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TenXとは、ウォレットとカードが一体となった暗号資産(仮想通貨)デビットカードで、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)を店先で使えるようにする、現実世界と暗号資産(仮想通貨)をつなげるサービスです。今までもWireXやバンドルカードのようなチャージ型のプリペイドカードは存在しましたが、それらはチャージするときに法定通貨になってしまっていました。
TenXはそれらとは、一線を画しています。ウォレットとカードが一体化しており、決済直前で自動で暗号資産(仮想通貨)を法定通貨に両替して引き落とされるので、今まで通りのデビットカードとして機能します。現在取り扱っている通貨は、ビットコイン、イーサリアム、ERC20トークンなど幅ひろく対応しています。また、下で詳しく説明しますが、TenXの特徴として、TenXのトークンのpayを持っていると、持っているpayに応じて配当としてイーサリアムがもらえるので、TenXは株に似ているというイメージを持っておくといいと思います。
(2017年10月9日現在)
TenXの価格は、8月に入り高騰しています。価格の推移の原因を分析してみようと思います。
①8/2にリリース日程が確定した報告を公式slackで発表したことによります。
②web版のリリースは8/14,iso版のリリースは21日なのでその前は上がっている。リリース直後は価格が上がりすぎたことによる価格の低下が起こっています。
TenXカードを使っても、従来のデビットカードを使っても店側にかかる手数料は同じでどちらも3%です。メリットとしては「暗号資産(仮想通貨)のユーザーを取り込める」ということが重要ですが、「手数料がお得になる」というわかりやすいメリットがありません。手数料が同じならわざわざ手間やコストをかけてまでTenXカードを導入しようというモチベーションに繋がりづらいです。
主な事例として2つの場合が考えられるでしょう。
1.暗号資産(仮想通貨)の価値の変動が激しいので、店側としては、暗号資産(仮想通貨)という形で売上が立つ状態では、値段設定が難しかったり、円建てて考えた際の利益が急落する可能性があります。なので、暗号資産(仮想通貨)保有者を顧客として囲いつつ、暗号資産(仮想通貨)決済の店側のリスクをなくしてくれるという点で、TenXはめちゃくちゃ価値がありますが、もっと暗号資産(仮想通貨)決済が世の中に浸透して実需が出てくるとボラティリティが落ちてきて、暗号資産(仮想通貨)決済を導入することの店側のリスクがそもそもなくなってくるので、暗号資産(仮想通貨)決済が浸透してくると落ちぶれて行く可能性がある。
2.いろいろな店が、「豊富な種類の通貨を決済手段として受け入れている」という状態になったら、ユーザーはTenXを使わなくても便利に暗号資産(仮想通貨)決済が使えるためあえてTenXを使う理由がなくなる。
3.店ごとに受け入れている法定通貨とか暗号資産(仮想通貨)とかがバラバラだとしたら、ユーザーからすれば、普通の暗号資産(仮想通貨)決済のユーザビリティーが悪いので、TenXが大きな価値を持つという可能性もあります。つまり、自分はライトコインとイーサリアムを持ってるけど、行った店が円とビットコインしか決済通貨として受け入れていないと決済出来なくて面倒くさくなってしまうのですが、それを解決する手段としてTenXカードの需要が増すというパターンがあります。
4.暗号資産(仮想通貨)決済が浸透するフックにTenXカードがなって、その普及率からそのままTenXカードが便利だなという風になってすごく価値を持つ可能性もあります。
TenXとはのところで書いた瞬時の決済って実際レートとかどうしてるの?と思う方もいるかもしれません。
この瞬時の決済を可能にしているのが、クロスチェーン決済ネットワーク『comit』と呼ばれるもので、このシステムを簡単に説明すると、異なるブロックチェーン同士を結びつけるプロトコルで、様々な暗号資産(仮想通貨)と取引所を結びつけることで、最も適切なレートでの決済を可能にしています。
今後はこのシステムを発展させることで暗号資産(仮想通貨)間での両替や、取引所としての役割も果たすのではないかと感じられますし、決済の多くが暗号資産(仮想通貨)で行われるのも夢じゃないかもしれません。
暗号資産(仮想通貨) | TenX |
トークン名 | pay |
開発組織 | TenX※ |
コインの供給上限 | 205,218,256 PAY |
公開日 | 2017年6月6日 |
※シンガポールのフィンテック企業
やはりTenXの最大の特徴は決済システムにあるといっていいでしょう。TenXカードのシステムを従来の暗号資産(仮想通貨)カードと比較して説明します。
