「暗号資産(仮想通貨)ってご存知ですか?将来多額の利益を確約できる暗号資産(仮想通貨)を、今なら1000円から購入することができますよ!1000円で一生生活できるだけの資産を得られるなら暗号資産(仮想通貨)を買わない手はないですよね?」

先日、2019年第二四半期の暗号資産(仮想通貨)詐欺による合計被害額が43億ドル(約4500億円)にまで達したことが、CipherTraceのレポートによって明らかになった。
これらの暗号資産(仮想通貨)詐欺は、デジタル資産取引所、投資家、ユーザー、およびその他のさまざまな暗号業界の参加者など、幅広い層が被害者となっている。

近年急速に増えつつある暗号資産(仮想通貨)詐欺被害。

その被害は、日本国内でも信じがたいほどのスピードで広まり、2019年に入ってからの暗号資産(仮想通貨)を用いた犯罪件数は、前年比10倍にも膨れ上がっている。

もはや暗号資産(仮想通貨)詐欺は、オレオレ詐欺や振り込め詐欺など、現在主流となっている特殊詐欺に匹敵するほど、私たちの生活において身近なものとなっているのだ。

他人事ではなく、明日は我が身。

暗号資産(仮想通貨)詐欺の魔の手は、あなたのすぐそばまで迫っている。

なぜ仮想通貨詐欺はこれほどのスピードで広まるの?

ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)を用いた詐欺被害が増加の一方をたどり続けるのは、暗号資産(仮想通貨)が詐欺師にとっても利用しやすい特徴を多数有しているからである。

では、その暗号資産(仮想通貨)の特徴とはいったい何なのか。

特徴1.暗号資産(仮想通貨)に関する知識の未熟さ

「億り人(おくりびと)」という言葉を耳にしたことがある人は多いだろう。

暗号資産(仮想通貨)元年と呼ばれた2017年はビットコインの高騰にともない、「億り人」が多く誕生した。

そもそも暗号資産(仮想通貨)における「億り人」とは、投資や投機によって資産が1億円を超えた人々のことを指す。

日本暗号資産(仮想通貨)交換業協会によると、2017年時点で1億円以上の資産を有す暗号資産(仮想通貨)ウォレットの数は、日本国内だけでも286口座存在していた。

この「億り人」に憧れを抱き、暗号資産(仮想通貨)に興味をもった結果、詐欺まがいなアルトコインやICOにまで投資・投機してしまう人々が大幅に増加したと考えられている。

これは暗号資産(仮想通貨)に関する知識の未熟さこそが招いた事態だが、暗号資産(仮想通貨)を購入する際は怪しい取引所や会社から購入するのは避けることが、詐欺被害に遭わないための重要な行動である。

特徴2.送金時の手数料が格段に安い

暗号資産(仮想通貨)追跡サービスのWhale Alertの報告によると、ビットコインの国際送金にかかる手数料は、従来の法定通貨を用いた国際送金よりもはるかに安いことが明らかになった。

同報告では、約510億円(49.76BTC)を送金するのにかかった手数料はわずか約4万円(0.039BTC)だったことが明らかになっている。

もし仮に従来の金融機関を介して約510億円を送金した場合は、手数料として約18億円ほどかかるとみられる。

Whale Alertの調査結果は、ビットコインでの送金にかかる手数料が非常に安く、ビットコインが送金・受金の手段としていかに適しているのかを、ユーザーに対して再認識させるものとなった。

ビットコインを含む暗号資産(仮想通貨)は送金にかかる手数料が安いため、詐欺の被害者はその魅力につられ、詐欺師に自分の保有する暗号資産(仮想通貨)を気軽に送金してしまう。

また、手数料の安さゆえに、国家間にわたる送受金も気軽にできてしまうため、暗号資産(仮想通貨)詐欺の犯行は国境を越えて横行している。

たしかに気軽に送受金できる点が暗号資産(仮想通貨)の利点のひとつであることは間違いないが、暗号資産(仮想通貨)ユーザーは送金する相手が本当に信頼できる相手なのか、送金前に細かく確認する必要がある。

特徴3.送受金の際に自分の身元を隠せる

従来の法定通貨を用いて詐欺を行う場合、詐欺師は『○○銀行△△支店口座番号xxxxxx』と、自らの利用する口座情報などを相手に伝えなけらばならない。

もちろん、詐欺師は容易には身元が特定されないよう細心の注意を払って自らの情報を相手に伝えているが、このような詐欺師の情報から警察の調査によって身元が特定されるケースは多々存在する。

しかし、ビットコインを送受金する場合は、上で挙げたような自身の情報を相手に公開する必要が皆無なため、詐欺師は身元を隠したまま詐欺に着手できる。

ビットコインは、ビットコインアドレスと呼ばれる34文字の英数字からなるランダムな文字列に宛てて送金するだけであるため、銀行とは異なり、送受金する人間の情報は全く分からない。(くわしくはこちら)

そのため、詐欺師がビットコインを違法に受け取っても、そのビットコインアドレスから詐欺師の身元を特定することはできないのだ。

銀行で口座を開設する場合は細やかな審査などが必要になってくるのに対し、暗号資産(仮想通貨)はだれでも平等に利用できる上に匿名性が高いため、身元を明らかにしたくない詐欺師にとってはうってつけの詐欺商材なのだ。

今後、わたしたちは

暗号資産(仮想通貨)は、間違った使い方をすればすぐさま私たちに牙を剥く。

暗号資産(仮想通貨)詐欺が増加している現状を把握し、正しく安全に暗号資産(仮想通貨)を利用することが大切だ。

利便性と危険性は表裏一体。

暗号資産(仮想通貨)の未来は私たちひとりひとりの手にかかっている。