​先週末にかけてG20加盟国の財務大臣及び中央銀行がアルゼンチンにて国際経済について話し合いました。その会議にて、参加者は暗号資産(仮想通貨)は金融安定性に危険を及ぼさないという立場を再度確認し、金融行政タスクフォースへ10月までに暗号資産(仮想通貨)に対するAMLの基準設定することを要求しました。

「仮想通貨は安定性に悪影響を及ぼさない」と関係者は再確認

G20加盟国の代表は7月21日から22日にかけて開催された会議の後に発表された公式報告において、経済成長は健在であり失業率はここ10年低率を維持していると述べました。しかし、「金融脆弱性や地政学的な緊張の高まり、または世界的な不均衡や不平等を残したままの成長」が伴う経済発展が起こってしまうリスクを軽減をするための対策を取る必要性も指摘しています。そんな中、この声明では議論の必要性が謳われていた暗号資産(仮想通貨)について言及していますが、早急に対処しなければならないリスクについては言及しませんでした。

政府関係者は「暗号資産(仮想通貨)資産は現時点では国際的な金融安定性のリスクにはならないが、我々は依然として注意を払い続けている。」と述べており、暗号資産(仮想通貨)に対する危険意識をそこまで大きく抱いていないという姿勢がうかがえました。その一方でG20のメンバーは暗号資産(仮想通貨)が「消費者や投資家保護、市場の健全性、脱税、マネーロンダリングといった点で問題を起こす懸念がある」という自身の見解を示しています。

また、閣僚と銀行は暗号資産(仮想通貨)が「お金としての重要な性質を欠いている」と従来通り指摘しましたが、「基礎的な暗号資産(仮想通貨)資産のような技術革新は、金融システムと経済に大きな利益をもたらすことができる」という政府そして規制当局としての肯定的な見解も追記しています。

G20は10月までにAMLの規制基準の設定を求める

会議の参加者は3月のG20サミットで締結された金融活動作業部会(FATF)が採用したマネーロンダリング、テロ資金の拡散の撲滅に関する要綱の推進に関する約束を再度確認しました。そしてG20のメンバーは今年の10月までに、制定したアンチマネーロンダリング基準の暗号資産(仮想通貨)への適応基準を明確にするためにFATFを必要としており、同時に金融安定理事会(FSB)と標準設定委員会によって提案された改定案も積極的に受け入れています。改定の内容は暗号資産(仮想通貨)の潜在的なリスクを引き続き監視し、世界各国の指針を追っていくことを同委員会に期待するというものです。

​国際金融システムへの助言を行う国際機関であるFSBは先週、暗号資産(仮想通貨)市場の金融安定性への影響を注視していくための枠組みを制定したことをBitcoin.comがニュースとして発表しました。この枠組みは決済に関する標準的なセッターとして機能する国際機関であるCMPI(Payment and Market Infrastracture)と共同で開発されたようです。

コインパートナーの見解

​G20会議では以前から暗号資産(仮想通貨)がしきりに話題に取り上げられていますが、その中での総意としては大まかに「ブロックチェーンの積極的な取り入れへの合意」及び「禁止ではなく実装のための規制へ」という二つが軸となっています。

こうした軸を元に、今回の会議は規制枠組みの制定に焦点を当てた模様になっています。暗号資産(仮想通貨)はボーダレスな資金の移動が可能であるという特徴があるためにマネーロンダリングの巣窟であることが問題視されており、規制によって解決を試みているのはG20に限らず世界各国で見える動きでもあります。

研究が進むにつれて暗号資産(仮想通貨)の抱える問題というのは明らかになってきており、あとは規制によってクリアすることができればさらなる普及が期待できるでしょう。