仮想通貨取引所Huobiのデリバティブ取引が急速度で成長

世界最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所Huobiは昨年11月にデリバティブ取引をローンチしたが、驚異的な速度で成長している。

15日前に総計取引高が100億ドルを突破したと公表したばかりであるが、本日200億ドルを突破したと報告。2週間余りで取引高が倍増している

デリバティブ取引とは

デリバティブ(金融派生商品)とは株式や通貨といった原資産を様々な形に派生させて出来た金融商品のことを指し、原資産取引のリスクを軽減する効果がある。
代表例として先物取引やオプション取引、フォワード取引、スワップ取引などがある。

Huobiは11月から現在に到るまでのデリバティブ市場の変遷を以下のように綴っている。

  • 11/21 Huobi Derivative Market(Huobi DM)がBTCデリバティブ取引のβ版をローンチ
  • 12/5 Huobi DMがETHデリバティブ取引をローンチ
  • 12/10 Huobi Globalと提携を発表。1日あたりの取引高が初めて1億9500万ドルを突破
  • 12/25 一日あたりの取引高が初めて10億ドルを突破
  • 12/28 EOSデリバティブ取引が追加。総計取引高が10億ドルに到達
  • 12/31 月間取引高は12億ドルに
  • 1/12 総計取引高が20億ドルを突破

HUobi DM CEOであるLivio Weng氏は自社のサービスについて以下のように述べていた。

これ(暗号資産(仮想通貨)デリバティブ)はHuobi DMが真の意味で顧客のニーズに応えていると我々に自信を持たせてくれる。
我々のこのサービスは顧客からはポジティブな評価を得ており、現在の弱気市場の中でも我々のプラットフォームが急成長していることを大いに示している。

日本国内でも仮想通貨デリバティブは議論の渦中に

昨年から弱気な相場が続いている暗号資産(仮想通貨)であるが、デリバティブ取引高が上がっている点にユーザーの需要を見出せる。

現に日本国内においても、金融庁が暗号資産(仮想通貨)デリバティブに関して議論を交わしている最中である。

金融庁は昨年11月に「第9回暗号資産(仮想通貨)交換業等に関する研究会」を実施。その中でデリバティブ取引が話題となり、その内容は以下の通りになった。

  • 最初は暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引を管理する公正な取引所の必要性の有無を検証
  • 暗号資産(仮想通貨)デリバティブは社会的意義に対して過度な投機を招くといったデメリットも大きいと第7回会議では指摘されていた。
  • そのため、デリバティブ取引が暗号資産(仮想通貨)に対する理解が不足している個人に及ばないよう対策を講じる必要性を強調。最低証拠金などの取引開始基準の設定や顧客への注意喚起などが提案された。
  • 上の意見とは反対に、「暗号資産(仮想通貨)=金融商品」という観点から顧客への過度な保護は不要であるとの意見も。顧客の自己責任に対する意識付けを最重要視する声も挙がった。

上記の見解を踏まえるに、日本ではまだデリバティブ取引の環境が整っていないと言える。その理由として「暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引管理主体が不明瞭である」ことが挙げられる。 

政府機関の規制が進んでいないことも合い重なって、本来その役割を担うはずの取引所が機能していないのが現状だ。

昨年1月のコインチェック流出事件以降、金融庁の暗号資産(仮想通貨)取引所への目は日に日に厳しくなっている。

その中で暗号資産(仮想通貨)デリバティブのような新たな事業が興るには、規制当局の先導が必要不可欠な状態になってしまっているのだ。

「仮想通貨の金融商品化」は今後も進むのか

今回のニュースで重要なのは、デリバティブ取引が活性化していることが「金融商品としての暗号資産(仮想通貨)」の需要を示唆している可能性がある点である。

暗号資産(仮想通貨)は現状ブロックチェーン基盤の新技術というよりは投機的商品としての目線が濃くなっている。

cboeビットコインETF承認に大きな注目が集まっているのは、暗号資産(仮想通貨)が金融商品として発展していくことを期待する最たる例と言えよう。

そして、今後も「暗号資産(仮想通貨)=金融商品」という市場の目線は強まっていくと予想され、2019年の重要トピックの一つになる可能性は十分にあるだろう。