慶應義塾大学、株式会社CoinCheck、株式会社HashPortは、暗号資産規制に取り組む自主規制団体「暗号資産取引業協会(JVCEA)」の歴代事務局長を招いて、日本の暗号資産規制の歴史と制度設計の考え方について講演。

慶應義塾大学生対象の公開講座として、暗号資産の社会的な役割を踏まえて、暗号資産規制の将来像について議論を行った。全部で6回の講座を予定しており、第2回以降は予定が決まり次第、慶應義塾大学公式サイトにて発表するという。

本記事では第1回講座「暗号資産規制の現在と未来」の中から、コインパートナーが特に重要だと感じた点をピックアップした。

日本の暗号資産規制の未来とは

JVCEA(日本暗号資産取引業協会)事務局長を務める安河内氏は慶應義塾大学生対象の公開講座にて、暗号資産税制が変わる可能性は十分にあり得るとの見解を示した。さらに同氏は、暗号資産の税制を変えるためには、国民からの理解が必要だと主張した。

「(現在の暗号資産の税制が改善される)可能性としては、全くないわけではない。暗号資産がどのような使われ方をするかで税制が変わってくると考えられる。暗号資産を特別扱いするには、国民からの理解が必要である。国民が暗号資産を認めて初めて税制を進めることができる。社会的有用性をいかに理解してもらうかが最初のポイントとなってくる。」

JVCEA前事務局長を務めた福井氏も、安河内氏の意見と同様に暗号資産が社会的に有用なのかを世間に示す必要があると考えている。

安河内氏と同じようにまさに暗号資産というものが社会的に有用なのかどうか。そこに対して、課税を厳しくするのか、規制を厳しくするのかはバランスの問題となる。国民の意見としてうまくバランスを取ることは重要だ。我々業界としては、社会的有用性があると考えているのだから、それを発信していくことが大切となる。

また福井氏は、暗号資産経済を支える開発者、ノード運営者、ISPなどへの直接の規制もあり得るとの見解を示す。
さらに、規制のあり方については、利用者保護や犯罪抑止等の要請と個人の財産権やプライバシー、表現の自由など民主主義を支える権利とのバランスのとり方についての議論が必要であることや、議論への参入障壁を高くせず、幅広い参加者による議論が望ましいと考えている。

暗号資産をより発展させるためには、法律の整備が絶対的な条件となる。安河内氏や福井氏が示している通り、国民の総意を得ることができなければ、税制をはじめとした暗号資産法律の整備は遅くなり続けるだろう。さらには、法律の整備のためには金融庁や有識者がその重要性を理解しないことには始まらない。暗号資産の発展のために、我々業界に携わる人々が、暗号資産の有用性や暗号資産取引にかかる苦情が減る等のメリットを金融庁に発信し続けることが必要だ。

*安河内氏、福井氏の発言は個人的見解であり、現在所属している団体や過去に所属していた団体の見解とは関係ありません。

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この記事は、慶應義塾大学公開講座、『第1回講座:「暗号資産規制の現在と未来」』を参考にして作成されています。