2025年2月19日、金融庁は金融審議会総会において、「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」の報告書を承認しました。この報告書は、暗号資産(仮想通貨)やステーブルコインに関する新たな規制枠組みを提案しており、利用者保護の強化や新たな業態の導入が盛り込まれています。
報告書では、2022年11月のFTX破綻を受け、暗号資産取引所の破綻時に利用者資産を保護するための規定を資金決済法に導入することが提案されています。
具体的には、金融商品取引法を参考に、海外の親会社が倒産した場合でも国内のユーザー資産が国外に流出しないよう、資産の国内保有命令を発出できる仕組みを明文化する方針です。
また、暗号資産の売買や交換を仲介する新たな業態として「仲介業」の創設が提案されています。この仲介業者は、特定の取引所に所属し、利用者の財産を預からないことを前提としています。
そのため、財産的基盤に関する参入規制やマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)義務が適用されない方針が示されています。これにより、ゲーム会社やウォレット事業者など、多様なプレイヤーが参入しやすくなることが期待されています。
ステーブルコインに関しては、特定信託受益権の発行見合い金の運用対象資産を拡大する提案がなされています。
現行の要求払預貯金に加え、短期国債や一定の定期預金での運用を認める方針であり、新たな運用対象資産の組み入れ比率は上限50%とすることが提案されています。
これにより、発行事業者は資金運用の選択肢が広がり、収益性や流動性の向上が期待されます。
今回の金融庁の報告書承認は、日本の暗号資産市場における重要な転換点となる可能性があります。利用者保護の強化と新たな業態の導入は、以下のような影響をもたらすと考えられます。
市場の信頼性向上:取引所破綻時の資産保護規定の明文化により、投資家は安心して取引を行うことができ、市場全体の信頼性が向上するでしょう。
多様な事業者の参入促進:仲介業の創設により、ゲーム会社やウォレット事業者など、これまで参入が難しかった企業が新たに市場に参加でき、イノベーションの促進やサービスの多様化が期待されます。
ステーブルコインの普及促進:裏付け資産運用の柔軟化により、ステーブルコイン発行者の運用効率が向上し、ユーザーにとっても利便性の高いサービスが提供される可能性があります。
しかし、これらの変革には慎重な対応も求められます。例えば、仲介業者の参入が増加することで、適切な監督や規制が行われない場合、利用者保護の観点から新たなリスクが生じる可能性があります。また、ステーブルコインの運用資産拡大に伴い、発行者のリスク管理体制の強化が不可欠となります。
政府は、暗号資産市場の健全な発展と利用者保護の強化を目的として、新たな規制枠組みを導入します。
まず、暗号資産取引所の破綻時におけるユーザー資産の国外流出を防ぐための規定を新たに設け、利用者の財産をより安全に保護できる体制を整備します。
また、利用者の財産を直接預からない新たな仲介業者の設立を認めることで、より多様な事業者の市場参入を促し、競争の活性化を図ります。
さらに、ステーブルコインの運用に関しては、裏付け資産の運用対象を拡大し、発行事業者に対してより柔軟な運用選択肢を提供する方針です。
これらの規制強化により、暗号資産市場の透明性と安定性が向上し、より健全な成長が期待されます。一方で、適切な監督とリスク管理の徹底が今後の課題となるでしょう。
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著者: CoinPartner 編集部 takaira