暗号資産(仮想通貨)のバブルの崩壊を決定づけた、​コインチェックのNEM盗難事件から一年が経とうとしている。

この記事ではバブル崩壊の影響を、価格の変化、新規口座開設者、マイニング収入という3つの観点から振り返る。

1.バブル崩壊後の仮想通貨価格の変化

​2018年1月26日以降の暗号資産(仮想通貨)価格の変化を見てみよう。

まずは、ビットコイン(BTC)の価格だ。

(ビットコイン価格の推移 出典:Coinmarketcap)

1年前のビットコイン価格は、1,190,862​円。2019年1月26日現在のビットコイン価格が398,856円で、当時に比べて実に-66.5%もの下落が起こっている。

次に、市場全体を見渡してみよう。

これは、暗号資産(仮想通貨)の時価総額変化だ。

​(暗号資産(仮想通貨)市場全体の時価総額推移 出典:Coinmarketcap)​

暗号資産(仮想通貨)の時価総額は、60.7兆円から2019年1月26日現在​の13.3兆円まで、-78.1%の下落が起きている。

ビットコインの価格は約三分の一にまで落ち込み、時価総額に至っては約五分の一まで落ち込んでしまっている。

そして、この価格下落と市場規模の落ち込みは、以下の「口座利用者数の減少」「マイニング難易度、ハッシュレートの減少」につながった。

2.口座利用者数の変化

​バブル崩壊後、送金などの形でビットコイン口座を利用している人が明らかに減っている。

次の表は、ビットコイン口座利用者の人数の推移を表している。

​(口座利用者数の推移 出典:BitInfoCharts​)

​今から1年前、一日あたりのビットコイン口座利用者は77.8万人存在していた。

しかしながら、現在の利用者は53.8万人。なんとこの1年で31%も減少している。

バブル崩壊によって、三分の一近くのビットコインユーザーが離れていってしまったのだ。

ユーザー数が減っているのは暗号資産(仮想通貨)資産を現金に変え、市場から引き上げた者が多いことを意味している。

こうして市場規模の減少に伴いユーザーと資金が流出し、さらに市場規模が縮小していくという負のスパイラルが発生しているのだ。

3.マイニング収入

最後に、​マイニング収入の変化を見てみよう。

​​(マイニング収入の推移 出典:Blockchain.com)​

バブル崩壊後、マイニングの収入は右肩下がりになっている。一日あたりのマイニング収入は、この1年間で2268万ドルから625万ドルまで-72.5%下落している。

これは口座利用者数の減少に伴い、トランザクションの承認倍率が下がったことが原因だ。これにより、1つのトランザクションあたりにユーザーが負担する送料が下がったのだ。

それにもかかわらず、下の表で見る通りマイニング難易度は上昇しているのだ。


​(マイニング難易度の推移 出典:Blockchain.com)

この結果、マイナーはマイニング機材の維持が不可能になり、その多くが撤退した。

結果としてマイニング難易度はある程度低下した。しかし、収入が改善されないため、大規模なマイニング業者は確実にその数を減らしている。

仮想通貨バブル崩壊

​暗号資産(仮想通貨)バブルの崩壊によって、市場規模は大幅に縮小、ユーザー数は激減、さらにはプラットフォームを維持する役割を担っていた多くのマイナーたちも去っていった。

暗号資産(仮想通貨)元年と呼ばれ、バブルに足を踏み入れたばかりの2017年には、大勢の暗号資産(仮想通貨)ユーザーが夢を語り合っていた。

経済界の革命、既存の金融機関を打ち壊すと声高に叫ばれ、新たなプラットフォームの設立に皆が目を輝かせていた。

しかし、今となっては購入した暗号資産(仮想通貨)の価値は激減し、第二のビットコインと言われた草コインの多くは今や1円の価値もない。

暗号資産(仮想通貨)に再び「春」がやってくる可能性はあるのだろうか。