Bitmexがリップルを深く調査したレポートを公開

リップルはビットコインやイーサリアムなどと同じように暗号資産(仮想通貨)という括りにまとめられていますが、「リップルが非中央集権型かどうか」というのは議論が絶えません。「リップルは前例のない程トランザクションに対する支配力を持っている」と言われたりしていますが、リップル社は常にそれを否定しています

ところが、大きな影響力を持つ暗号資産(仮想通貨)分析を行うBitmex Reaserchが「リップルは思ったより中央集権的かもしれない」とするレポートを公表しました。


Bitmexのレポート

レバレッジを100倍までかけて取引できることで日本でも有名なBitmexが運営するブログはニュース的なものが多いですが、その分他のどこよりも深い考察が特徴で、記事が投稿されると多くの人が注目します。

そのBitmexのブログが、月曜日に「The Ripple Story」と題した記事を投稿しました。ブログというよりも学術論文に近いような記事でしたが、リップルの始まりから裏側まで深く掘り下げた記事でした。


記事の中でもとりわけ注目されたのがリップルの中央集権体制についてのセクションでした。

今年の1月にはnews.Bitcoin.comがリップルゲートウェイがユーザーの資産を凍結できることについて報じましたが、今回のBitmexのブログの記事では

「2015年に、リップル社は2014年8月に始まったリップルの凍結機能を利用しました。ビットスタンプゲートウェイがジェド・マケーレブの家族の資産を凍結したのです。リップルは当初法的効力を持った命令に従うためにこの機能を実装したのに、一番最初の使用例が、リップル創設者の一人に対するリップル社からの指示に従うためであった、と皮肉る人もいました」

としています。

リップルレジャーの最初の32000ブロックが見当たらず、最初に1000億枚のXRPが発行された時まで遡って全てを監査するということは不可能になっている、というニュースと共にこの情報は既に公表されていますが、今回、Bitmex社はさらに慎重にリップル社に関する調査を進めました。


リップルは中央集権的なのか

Bitmexのブログの記事ではどのぐらいリップルが中央集権化されているのかについて言及しており、これまで明かされていなかった事実を下記のようにレポーターが暴き出していました。


「2018年1月、Bitmexの調査チームはRippledをインストールして実行してみました。ノードは5つの公開鍵のリストをサーバー『v1.ripple.com』からダウンロードすることで作動し、その5つの公開鍵は全てRipple.com(※リップル社)に割り当てられていました

あるリクエストが受け入れられるためにはこの5つの公開鍵のうち4つが必要である、ということがこのソフトウェアから分かりますが、それらの鍵は全てRipple.comのサーバーからダウンロードされているので、リップル社は基本的にリップルレジャーを支配しているということになり、このシステムは中央集権的だと言うこともできるでしょう。私たちのノードは5つの公開鍵が2018年2月1日に失効することになっており、新しい公開鍵を入手するにはRipple.comのサーバーに再度アクセスしなければならないということになります。」


つまり、合意形成に当たって、リップル社が権限をほぼ全て握っており、リップルレジャーを支配していることがわかるということですね。


中央集権的であることは、簡単に構築ができて、合意形成がはやく、コストがかからないなどの利点を持っていることはBitmexもレポートの中で認めていましたが、同時に「リップル社の宣伝文句としてリップルのシステムが分散されているということが言われたりしていますが、これは誤解を与えかねない」と指摘しています。


Bitmexの記事は「リップル社のシステムの時価総額の大きさ考えると、なぜ暗号資産(仮想通貨)の評論家達がこんなにも沈黙を保っているのかがリップルに関する真の謎なのです」という言葉で締めくくられています。

この記事の主張はリップル社のシステム、凍結機能、そして中央集権的か否かについて様々な議論を呼ぶと思います。


リップルのについてのコインパートナーの見解

リップルは非常に中央集権的であり、他の暗号資産(仮想通貨)と比べると送金のはやさ等の点で優れてはいますが、逆にリップル社の不正のリスクは常につきまといます。

特に、リップルレジャーの最初の32000ブロックが見当たらないというのは非常に大きな問題です。これはどうしてかというと、もしかすると、リップル社が発行したXRPは1000億枚ではなく、本当はもっと多く発行して、リップル社が大量にXRPを保有している可能性だって否定できないわけです。


暗号資産(仮想通貨)は基本的にブロックチェーンを利用しているため、取引の履歴が明確ですが現状リップルではこれが不明確になっています。ここに中央集権であることの問題点が現れてきているようです。


中央集権か分散型か、という問題はビットフライヤーやコインチェックのような取引所を利用するのか、分散型取引所(DEX)を利用するのか、という問題に通ずるところがあるような気がします。前者はたしかに便利ですが、大規模なハッキングのリスクや倒産のリスクなどがあり、利便性の代わりに色々なリスクがつきまといますよね。