仮想通貨取引所​Youbitがハッキング被害で倒産

2017年12月19日、韓国の暗号資産(仮想通貨)取引所Youbit(ユービット)がハッキングの被害に遭い取引所を閉鎖し破産を宣言しました。Youbitは2013年12月に開設された(旧名テングル取引所)、ビットコインをはじめ9種類の暗号資産(仮想通貨)を取り扱う小規模な取引所です。大規模取引所Yobit(ヨービット)とは全く関係がない取引所ですが、名前が似ているためYobitが倒産したとの誤報も多いです。暗号資産(仮想通貨)の規制に関して議論が進む中起きた今回の事件は多くの注目を集めています。韓国の暗号資産(仮想通貨)法規制については詳しくはこちらをご覧ください。

空前のビットコインバブルに見舞われている韓国で、15日に新たに暗号資産(仮想通貨)に対する規制を行うことが発表されました。世界有数の暗号資産(仮想通貨)市場でありアジア圏としても日本にとっては注目すべき出来事です。バブルの現状と法規制について学んでおきましょう。

 

この記事では事件の概要と予想される今後の影響についてコインパートナーが解説します!


ハッキングは北朝鮮によるものか

事件の概要

Youbitのホームページによると2017年12月16日の現地時間午前4時35分ごろにYoubitのホットウォレットがハッキング攻撃を受け総資産の17%を盗まれたとしていますが、具体的な金額は明らかにしていません。コールドウォレットに保管されていた残りの資金は無事でしたがYoubitはシステムを停止し破産を宣言することとなりました。現在顧客は預けていた資産のうち75%を引き出すことができますが、残りの25%は6億ウォン分のサイバー保険金や会社の利権売却金をもとに順次返金される予定です。KISA(韓国インターネット復興院)によると今回の犯行は北朝鮮によるものであり、北朝鮮政府が運営するハッカー集団「ラザルス」の関与が疑われています。ラザルスは、システムを暗号化して使用不可能にし暗号解除に身代金を要求するWindows用のランサムウェア「Wannacry」を使用しSonyの子会社やバングラデシュ中央銀行などからあわせて100憶円以上を搾取しています。


過去にも北朝鮮によるものと思われる複数のハッキング行為

Youbitは4月にもハッキングの被害を受け、総資産の37%にあたる約3800BTCを盗まれました。また、韓国では取引高世界一位のBithumbをはじめ複数の取引所がハッキング被害に遭っており、韓国の新聞紙Chosun Ilbo newspaperによると、複数の取引所で合計7.6億ウォン(約8億)の被害を受けています。取引所の管理職者にウィルスが含まれたメールを送信する手口を利用していて、ミサイル開発などの軍事費確保のために北朝鮮が暗号資産(仮想通貨)に目をつけているのではないかと疑われています。北朝鮮は関与を否定していますが、韓国政府は今後北朝鮮に対して「報復手段をとる」ことを示唆しています。


予想される影響は?コインパートナーの見解

 暗号資産(仮想通貨)の市場が拡大するにつれて組織犯罪は増え続けていくでしょう。取引所をターゲットとした事件は特に多く、個人にできることは取引所がどれだけ信用のおける場所なのか見極めることやウォレットで資金を保管することです。特にハードウェアウォレットであればハッキングに対する耐性はとても高いです。こういったニュースによりリスクが広く理解されハードウェアウォレットで秘密鍵を管理することが一般的になるかもしれません。また、取引所のセキュリティを高めるために暗号資産(仮想通貨)の規制が厳しくなることはほぼ間違いなく、取引所の返金保証も普及する可能性があります。現在は取引所など「組織」を対象とした犯罪が主ですが、暗号資産(仮想通貨)が生活に普及し多くのお金がデジタルで管理されるようになれば個人」を対象とした犯罪が増えていくことが予想されます。暗号資産(仮想通貨)に対する理解と情報を自分で管理するネットリテラシーがさらに問われるようになってくるでしょう。匿名性は暗号資産(仮想通貨)の大きなメリットですが同時にリスクも含んでいることを常に忘れないようにしましょう。