記事の概要

  • マイニングによるビットコイン収入は過去に類を見ないほど大きいものの、コストの高さから利益率は非常に低いとDiar社は発表
  • 電気コストの高さから今後は個人単位でのマイニングは難しくなり、規模の大きいファームを持つ競合が運用する寡占的な市場になる恐れも
  • 実際個人のマイナーはマイニング自体に苦労する傍、Bitmain社のようにマイニングビジネスで利益を上げる企業が台頭するなど競合間での格差が現れ始めている。

 過去最高の収益を出すも利益率が低いマイニング

Diar社の新たな研究によると、ビットコインの価格は昨年の同時期に比べて40%価格が高いにも関わらず、今年に入ってからは47億ドルという記録的収入を出しているが、競争の激化や大量の電力消費などが要因となって以前よりも利益率が低くなっているようです。同社の報告書では、この傾向は小規模のマイニングを苦しくさせ、生き残るためにはより大規模のマイニングプールが必要な状況を作り出していると述べています。

Diar社の研究によると、中国が依然としてマイニングの際の電気代が安い国となっており、その費用は1kWhあたり0.08ドル程度となっているにも関わらず、設備費や間接費によってアマチュアのマイナーはこれ以上のマイニングができないほどに苦しめられている現状になっています。こうした状況が重なって、Bitmainが所有しているマイニングプールを始めとする大規模なファームが個人単位の小規模なものを犠牲にして生き残るようになってきています。

このような状況の中Bitmain社は最近、マイニング機器Antminer ASICの売り上げが同社の2018年上半期の収益の95%にも上っているというデータを発表しており、このデータはBitmain社のマイニング戦略が経営戦略と直接的に繋がっていることも示しています。Diar社によると、Bitmain社が所有している中国の11のマイニング工場及び間もくな開設されるテネシー、テキサス、ワシントンのマイニング工場はBTCブロックチェーンのハッシュレートの大きく支配し、全てのマイナーにとってマイニングが利益のあるものになるような環境づくりを目指しており、その背景にはマイナーがマイニングによって利益をあげた暁にさらに規模の大きいマイニング機器を購入を促そうとする意図があるようです。このように、アマチュアマイナーはマイニングにすら苦しむ中でBitmain社のようにマイニングビジネスを展開する企業が現れており、競合間の格差が大きくなっているように感じます。

そして、ビットコインマイニング市場の現状についての意見が記された報告書では以下のように述べられています。

最近ハッシュパワーが徐々に小さくなってきているが、この傾向は長くは続かないだろう。現在は大規模なマイニング機器がマイニングするビットコインの約50~60%の電気コストで運用している現状であり、市場は利益率を膨らませて成長する余地があります。しかし、少なくとも今のところは、ビットコインマイニングは規模の大きなプレイヤーが狭く深く運用していく市場になってしまっています。​

購入以外でのビットコイン入手方法として以前はマイニングは大きく注目されていましたが、現在では電気コストが高すぎるが故に効率が悪いというイメージがもっぱら先行している印象を受けます。それ故に電気代の安い国に集中し、個人単位でのマイニングはすっかり影を潜めているという上記に述べたような現状になっているのは当然とも言えます。このままの状況だと規模の大きいファームを持つ競合が支配する寡占市場になってしまう可能性も低くないでしょう。