記事の概要

  • スペイン大手銀行BBVAはブロックチェーンを用いてシンジケートローンの業務契約を締結。
  • ブロックチェーンを使うことで取引速度と合意の信頼性が向上し、運用コストの削減までもが期待できる。
  • BBVAは世界初のブロックチェーン銀行として今後の事業展開に注目が集まる。

 スペイン大手銀行がブロックチェーンを用いて融資契約を締結

スペインの大手銀行BBVAはブロックチェーン上に契約を記載した、1億5000万ドルのシンジケートローンのパイロット版を完成させました。本日Financial Timesが発表した報告書によると、同銀行はスペインの国営電力会社であるRed Electri​caへの融資を組み立てたようです。シンジケートローンというのは大型の金融調達ニーズに対して複数の金融機関が合同で貸付を行うローンのことであり、今回の場合三菱UFJフィナンシャルグループと​フランスのBNP Paribas​がBBVAと共同でRed Electricaに対して貸付を行なっています。そして取引の各段階ではタイムスタンプが付けられ、貸付の合意はシンジケートを組む三つの銀行間で締結されます。そして、その内容はイーサリアムブロックチェーン上に記載されるようです。ブロックチェーンに記載することで取引の「信頼性」が上がるとFinancial Times​は報じています。従来のシンジケートローンでは、複雑な情報を共有するためにはファックスが主な手段でしたが、コストが高いという欠点がありました。一方でブロックチェーンでは銀行間における情報の共有が瞬時に行われ、これまでは数週間かかっていた取引手続きも数日で完了するようになることが期待できます。このようにして手動プロセスを短くすることによって運用コストも削減できるというメリットがあります。

BBVAは将来的にシンジケートローン用のブロックチェーンパイロットをさらに作り上げて行く方針をとっており、実際に運用実験を積極的に行なっている様子が以前から報じられていました。今年7月には民間エンジニアリング企業ACSグループとブロックチェーンベースの融資契約を締結するなど、世界初のブロックチェーン銀行として大きな注目が集まっています。

BBVAの活躍次第では今後も銀行とブロックチェーンの親和性はさらに高まって行くことが期待できます。その一方で運用のための規制や当局承認が今後の課題となることも考えられます。