地元報道局によると、韓国警察庁は過去3年の間に国内で発生した暗号資産(仮想通貨)取引所およびウォレットのハッキング事件に関するレポートを公表しました。「過去3年間における暗号資産(仮想通貨)取引所のハッキング被害に関する統計」と称された報告書が韓国政府によって提出され、先週水曜日に国会議員であるCho Won-jin氏によって公表されました。レポートにには「2016年以降7つの取引所にて総額1億ドル(約113億円)の不正出金があった」というデータが表示されています。また、韓国情報局Boan Newsは「暗号資産(仮想通貨)取引所ハッキングによる不正出金被害は年々大きくなっている」と述べており、「2016年には27万ドル(約3000万円)だった被害総額が2017年には3580万ドル(約40億円)、そして今年に発生した2つのハッキングによる被害額は6300万ドル(約72億円)にも上る」とされています。さらにKorean Digital Timesはユーザーウォレットのハッキング被害について言及しており、「2015年から2018年にかけてのパーソナルウォレットのハッキングは158件あり、そのうち91件は今年起こったものです。しかし、犯人が特定されて逮捕までに至ったのはわずか6件しかありません。」と報じています。
暗号資産(仮想通貨)取引の安全性を確保するために、韓国政府は国内取引所のセキュリティシステムを監視するという対策を取り続けてきました。昨年9月から12月にかけては9つの取引所、今年1月から3月にかけては21の取引所がセキュリティ面の監視とチェックを受けており、news.Bitcoin.comは21の取引所のうち11取引所はセキュリティチェックが完了し、その他の取引所でも問題点は大方修正されたと報じていました。取引所のセキュリティ対策について、国会議員のMin Kyung-woo氏は「暗号資産(仮想通貨)取引所というのは常にサーバー攻撃の脅威に晒されており、ハッキングはたとえ政府のセキュリティチェックが行われた所でも起こってしまう可能性がある。」と述べています。
特筆すべきは、政府のチェックを受けているにも関わらず被害を受けている取引所が3つもあることです。Youbitは昨年10月に政府の捜査を受けたにも関わらず12月に事件を起こしてしまいました。同様に今年2月に捜査を受けたCoinrailは6月に、規制当局が2度の捜査を行なったBithumbでは6月19日にハッキングに遭ってしまいました。以上のことから政府の監督だけでは取引所の安全性確保には至っていないという現状が露呈されてしまっています。
このように韓国取引所ではハッキング事件がしばしば起こっている現状ですが、世界全体を見渡すとアメリカのBittrexやマルタのHuobiなど一度も被害に遭っていない取引所は存在します。このような取引所はやはり「セキュリティに大きなリソースを割いている」ことが共通点として挙げられます。BinanceCEO CZ氏はデルタサミットのインタビューにおいて「取引所を運営する上でセキュリティが一番重要」と発言していたように、まずは安全性を確保することがユーザーの信頼を獲得するための最良の方法であるようです。政府機関の操作の有無に関わらず主体的なセキュリティシステムの構築をするのが理想と言えるでしょう。
韓国では既に政府機関がブロックチェーンの有用性に着目し、運用のための法整備をしている最中にあることからも、取引所の脆弱性が原因となって暗号資産(仮想通貨)業界の後退が起こらないことを願うばかりです。
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著者: CoinPartner 編集部 CoinPartner