リップルは中国への事業進出に向けて本格的に着手し始めているようだ。

リップル社は上海支部設立に向けてカントリーマネージャー(海外ビジネスを展開する際の管理者)を募集。中国をはじめとして、アジア圏でのリップルネットワーク普及や提携企業の拡大を目指していると考えられる。

リップル社が上海支社設立に動く

リップル社は上海に支社を設立するにあたってカントリーマネージャーを探している。これはリップルの中国支部Ripple Chinaを創設し、RippleNet加盟企業を増やすことが目的であると考えられる。

リップル社はサンフランシスコに本社を持ち、ニューヨーク、ロンドン、ムンバイ、サンパウロ、シドニーに支社があるが、中国には依然拠点を置いていない。

また、World Bankによると、中国の年間送金決済額は670億ドルにも登り、世界第2位の数字である。

こうした現状を踏まえると、リップル社にとって中国は未開拓の潤沢市場であるのだ。

中国市場を開拓するにあたって、リップルは実績と人脈を持つ専門家を模索している。志願者は銀行や支払いプロバイダ、規制当局などを介した決済業務の仕組みや、中国全土で決済システムがどのように機能するかについて深い理解があることが求められる。

リップル社による中国進出

支社設立に限らず、リップル社による中国進出は以前から顕著であった。

EU戦略勘定担当副社長であるジェイミー・ライト氏はCNBCのインタビューにて「中国は非常に興味深い市場であり、目的の一つである」と公言。リップル社は既に中国進出戦略を公表していたのだ。

今年1月には1月にはリップルは清華大学フィンテックリサーチ研究所と共同で、ブロックチェーン研究奨学金プログラム(BRSP)を開始。ブロックチェーン技術の開発と国際的な規制方針の作成に焦点を当てている。

この他にもリップル社は中国、欧州、米国間の決済ネットワークを強化すべく香港の金融機関LianLianと提携をしている。

中国におけるリップルの今後の展望

中国国務院は昨年5月にブロックチェーン技術の早期開発を支える声明を発表。ブロックチェーン技術に関しては国単位での支援を表明している

その一方、2017年に暗号資産(仮想通貨)関連企業を取り締まり、中国国内の銀行によるサービス提供を中止した。昨年10月には、暗号資産(仮想通貨)イベントの禁止やSNSアプリWeChatでの暗号資産(仮想通貨)チャンネルを廃止するなど、暗号資産(仮想通貨)に対しては厳しい措置をとっている

こうした背景を考えると、RippleNetの送金技術は普及するものの、XRPは受け入れられない事態が発生することが考えられる。

その対策としては、自国通貨を発行する中央銀行をはじめとした政府機関との折り合いが非常に重要になってくるだろう。