イーサリアム・クラシック(以下ETC)はそのコード内における「ボム」の影響を緩和するため、日本時間5月30日頃にフォークすることが予定されています。
「ボム」とはディフィカルティボムのことで、あるブロックからネットワークのハッシュレートが増加しない際に、マイニングの難易度が調整されブロック生成時間が次第に遅くなり、指数関数的に増加していくというアルゴリズムです。
5,900,000個目のブロックに到達したときに、フォークに伴う変更によって、オリジナルのイーサリアムのブロックチェーンのユーザーは全員ソフトウェアをアップデートしなければなりませんし、この変更は新しいコンセンサスアルゴリズムに移行するに先立って、プロトコルの報酬をマイニングする難易度を上げるよう設計されたディフィカルティボムを無効化するとされています。
イーサリアムコミュニティーの支持者は、「プルーフ・オブ・ステークはプルーフ・オブ・ワークよりもエネルギー効率がいい」と主張していますが、ETC Cooperativeの開発者兼代表者であるアンソニー・ルサルディ氏は、コンセンサスアルゴリズムの問題は未だにETHとETCのコミュニティの双方の意見が一致していない点であると主張しています。
PoWはコミュニティーの大多数が感じていることから合意を形成する上で、現状最も非中央集権的なアプローチのように思われるともルサルディ氏は述べています。
PoSやDPoSやビザンチン・フォールトトレラント性といった多くの新しいアルゴリズムが存在していますが、私たちのコミュニティー内では、これらの比較的新しいタイプのコンセンサスアルゴリズムはもはや非中央集権的ではないと確信しており、もしかすると、例えばPoWなどよりも中央集権的かもしれないと恐れています。
Source: https://www.coindesk.com/expect-ethereum-classic-diffuses-difficulty-bomb/
イーサリアム・クラシックがPoWを継続するという決定は、なにも慌ててなされたものではありません。実際、ETCの分岐の原因となったThe DAOが崩壊した後の2016年からこの議論から始まっていました。
2017年1月、ETCコミュニティーは「ボム」を遅らせるためにフォークに踏み切りました。
「私達はPoSに移行するのか、それともPoWのままになるのかわかっておらず、たくさんの議論もありました。私達は時間があまりないと実感したのです」。ETCの開発チームのCTOであるイゴール・アルタモノフ氏は述べていました。
しかし、今に至るまでPoSの方がよりよく研究されてきたのだとルサルディ氏は述べます。
イーサリアム・クラシックの開発者であるコーディー・バーンス氏は「全体の前提は、個人がシステムの中で株式を買うために普通のお金を投入し、銀行や巨大な組織が一般的な参加者に比して不公平とも言える量の資本を持っていることなのである。」と述べています。また彼は「私達はこの4、5年を現代金融システムを再開発することに費やしてきたのだろう。それも同じ出演者とプレイヤーとともに」とも述べています。
マイナーがソフトウェアをアップデートできなかった場合や古いコードのままネットワークの使用を続けると決めたユーザーがいた場合などにネットワークが分岐する可能性からハードフォークは危険だとされてきました。しかし、ルサルディ氏、アルタモノフ氏もバーンス氏もみな来るフォークがいかなる論争や技術的問題も引き起こすことはないと主張しています。ノードとマイナーの大多数が既に3ヶ月前にリリースされたソフトウェアをアップデートしていると彼らは述べています。
主要なイーサリアムのクラシック開発チームであるIOHKも同様のことを述べています。IOHKはMantis V1.1というノードクライアントを、ユーザーがアップデートを行う時間が十分設けられるよう、3週間前にリリースしています。IOHKのETCコミュニティーのマネージャーであるケヴィン・ロード氏は以下のように述べています。
「フォークの計画については大量のアナウンスや議論に加え、慎重な評価もなされてきました。我々はネットワークの動向を注視していきます。」
しかし、開発陣は取引所がフォークのことを意識していない可能性があるとも述べていますが、同時にリスクは小さいとも主張しています。しかし一方で、念の為ユーザーは秘密鍵の管理を続け、通貨を取引所においておくべきではないと述べています。
開発陣はフォークによりコミュニティが利益を得られるのか懸念しています。今回のフォークでは「ディフィカルティボム」の影響は緩和され、ブロック作成にかかる時間が短くなることになっています。
イーサリアム・クラシックはイーサリアムから分岐した通貨で、やはり争点は「中央集権的か」ということに尽きるでしょう。ディフィカルティボムはイーサリアムがPoWからPoSに移行していく段階ですべてのマイナーが新しいチェーンに移行することを目的に導入されたものです。今回のフォークではそれが無効化されるわけですから、コンセンサスアルゴリズムは依然としてPoWのままになる可能性もあります。
またこうしたハードフォークに際してイーサリアム・クラシックは非常に注目を集めるはずですので、フォーク前後で価格が大きく変化する可能性があります。3月のフォークではフォーク当日までに注目を集めて価格が高騰しましたが、フォーク後は一気に価格が下がりました。今回は現状価格が下降傾向ではありますが、フォーク後にさらに下落していく可能性も十分にあります。いつ売るべきなのか、しっかり時期を見計らう必要があります。
参考URL: https://www.coindesk.com/expect-ethereum-classic-diffuses-difficulty-bomb/
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著者: CoinPartner 編集部 CoinPartner