オランダの二大金融当局が暗号資産(仮想通貨)規制に関する報告書を発表。

「金融犯罪対策としてのライセンス制導入」、「企業資金に関するEU内の規制の改訂」「暗号資産(仮想通貨)に関する国際的なルール制定」の必要性を強調した。

オランダ規制当局が仮想通貨報告書を発表

金融犯罪防止のための「暗号資産(仮想通貨)交換業者の認可ライセンス」

オランダ中央銀行(DNB)およびオランダ金融市場庁(AMF)は昨年実施した暗号資産(仮想通貨)規制に関する報告書を今週頭に発表。マネーロンダリングやテロ資金供与などの金融犯罪の予防策として、取引所をはじめとした暗号資産(仮想通貨)交換業者の認可をライセンス制にすることを提唱した。

こうした金融リスクは、AMLD5(第5版欧州マネーロンダリング防止指令)が規定する対策を元に、国際的な協調性と効率的な取り組みを基にして初めて解決される。

従来の登録制に代わってライセンス制を導入することで、暗号資産(仮想通貨)交換業者がAMLD5のコンプライアンスを遵守しているかどうかをサービスローンチの前に確認することができることを大きなメリットと考えているようだ。

暗号資産(仮想通貨)事業発展のために企業資金規制の改訂を提案

DNBとAMFのに当局は、現在EU内に適用されている金融規制枠組みについても言及。中小企業レベルでのブロックチェーン事業の発展および暗号資産の債権・株式としての利用を実現するために、現行の企業資金に関する規制の改訂を提案した。

具体的な解決案として、同局は「証券」の定義の再編を提案。既存の枠組みにICOやSTOといった新規の資金調達法を加えることで、ヨーロッパ内での「証券」の認識を幅広くすること目論見としているようだ。報告書の中では以下のように記載されている。

ヨーロッパ全体で暗号資産(仮想通貨)が証券として認識されることに期待を込める意味でも、現行の定義を改訂することが望ましい。

暗号資産(仮想通貨)業界の成長には国際的な協力が不可欠

報告書にてDNBとAMFが最後に提唱したのは、国際的に適用されるルール制定の必要性だ。

現状、オランダ国内の暗号資産(仮想通貨)交換業者数は30にも満たず、取引高は暗号資産(仮想通貨)大国と比べて「無視できるほど」小さいと記述されている。こうした「暗号資産(仮想通貨)発展途上国」が成長していくためには、国際的な協力が必要不可欠であるという。

本質的にクロスボーダーの性質を持っていることを踏まえると、暗号資産(仮想通貨)の発展は国際志向になるはずである。

国境を超えた規制制定の意義

今回DNBとAMFが発表した報告書の中で特筆すべきは、EUレベル・国際レベルで暗号資産(仮想通貨)規制を制定する必要性をしきりに唱えていることだ。

また、今月初めにはヨーロッパの二大規制当局であるヨーロッパ銀行当局(EBA)とヨーロッパ証券市場当局(ESMA)がEUレベルでICOを規制する必要性を訴えており、国際的な枠組み制定を訴える風潮がなきにしもあらずの状況だ。

こうした国境を超えた枠組みを制定する意義や理由はどこにあるのだろうか。

根本にあるのは、やはり暗号資産(仮想通貨)がクロスボーダーの性質を本質的に備えていることにあるだろう。

国際的な決済手段として暗号資産(仮想通貨)が機能するためには、世界的に共通のフィールド(規制)を敷く必要があるというのが主たる考えだ。

現実問題としても、フランスのルメール経済・財務相とドイツのアルトマイヤー財務相代行は3月に開催されるG20財務大臣・中央銀行総裁会議の中で国際的な暗号資産(仮想通貨)規制案を提唱する意向を表明している。

2019年、今後の暗号資産(仮想通貨)の課題として「国際的な規制枠組み制定」は大きく取り上げられるかもしれない。