​IBMがCBDC導入に関する調査を実施

今年7月から9月にかけて公的通貨金融フォーラム (OMFIF)IBMは中央銀行を対象に法定デジタル通貨(CBDC)に関する調査を行い、今週金曜日に結果を公表しました。一連の調査の中で、各中央銀行が将来的にCBDCを導入する可能性が十分にあることが明らかになっています。

共同調査に回答した21の中央銀行のうちの38%が国際銀行間取引においてのCBDC運用実験を行なっており、その他62%の銀行でも将来的なCBDCの導入を検討するなど全体的に肯定的な印象を持っているようです。この理由としては、調査報告書に記されてあるようにCBDCを法定通貨にペッグさせることでクレジットリスクを削減できる可能性がある点が挙げられます。

このように潜在的な運用可能性は高い反面、実際に運用されるためには基盤となるDLT(分散型台帳技術)の発達と整備が欠かせません。実際ブロックチェーンソリューションのテストを行なった中央銀行は取引効率性の劇的な上昇はあまり感じていないようです。「調査対象の銀行のうち61%は効率性があまり向上せず、開発初期段階であるという理由で''ブロックチェーンは必要ないだろう''と回答した。」と報告書には記されており、78%はDLTが将来期待されているような働きをするかどうかに疑問を抱いているようです。文末には「中央銀行はスケーラビリティと取引処理速度の問題を克服しない事には始まらないと結論付けているようだ。」と記されている事からも、今後の発展次第で状況が大きく変わる事を示唆しています。

CBDC導入を検討する中央銀行の例

​先述したようなCBDC導入する国としては北欧の国々が第一に挙げられます。UseTheBitcoin​の報道によると、スウェーデンはe-Kronaと呼ばれるCBDCの発行を検討しています。e-Kronaはスウェーデンの法定通貨にペッグされており、IOTAブロックチェーンをベースに開発されています。ノルウェーも似たような状況にあり、今年5月に中央銀行のノルゲス銀行がCBDCに関する運用ポリシーを発表しました。銀行側はCBDCが預金に変わる代替手段新しい形の法定通貨電子決済のためのソリューション形成という三つの用途があると考えているようです。

発行した通貨の価値は法定通貨で保証しつつ、ブロックチェーンソリューションを展開する、という理由からCBDCの発行を検討する国が多いことがわかると思います。潜在可能性は十分にあるものの、実用性に欠けるという障壁がある点に関してはCBDCのみならず暗号資産(仮想通貨)全体としての課題と言えるでしょう。