韓国科学技術省がブロックチェーン技術開発計画を発表

​韓国の科学技術省は2022年までに230億ウォン(約23億円)を調達することを目標とした巨大なブロックチェーン技術開発戦略を発表したとThe News Asia​​は6月21日に報道しました。同省の公式発表によれば、この新しいイニシアチブでは1万人ものブロックチェーン産業の専門家及び100社の企業を雇用し、同省の支援を受けて6つの既存のブロックチェーンパイロット拡張し、商品化する予定とのことです。これらのパイロットは不動産、オンライン投票、運送ロジスティックス、家畜記録管理、通関、国際電子メール流通などの分野へブロックチェーン技術を活用することを目指しています。

​さらに同省のプレリリースでは、「スマートシティ」「スマートファクトリー」プロジェクトや中古車産業へのブロックチェーンシステム、ブロックチェーン基盤の「安全な学校給食」の流通イニシアチブなどの、促進する予定のプライベートブロックチェーンイニシアチブの具体例も示されています。そして韓国政府は中小企業が効率良くブロックチェーンソリューションを実装できるように、将来的にBaaS (Blockchain-as-a-Service)​の開発を後押しする計画を立てています。これにより、ブロックチェーン研究プロジェクトやインフラ、ブロックチェーン技術サポートセンター、技術サポートセンターやサンドボックスなどの開発、さらにはスマートコントラクト特有の法的問題の検討にさらなる資金が充てられるようになるでしょう。

​韓国はブロックチェーン技術に大きな期待を寄せている

最近の韓国の暗号資産(仮想通貨)に関する注目ニュースといえばBithumbが33億円の盗難事件に焦点があてられていますが、今回のように韓国がブロックチェーン技術に着目して国を挙げた開発を計画しているというポジティブなニュースも今春から時折報道されています。5月には2020年までにキャッシュレス社会実現に向けたプロジェクトを実現するために、中央銀行がブロックチェーンの可能性を検討し始めました。そして同月には国内の暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーンに関する法律改正を発表し、国内でのICOの再合法化が期待されています。さらにちょうど昨日、約1280億円の時価総額を持つモバイルゲーム会社Netmarble​は、ブロックチェーン技術が将来「全ての産業に適用される」と考えていると語りました。

コインパートナーの見解

​Bithumb事件の影響を受けていないことが伺える、暗号資産(仮想通貨)業界にとってポジティブなニュースです。五月の中央銀行がCBDC導入の検討を発表したのを筆頭に、韓国ではブロックチェーン技術開発が国を挙げたプロジェクトになりつつあります。

こうした一連の動きには、韓国がキャッシュレス社会の実現を目標に掲げていることが大きく関与していると考えます。ブロックチェーン台頭以前から、韓国ではカード決済が大きく普及しているなど、現金を使わない支払い方法というのに寛容な姿勢を見せています。(原因としては韓国ウォンだと1000ウォン(100円)から紙幣があるため、現金支払いは札束がカサ増しして面倒であることなどが挙げられるでしょう。)そのため、今後も暗号資産(仮想通貨)の価格推移とは関係なく同国のプロジェクトは進んでいくのではないかと考えられます。