ビットコインの現在の価格は89,010ドル、前日比で約3,685ドル（約3.98%）【2025/2/22】の高値と比較すると約1万ドル（約10%）下落となっています。
この下落の背景にはビットコイン現物ETFからの大規模な資金流出、米国の複数州でのビットコイン準備金法案の否決、そしてBybitの大規模なハッキング事件などが影響していると考えられます。

ビットコイン現物ETFからの資金流出

2月24日、ビットコイン現物ETFから約5.3億ドル（約800億円）の資金が流出しました。
これは、2024年1月に米国でビットコイン現物ETFがローンチして以来、5番目に大きな流出額となります。
特に、フィデリティの「FBTC」では2.4億ドル（約368億円）、ブラックロックの「IBIT」では1.6億ドル（約236億円）の流出が確認されました。

流出とはどうして起きることなのか？

今回の場合はETFで購入したビットコインが大きく仮想通貨相場が下向きを示したためその情勢に対して大きく価格が落ちる前にする利確としての投げ売りとみられます。

IBITとFBTCの推定購入時価は？

フィデリティとブラックロックの両社は、いずれも2024年初頭に米国で初の現物型ビットコインETFをローンチしました。
【ブラックロック – IBIT】
取引開始日：2024年1月11日
当時のビットコイン価格：約49,000ドル前後（ローンチ直後のピーク付近）
【フィデリティ – FBTC】
取引開始時期：ブラックロックとほぼ同時期（2024年初頭）
当時のビットコイン価格：IBITと同様、概ね45,000～50,000ドル前後と推定

どちらも現物ETFとしてビットコイン価格に直接連動する仕組みを採用しており、取引開始時点では市場ではまだ比較的低めの水準（半減期前の水準）で推移していました。
※なお、FBTCの正確な初取引日やその時の正確なビットコイン価格については公開情報が限られているため、IBITとほぼ同時期で同程度の水準だったと推定されています。

米国の州議会でのビットコイン準備金法案の否決

米国モンタナ州下院は2月22日、ビットコインを州の準備資産とする法案を41対59で否決しました。
この法案は州の資金をビットコインや貴金属、ステーブルコインに最大5,000万ドル投資することを提案していましたが、ビットコインの価格変動性や投機的性質への懸念から否決されました。
ノースダコタ州やワイオミング州でも同様の法案が否決されており、ビットコインを公的資産として採用する動きにブレーキがかかっています。

仮想通貨は公的資産として認められると上がり、認められないと下がる傾向が強い

あくまで一時的な要素として強い要素ですが、例としてXRP(リップル)もETF承認のニュースがある際には一時的な急騰をした傾向が強いです。

Bybitの大規模ハッキング事件

2月21日深夜ドバイに本社を置く大手仮想通貨取引所Bybitが、約14億6,000万ドル（約2,170億円）相当のイーサリアム（ETH）をハッキングにより流出させる事件が発生しました。
この事件は、コールドウォレットからホットウォレットへの移行中に発生し、ハッカーは401,000 ETHを不正に取得しました。
Bybitのベン・チョウCEOは、顧客資産は1対1でバックアップされており、同社は依然として支払い能力があると述べています。
この事件後、顧客からの出金要求が殺到し、40億ドル以上の資金が引き出される「取り付け騒ぎ」が発生しました。

取引所のハッキング事件後は全体的に相場が下落しやすい

こういった事件の直後は資産としての信用度に大きく関わることなので仮想通貨以外の株や金や法定通貨に資金が移動する傾向があります。

長期的なボラティリティの低下とスクイーズの発生

ビットコイン市場では、長期にわたり大きな価格変動がなく、ボリンジャーバンド（BB）の幅が狭まる傾向が見られました。
これは、市場のボラティリティが低下し、価格が一定のレンジ内で推移していたことを示しています。
しかし、ボリンジャーバンドの幅が狭まると、その後に大きな価格変動が起こる可能性が高まるとされています。
今回の急落は、このような低ボラティリティ期間の後に起こる「スクイーズ」と呼ばれる現象の一例と考えられます。

スクイーズとは

低ボラティリティの状態
市場が一時的に落ち着いており、価格の変動が非常に小さい状態を示します。
ブレイクアウトの前兆
長期間の低ボラティリティ状態の後市場はエネルギーを蓄えていると考えられ、いずれかの方向（上昇または下降）への大きな動き、いわゆるブレイクアウトが発生する可能性が高まります。
それを踏まえた取引のヒント
多くのトレーダーはスクイーズが発生したときにブレイクアウトのタイミングを狙って取引を行う戦略を取ります。
ただしスクイーズ自体はブレイクアウトの方向性を示さないため、他のテクニカル指標や分析と組み合わせることが重要です。

まとめ

今回のビットコインの価格下落は、ETFからの大規模な資金流出、州レベルでのビットコイン準備金法案の否決、Bybitのハッキング事件、そして長期的なボラティリティの低下といった複数の要因が重なっていると考えられます。
特に、長期的なボラティリティの低下は、市場参加者の関心や取引量の減少を示唆しており、今回の急落の一因となった可能性があります。
今後、ビットコイン市場の回復には、セキュリティ対策の強化、規制環境の安定化、そして市場参加者の活性化が重要となるでしょう。
また、投資家は市場のボラティリティやニュース動向を注視し、適切なリスク管理を行うことが求められます。
今月は月足が悪い形になってきているので、3月もBTCの相場は下を向く可能性が高いと推測されます。