Facebookは仮想通貨関連の広告の禁止令を解除

6月28日、Facebookは自社サイト上での暗号資産(仮想通貨)広告禁止令を取り消しを発表し、最新のアップデートにおいて「暗号資産(仮想通貨)と事前承認された関連コンテンツを宣伝する広告を許可するように自社ポリシーを更新する」と述べています。

それゆえ、暗号資産(仮想通貨)関連の広告主はFacebookに対して広告掲載の申請を行うことができるようになりましたが、ICOバイナリーオプションに関する広告の掲載は依然として禁止しているようです。Facebookは今年1月に将来的に暗号資産(仮想通貨)広告禁止令を再検討すると述べていましたが、その意図としては暗号資産(仮想通貨)業界の支援というよりも自社の事業計画の一環であるとの姿勢が強いとされています。具体的にはCoinbaseを買収する意図があるのではないかという噂が立っています。グローバル投資プラットフォームeToroの責任者であるIqbal Gandham氏は以下のような発言をしています。

私たちは暗号資産(仮想通貨)広告に対する柔軟なアプローチを提唱してきました。というのも真っ当な情報提供者が悪質なオペレーターであると勘違いされてはいけないと考えているからです。ユーザーの安全の確保と市場に関する正しい情報提供が依然として最優先事項ではありますが、全面的な禁止は新しいアイデアに対して合理性の欠けるアプローチです。
Facebookのような最大手企業はブロックチェーン技術が金融システムを根本的に変える可能性を秘めていることを既に認識しています。そのため、同社が顧客に暗号資産(仮想通貨)を知る機会を提供することは道理にかなっています

Facebookは仮想通貨企業買収を狙っている可能性がある

Facebookは過去にInstagramWhatsAppOculus Riftのような成長著しい新興企業を買収した経歴があります。インターネット検索マーケティングサイトであるTechWyseは2018年1月にFacebookは創業以来66件もの買収を行い、買収総額は230億ドルにも上ると報じました。しかし、CEOであるMark Zuckerberg氏は暗号資産(仮想通貨)スタートアップの買収や暗号資産(仮想通貨)業界に関するコメントは全くしておらず、このことに驚きを示している人も一定数います。そんな中、今年5月に同社はブロックチェーン部門の設置を発表し、ブロックチェーンの使用例のやFacebookへの適用可能性の調査を行う意図を示しました。前Facebook Messenger部門リーダーであり、Coinbaseの役員でもあったDavid Marcus氏が責任者を務め、Coinbase CTOのMike Schroepfe氏につながっている同部門の創設は過去最大規模の経営再編をもたらしています。

英国ニュースサイトであるThe EconomistThe IndependentはFacebookがCoinbaseをはじめとした暗号資産(仮想通貨)企業の買収に興味があることが動機となっているのではないかと考えています。Zuckerberg氏がブロックチェーン技術に可能性を感じ、暗号資産(仮想通貨)に対する企業方針を更新するという事実はFacebookは暗号資産(仮想通貨)分野に接近していることを示しているのではないでしょうか。仮にFacebookがCoinbaseを買収した場合には、Facebookの価値と有用性が大いに高まり、暗号資産(仮想通貨)市場の正当性が担保されるようになるでしょう。技術起業家のOliver Isaacs氏はThe Independentに対して「FacebookがCoinbaseを買収したとしても驚くべきことではないでしょう。ですが、(CoinbaseのCEOである)Brian Armstrong氏をはじめとした取引所側が合意するかどうかはまた別の問題です。」とも述べており、買収はあくまでも双方の合意のもとで成り立つと注意しています。

Coinbase買収は双方にとってメリットとなり得る

Isaacs氏の指摘は真っ当なものですが、実際問題として買収の話はFacebook、Coinbase双方にとって悪い話ではないようです。

CoinbaseはThe Independentからの質問に応答しませんでしたが、Armstrong氏は以前、Coinbaseのプロモーションビデオの中で「我々は現在1000万人の顧客を抱えていますが、将来的には暗号資産(仮想通貨)ユーザーを10億人に増やしたいと考えています。」と述べています。一方でFacebook利用者は現在20億人を超えており、買収が成立した暁にはFacebookユーザーがCoinbaseに流動していくことが期待できます。そのように考えるとCoinbase側からしても悪くない話であり、投資会社Blackmore GroupのCEOであるPhillip Nunn氏はthe Independentに以下のように語っています。

GoogleやTwitter、Facebookのようなプラットフォームが独自の暗号資産(仮想通貨)をローンチするならば、そのユーザーベースの大きさから大規模なものになることはまちがいないでしょう。

FacecookもまたThe Independentのコメントに応じていませんが、広報担当者は1月の Zuckerberg氏の投稿に言及しました。Zuckerberg氏は暗号資産(仮想通貨)と暗号化技術は中央集権から権力を取り除き、その力を人々の元へ還元すると述べ、同技術とFacebookへの応用可能性に興味を持っていることを露わにしています。

コインパートナーの見解

Facebookは今年3月に起こったケンブリッジ・アナリティカ事件を受けてネットワークの安全を確保する手段を探しているという背景もあったブロックチェーン技術に着目しているというのは以前から報じられてきたことです。そういった中で今回のようなニュースが出てきたというのは、Facebookがブロックチェーンをはじめとした暗号資産(仮想通貨)に対して肯定的な姿勢を見せていることを強く裏付ける効果があるでしょう。今後は多くの暗号資産(仮想通貨)業者が広告掲載に着手すると考えられますが、Facebookの社会的人気度や知名度からしてそれがユーザー数・取引量増加に繋がることになる可能性は高いのではないでしょうか。

一方、Coinbaseの買収に関しては今のところ憶測に過ぎないというのは留意しましょう。双方にとって買収は利点があることは間違いないのですが、具体的な証拠はまだ見つかっていないので真偽については今後の動向から判断していきましょう。