・従来の暗号資産(仮想通貨)カード
ウォレットからカードに暗号資産(仮想通貨)をチャージするときに法定通貨に両替して、それをカードに入金するので、手数料が2回かかってしまいます。これはデビットカードというよりはプリペイドカードです。なので、事前に金額を指定してカードに入金することになり、価値が増減する暗号資産(仮想通貨)においては、価値が変化した時に他のコインに変換するのが大変です。その上、現状の税制度では法定通貨に変えたタイミングで所得税の対象になるので、使わないのに入金した分の税がかかってしまいます。
・TenXカード
ウォレットとデビットカードが紐付いているので、ウォレットに暗号資産(仮想通貨)として入金していた分の暗号資産(仮想通貨)をそのまま使える上、法定通貨に変換するのは決済の瞬間なので、レートの変動に左右されづらいです。またウォレットにチャージされている分をそのまま使えるので無駄な手数料がかかりません。その上、所得税も使った分しか掛かりません。また、現在はキャッシュカードのような役割も果たしていて、ウォレットの中の暗号資産(仮想通貨)を法定通貨に両替してATMで引き出すこともできます。
comitシステムのおかげで決済寸前まで暗号資産(仮想通貨)として持っておくことで、レートの価格変動を見逃さずに対応できます。
つまりビットコインをビットコインのまま持っておくことができるので、手間も省くことができ、かつ法定通貨にかえる必要がないのでビットコインの価格変動に対して、デビットカードの中にある法定通貨をビットコインに変えてからトレードをするといった工程が必要なくなります。
まず、TenXにはこのような特徴があります。
・TenXカードの利用額の0.1%が利用者にpayトークンとして配布される。
・全世界の利用額の0.5%がpayトークン保持者に持っている割合に応じてETHで配布される。
このお金は店側の手数料から出ています。
TenXカードは、利用すると従来のデビットカードと同じように3%の手数料が店側にかかります。具体的な値で計算してみましょう。
まずあなたが10000円分の買い物をしたとします。この時店にかかる手数料は300円です。このうち100円はカード会社の取り分で残りの200円がTenX側の取り分となります。さらにこの内訳として、全体の0.1%に当たる10円があなたに、0.5%にあたる50円がpayトークン保持者に、残りの0.4%である40円がTenXの利益になります。
ここで全世界の利用額の0.5%に着目してみましょう。
もし仮に、TenXが目標にしている流通額の10兆円、コインの供給上限の約2億pay流通しているとするともらえるETHは、、、
10兆×0.005÷2億×(持っているpayの数)=250×(持っているpayの数)
現状1payが200円ぐらいなので、もし今のうちにpayを10000payほど(200万円ほど)買っておけば年間250万円を配当としてもらえることになります!!!!
上記で述べた通りTenXでは、TenXで決済するだけで利用額の0.1%が利用者にpayトークンとして配布されます。
ここで重要なのは現在のレートでのpayがもらえるわけですから、もし10000円の決済で10円分のpayをもらったとして今後の価格変動によっては10円ぶんのpayが10倍になったりもするわけです。その上に、payはもっているだけでETHの配当があるわけですから、TenXで決済して損することはないでしょう。
カード発行手数料 | $15 |
年会費 | $10/年 ※ |
ウォレットへの入金 | 無料 |
ウォレットからの出金 | 無料 |
決済手数料 | 無料 |
通貨の両替手数料 | 無料 |
為替手数料 | 無料 |
ATMでの出金 | $3/回 |
※年間$100の利用で無料になります
(TenX Wallet Appからの引用)
見てもらえれば分かるように既存のデビットカードならかかるような手数料がほとんどかかりません。これもcomitの利点と言えるでしょう。
今の段階では規模がそんなに大きくないのでデータ処理ができていますが、いざ規模が大きくなってたくさんのデータを処理することになった時に、異なるブロックチェーン同士をつなぐという複雑な処理を毎回処理できるかどうかは疑問が残ります。
これに関してはなってみないとわからないことですが、出来確定的ではないのでリスクと言えます。
暗号資産(仮想通貨)×デビットカードというジャンルに目をつけている企業は少なくないと思います。現状はこのジャンルにおいて先立ててTenXが出てきたという感じですが、大手企業が参戦してきて安定したシステムを開発した時に生き残っていけるのかどうかはわかりません。例えばMobi,Monaco,Tokencard,Xapoといった競合他社がいます。
