インド南部の州であるテランガナ州政府は大手IT企業と提携を結び、インド初の「ブロックチェーン地区」を設立しようとしています。
現地時間8月3日、テランガナ州の情報技術及び電子通信部門は (ITE&C)は多国籍ITサービス大手のTech Mahindraと了解覚書(MoU)を締結し、テランガナ州にて「インド初のブロックチェーン地区」を目指しています。インドの経済誌The Economic Timesによると、ここでいう「ブロックチェーン地区」は国内のブロックチェーンスタートアップや分散型技術の実世界への応用を目指す企業のためのインキュベーターとして機能するようです。具体的には、ここ10年で技術が飛躍的に進歩したことで知られる同州の中心地ハイデラバードに政府の支援を受ける施設の建設を予定しています。州政府のIT大臣Kama Rama Rao氏は「テランガナ政府はインドに置ける最初のブロックチェーン地区を開拓していることを誇りに思う。」同事業に対して好意的な姿勢を示しており、以下のように付け加えています。
Tech Mahindraからの支援を受け、我々は最先端のブロックチェーン技術ソリューションとプラットフォームを提供するにあたっての国際的なベンチマーク(性能指標)を設置します。
さらに特筆すべきは、ブロックチェーン技術の統合を促進することを目的として州政府は企業支援のための規制と政策を提供することを約束しています。それと同時にTech Mahindraは同地区における大きなブロックチェーンプロジェクトをローンチすることを発表しています。同社によると、このプロジェクトはインド最大のブロックチェーンイニシアチブEleven01 Foundationに則って「1秒間に10,000以上のトランザクションを実行することのできる政府準拠のプラットフォームをベンチャーに提供する」ことを目的としているようです。
その一方でEleven01財団のチーフであるRama Lyer氏は「我が社のプロトコルはインドのブロックチェーンスタートアップのエコシステム全体に影響を与えるだろう。そして、初期段階のスタートアップはあらゆるサポートを受けることができるようになるでのではないか。」と自社のプロジェクトの影響力の大きさを強調しています。
このブロックチェーン地区設立計画は以前からテランガナ政府がブロックチェーン技術を発展させるために計画していたイニシアチブのうちの一つでした。1年以上前に、テランガナ州と隣接するアンドラプラデシュ州では初期パイロットとして土地登録をブロックチェーン上に記録し始めていました。さらに最近では、テランガナ州当局は透明性をもたらし、政府機関内での不正行為を減らすためにブロックチェーンを採用しています。
そしてアンドラプラデシュ政府はEEA(Enterprise Ethereum Alliance)の参加メンバーであり、州の沿岸都市ヴィシャカパトナムやヴィサクは政府が支援する「フィンテックバレー(FinTech Valley)」イニシアチブの一環で業界のスタートアップの拠点としても知られています。この州でもDNAのデータ管理にブロックチェーン技術を採用することを政府が発表するなど、テランガナ州と似た動きを見せています。
インドではかねてから流通の透明化に注目してブロックチェーン技術をテストする企業が多く、貿易金融計画の参入や食品の物流管理、犯罪防止を目的とした顧客情報管理などユースケースは様々です。
そして今回ローンチが期待されるブロックチェーン地区計画では州単位の大きなプラットフォームでのブロックチェーン利用ができるというのが大きなメリットと言えるでしょう。これまでのテストは各分野の企業が単発的に取り組むものでしたが、ブロックチェーン地区は大規模なインフラと技術開発インキュベーターを兼ね備える可能性があるため普及率が大きく上がる期待が持てます。日本ではあまり報じられていない同ニュースですが、成功した後には世界的にブロックチェーン技術の有用性に注目が集まる可能性があるのではないかと考えています。
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著者: CoinPartner 編集部 CoinPartner