先月29日、世界最大級暗号資産(仮想通貨)取引所Binanceが新サービスBinance DEXのβ版を2019年頭にローンチすると発表し、大きな話題になりました。

そこで今回はBinanceが分散型取引所をローンチする理由、及び市場での反響について5分で総ざらいしたいと思います!

そもそもDEXとは

そもそもBinanceがローンチしようとしているDEXとはどういったものなのでしょうか。

DEXとは分散型取引所(=Decentralized Exchange)の略称であり、名前のごとく中央集権者がいない取引所のことを指します。メリットとして本人確認が不要・不要な手数料がかからないなど、従来の取引所を利用する際にネックになっていたものが一気に取り除かれる点が挙げられます。今はまだ知名度がそこまで高くありませんが、将来的な暗号資産(仮想通貨)取引を担う可能性を秘めています。

(さらに詳しい事項は以下のリンクを参照してみてください。)

2018年、コインパートナーが最もおすすめする暗号資産(仮想通貨)はこちら!!目次分散型取引所(DEX)とは分散型取引所のメリット分散型取引所のデメリット分散型取引所を利用したプラットフォーム3選まとめ 分散型取引所(DEX)とは 分散型取引所(DEX)とは、中央管理者を介さず、個人間で直接暗号資産(仮想通貨)のやりとりができる取引所のことです。ちなみに、DEXはDecentralized EXchangeの略です。最近注目され始めている次世代型の取引所ですが、その仕組みを説明するために現在主流になっている中央集権取引所との違いに注目しながら見ていきたいと思います!! 中央集権型取引所の仕組み BittrexやPoloniex,Coincheckなどに代表される現在主流の中央集権型取引所では、それぞれの取引所を運営する中央管理者が存在します。多くのユーザーは取引所に連携しているウォレットを利用したり、アカウント発行を取引所内で行ったりするため、その取引所に対して秘密鍵や個人の暗号資産(仮想通貨)の資産を預けている形になっています。つまり、ユーザーは取引所という場所をお金や個人の情報預けても大丈夫だと信用しています。しかし、MtGox事件などに見られるように、中央集権型取引所は人の手で運営されているため、内部不正や外部からのハッキングなど様々な危険を孕んでおり決して安全だと言えなくなっています。絶対公平による安全性の高さが評価されているブロックチェーン技術を利用した暗号資産(仮想通貨)が、実は安全ではなかったなんて矛盾してますよね(笑) マウントゴックス(MtGox)で資産ゼロ? リスクを知らないのは超危険!世界最大のビットコイン交換所が破綻したマウントゴックス事件。流行にのって適当に取引を始めると大変なことになるかもしれません。自分の資産を守るために知っておく、マウントゴックス事件の概要とその後について解説します!続きを読む 1月26日にはなんとあのコインチェックで、580億円相当のNEMが盗まれるという、大規模なハッキング事件がありました。国内の取引所で、ある程度信頼度も得ていたコインチェックでもハッキングが起こってしまったので、やはり中央集権型の取引所に全信頼をおいてしまうのは危険なように感じます。 分散型取引所の仕組み


なぜDEXをローンチするのか

事の発端としては今年7月、BinanceCEOであるChangpeng Chao氏(以下CZ)がアメリカのニュース放映局CNBCの番組CryptoTraderにて、「個人的には分散型取引所が暗号資産(仮想通貨)の未来になると信じている」と自身の見解を述べた所にあります。長期的な目で見ると、ユーザーは取引所の管理に置かれていないウォレットに資金を保管し、P2P方式によって自由に暗号資産(仮想通貨)を取引できるような環境が整うだろうと同氏は説明しています。さらには「分散型取引所は近い将来必ず実現するだろう。しかしそれがいつかは分からない。今導入されるのはまだ早すぎると考えているが、DEXに対する準備は既に始めている。」と非常に好意的な発言をしていました。

さらに、CZ氏以外にも分散型取引所にポジティブな意見をもつ暗号資産(仮想通貨)業界人は多く存在します。例えばVitalik Buterin氏はイーサリアムベースの分散型取引所であるEtherDeltaのプラットフォームを維持するためにデベロッパーに支払われる報酬制度について賞賛しており、その傍で「今現在デベロッパーに支払われる報酬は過小評価されるぎだ。」と現状を嘆いています。

さらにButerin氏は通常取引所を開設するには本人確認など手間のかかる新規登録が必要なのに対して、分散型取引所では自分専用のウォレットを持っているだけで取引が出来るようになる利便性も魅力の一つとして語っています。「通常の暗号資産(仮想通貨)取引所はアカウント登録が必要だが、EtherDeltaはその必要がないので好きだ。Metamask(注.イーサリアム系の通貨を保管するアプリ)のアカウントさえあれば取引が出来る。さらには取引の安全性も確保されており、安心して利用することが出来るのだ。」と述べており、DEXに対する有用性を認めています。

DEXは既存の中央集権型取引所を超えうるのか

CZ氏によると、強力なアーキテクチャとインフラが整備されているためにBinanceは分散型取引所よりも安全であると述べています。現にローンチされた昨年夏以降、目立ったハッキング事件は起こしていません。(注.不正取引が発覚したことはありますが、すぐに取引停止をして早急なケアを行なっています。)

それにも関わらず分散型取引所を使うメリットとしてはユーザーが自分の資金を自由に使うことが出来る点だと同氏は強調しています。分散型取引所ではユーザーは新規アカウント登録をする必要がなく、資産をウォレットで管理しているために資金を引き出す必要がありません。さらには完了した取引はブロックチェーンに書き込まれる上に管理者はユーザー同士であるため、真に改ざんが不可能なことも魅力の一つとなっています。

Binance側はいつ公式にローンチするか分かっていませんが、実現のための準備は着実に進んでいると考えられます。

市場の反応は

Binanceのような大型取引所がローンチをするということで注目が集まっているDEXですが、具体的に今後市場はどのような動きを見せるのでしょうか。ユーザーの反応から予測をしていきたいと思います。

暗号資産(仮想通貨)有名ツイッタラーの平野淳也さんはDEXに対して大きな期待を膨らませていることがこのツイートからもわかります。さらに、ニュースが発表された当日にBNBの価格が一時上昇したのもBinance DEXの有用性を信じたユーザーが少なくないことを表しているのではないかと考えています。(注.CZ氏によるDEXのツイートがあったのは29日15時50分です。)

以上のようなポジティブな見解だけなら良いのですが、残念ながら否定的な意見も少なくありません。チャートで見ても価格上昇は一時的なもので現在は落ち着いてしまっています。

否定的な意見が出る理由としては、上記のツイートの例にあるようにDEXという新たな概念に対しての信頼感がまだ希薄であることが主な要因ではないかと考えています。こうした問題を解決するためにはやはりサービスの有用性具体性をユーザーに強調し続けていくしかなく、そのためにもBinance側は今後明確な作業工程の提示をコンスタントにしていく必要があるでしょう。そしてイベントドリブンの傾向がある暗号資産(仮想通貨)市場であるため、一度信頼感を構築できればBNBの価格は大きく上昇するでしょう。