今は、競合他社に比べて手数料がTenXは安いですが、今後他社が安くしてくる可能性は高くこのメリットは長く続かないかと思います。
comitの開発に多額の資金が投入されていますが、開発が成功するかはわからないので、comitが上手くいかないと大手の競合に勝つのがなかなか難しくなってしまう可能性があります。
日本の取引所ではまだ取り扱っているところはありません。(2017年10月現在)
Bittrexは海外の取引所の中でもかなり有名なところで、TenXもここから上場しました。BTC建てかETH建てでpayを購入することができます。アルトコインの売買手数料は一律0.25%で圧倒的に安いです。また、取引できる通貨の数もかなり多いのでたくさんのコインを取引したい人にオススメです。
Liquiは住所の登録を必要とせずに登録ができるので手軽に取引を始められる取引所になります。特徴としては、マイナーな通貨を多く取り扱っていて、大手取引所より早く通貨を扱おうとしています。欠点としては送金手数料がBittrexより高いという点です。
マイナーな通貨を多く取り扱うということは、潰れるリスクが高いということは、頭に入れておきましょう。
公式で出しているTenX walletにpayを保存することもできますが、他のウォレットでも問題ないので、セキュリティの固い、オススメのウォレットを紹介します。payはERC20トークンなので、ERC20トークンに対応しているwalletなら管理することができます。
まず、オススメするのは、MyEtherWalletというデスクトップウォレットです。圧倒的に有名なウォレットで、多くの人がこのウォレットを利用してると思います。このウォレットは自分で秘密鍵を管理するタイプのもので、ネット上に秘密鍵を晒す必要がないので、PCが安全なら(ウイルスなどにかかっていなければ)、秘密鍵も安全に管理できるというものです。手数料は0.0005~0.001ETHで、高いほど早く送金が完了します。
MyEtherWalletの登録はこちらから!コインパートナーのMyEtherWalletに関する詳しい記事はこちらから!
Ethereum用ウォレットでもっとも有名なMyEtherWallet。ブラウザを経由して手軽に利用できるこのウォレットの、仕組みや使い方など人気の理由を解説します!この記事を読んでMyEtherWalletを使いましょう!
最もスタンダードなイーサリアム用のウォレット、MyEtherWalletを使いこなそう!新しいウォレットの作り方から、入出金までを画像つきで詳しく解説します!これを読めばあなたもMyEtherWalletマスター!
Trezorは最も人気なハードウェアウォレットの一つでこれも秘密鍵をオフラインで管理できるのでオススメです。ただ、ハードウェアウォレットは機材自体の価格が高い上、人気なので入手が少し困難かもしれません。Trezorも多くの通貨に対応しているので、多くの通貨を持っているなら必要なアイテムかと思います。
(Trezorの記事のリンク)
imTokenはETH系のトークンのウォレットです。上記の2つに比べるとセキュリティの面では少し劣ります。imTokenは自由に送金コストをあげられるというメリットがあります。送金コストを高くして何がいいのかと思う方もいでしょうが、これにはICOの参加の際などにとても便利になります。送金コストが高ければ高いほど、早く処理してもらえる可能性が上がるからです。
(imTokenの記事のリンク)
VISAまたはMasterCardブランドで発行されているためVISA、MasterCardに対応している全国3600万ヶ所の店舗や、ネットショップ、ATMで利用可能です。そのため店舗が暗号資産(仮想通貨)に対応している必要はなく、身近なコンビニなどでも使えます。
TenX Wallet Appを用いて注文できます。ここで注意が必要なのは、送料を含む発行手数料$15をウォレットに入れておく必要があります。
コインパートナー的には、TenXは他の暗号資産(仮想通貨)と比べると少し特殊な暗号資産(仮想通貨)といえますが、本当に世の決済方法を変えうる可能性のある通貨だと思っています。
TenXはまだまだ若い通貨で、新しい試みであるため世間で受け入れられるには先が長そうですが、暗号資産(仮想通貨)×デビットカードというジャンルは今後注目を浴びて行くと思いますし、まだまだTenXは伸びていくと思います。
暗号資産(仮想通貨)が決済のスタンダードになり、TenXによる決済が日常となる未来がくるかもしれません。今後のcomitの開発に期待しましょう。
コインパートナーでは他の暗号資産(仮想通貨)の記事もたくさん書いているのでぜひそちらも読んでみてください!!!