​キャッシュレス社会実現に向けて中央銀行が動く

韓国日報が発行する英字新聞コリアタイムスによると、韓国の中央銀行(以下BOK)はCBDCを導入するこを検討しているようです。

CBDCとは各国の中央銀行が発行する法定のデジタル通貨のことであり、一般に認識されている暗号資産(仮想通貨)とは区別されています。CBDCを発行することにより、従来の金融システムでは叶わなかった中央銀行と民間企業・個人との直接の取引ができるようになります。中央銀行は倒産の心配がないため銀行に預けていた資産が全部なくなってしまうようなリスクが無くなるのが大きなメリットです。

BOKは現金の発行を減らすべきだという主張を2016年頃から起こしており、その時に法定紙幣からデジタル通貨に移行してキャッシュレス社会を創り上げるという案が生まれたのがきっかけとなってCBDC導入が検討されるようになりました​。​BOKは2020年までにキャッシュレス社会の実現を目標としているようです。

今週水曜日にBOKが発表した声明では、暗号資産(仮想通貨)に関する研究を開始した上でデジタル資産に関する勧告を公式に行う予定とのことで、国内および国際的な発展のためにキャッシュレス経済を確立することの将来性を入念に検討しています。また、当銀行は実装を行うには複雑な過程を経なければならないため、早まった行動をするべきではないという見解も持っているようです。

このニュースに関連して専門家はCBDCは金融システムにおける中央銀行の役割とお金の流通システムに革命を起こす可能性があると述べています。

サムスン経済研究所のベテラン経済学者は次のような発言をしています。

市場の動きを活発化させる重要な要因はセンチメントです…BOKがデジタル通貨に関心を持っていることはさほど古い話ではなく、市場心理に良い効果をもたらすでしょう。​

つまりはBOKがデジタル通貨に関心があることで投資家は積極的な投資を行うようになって上げ相場に繋がると言っています。

気になる今後の動きについてですが、BOKは以下のような見通しを立てています。

特別委員会は1月からCBDC発行の将来性とデジタル通貨が国全体の金融にどのような影響を与えるのかを検討してきました。我々はこの件に関するさらなる報告を6月末までに行う予定です。


 コインパートナーの見解

​一見暗号資産(仮想通貨)に関連が無いように見えるニュースですが、業界には大きな向かい風となる動きだとコインパートナーは考えています。というのもキャッシュレス社会の実現にはブロックチェーン技術が欠かせないからです。

現に韓国でキャッシュレス社会に向けたブロックチェーンの利用例は多く存在しています。例えばソウル市内では独自の暗号資産(仮想通貨)のSコインの発行を計画しており、LINEはブロックチェーン技術を取り扱う子会社Unblockを創設しました。どちらもブロックチェーンをサービスのために利用することを目的としたプロジェクトであり、キャッシュレス社会における同技術の重要性が分かるでしょう。

そしてブロックチェーン技術の普及は暗号資産(仮想通貨)の信頼度・価格の上昇にも繋がるのではないでしょうか。そういった意味で韓国の今後の動きには要注目です!