

ボラティリティについての気になるQ&A

ボラティリティインデックスって何?

ボラティリティインデックスとは、オプション取引において、投資家たちが今後の値動きがどのくらい激しくなると予想しているかを表す値のことです。

一般的にボラティリティインデックスの指数が40を超えると市場全体に恐怖感が広がって売りが増える傾向にあります。

リーマンショックの際に話題になった恐怖指数もこれと同じです。

ボラティリティスマイルって何?

ボラティリティスマイルとは、オプション取引において、権利行使価格を横軸に、インプライド・ボラティリティを縦軸に取ったときに描かれる曲線のことを指します。

この曲線は人の笑顔の口の形に似ていることからスマイルカーブとも呼ばれています。

ボラティリティまとめ

ボラティリティ まとめ

  • ボラティリティとは、ある資産のランダムな価値変動の激しさを表す指標のこと
  • ボラティリティにはヒストリカル・ボラティリティとインプライド・ボラティリティがある
  • 暗号資産(仮想通貨)のボラティリティが高いのには3つの理由がある
  • ボラティリティが高くなるタイミングを把握して正しく利用することが大切

今回は、ボラティリティの定義を整理した上で他の投資商品とは違う暗号資産(仮想通貨)のボラティリティの特徴、変化するボラティリティを上手く利用する方法について紹介してきました。

暗号資産(仮想通貨)に限らず、投資を行う際はこうした基礎的な知識をしっかりと理解して臨むことが大切です。

是非この記事で学んだことを理解して理想的な投資ライフをスタートさせましょう!