先週末、ビットコインやその他の暗号資産(仮想通貨)市場が暴落した原因はクジラ(大口投資家)が15,000枚(約393万ドル相当)のイーサリアムを売って相場操縦を行ったからだと著名トレーダーが指摘している。
指摘したのは、暗号資産(仮想通貨)の情報を伝えるYouTubeチャンネルChico Cryptoを運営するタイラー・スウォープ氏だ。
スウォープ氏は自身の動画で「クジラがイーサリアム15,000枚を戦略的に売り、BitMEXでフラッシュ・クラッシュを招いた」と解説した。
フラッシュ・クラッシュとは「瞬間的な暴落」を意味する用語である。
14日、暗号資産(仮想通貨)取引所Bitstampのイーサリアム価格は1分で262ドル(28,233円)から192ドルまで大暴落した。
(参考 TradingView BitstampのETHUSDチャート 1分足)
この事件のからくりはこうだ。
世界最大級の取引量を誇る暗号資産(仮想通貨)取引所BitMEXでは、最大50倍までレバレッジ(経済において借入金や社債などを利用して投資をすることで利益率を高める方法)をかけたイーサリアムの先物取引ができる。
先物の価格はBitstamp、Kraken、Coinbase Proの3つの取引所の現物価格を平均して決めている。
Bitstampは3つの中で最も取引量が少ない(Krakenが43位、Coinbase Proが36位に対しBitstampは46位)。
言い換えれば、大口投資家が仕掛けやすい取引所となっている。
クジラはBitstampで大量の売り注文を出すことでイーサリアム価格を不当に引き下げ、BitMEXの先物価格を一気に押し下げた。
レバレッジをかけた取引では手元の証拠金と同額の損失が出ると強制ロスカット(通貨を保有している状態での損益がある一定レベルに達したときに、更なる損失の拡大を未然に防ぐために強制的に決済する制度)となり、市場から退場させられる。
先物価格の急落がBitMEXでレバレッジをかけていた投資家のロスカットを招き、大きく値が落ちる。
するとさらに価格は急落し、次のロスカットを招く。
このようにしてイーサリアムの下落が止まらなくなった。
イーサリアム市場の異変を察知した投資家はビットコインや他の暗号資産(仮想通貨)からも資金の引き上げを始める。
そして、暗号資産(仮想通貨)市場全体が下落のスパイラルに陥った、というわけだ。
この事件によってビットコインの時価総額は1998億ドルから1764億ドルへと減少。
実に23億円以上の資金が流出したことになる。
イーサリアムは市場で2番目のマーケット規模を持っており、他の通貨に比べれば相場操縦の危険は少ないはずだった。
しかし、今回の事件でほとんど全ての暗号資産(仮想通貨)市場には相場操縦のリスクがつきまとうことが明らかになった。
取引所やコインの開発者たちはこのことを認識しており、対策を講じ始めている。
カルダノ(ADA)の取引量はビットコインの0.8%ほどしかないが、市場の流動性を高める技術の導入によってビットコインと同等に価格を安定させることに成功している。
他の暗号資産(仮想通貨)でも同様の技術が取り入れられればクジラによる相場操縦の危険は小さくなるだろう。
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著者: CoinPartner 編集部 CoinPartner