「​世界的不況が起これば暗号資産(仮想通貨)の需要が高まる。」このような考えが一部の有識者の間で急速に普及している。

なぜ経済不況が暗号資産(仮想通貨)にとって好材料なのか。具体的にどのような事象が起こるのか。今回の記事では、暗号資産(仮想通貨)と経済市況の関連性について考察した。

​金の挙動に類似する仮想通貨

暗号資産(仮想通貨)の特徴として金・不動産のような安定資産としての価値・性質を有していることがあげられる。

特に、暗号資産(仮想通貨)の代表格・ビットコインは、デジタルゴールドとも呼ばれ、非常に金に類似しているとされている。

インフレ・デフレを含め、ビットコインと金の価格推移が全く同じ挙動を示していることは多くの専門家が指摘するところだ。​

​(出典 Trading View)

​(出典 Gold PARK)

上の二つの画像を比較すると、ビットコインの2017~現在に至る価格推移と金の1980~2000年の価格変動の様子が非常に似ていることが読み取れる。

つまり、2017年のビットコインバブルは1978~80年の金価格高騰、現在の低迷相場は2000年までの金相場に該当しているという見解だ。

このことから、現在は弱気市場であるものの、将来的には金と同様に大きな価格上昇を起こす可能性があると考えている投資家が多くなっている。

一度バブルが崩壊したビットコインだが、今後価格上昇の可能性が絶対にないと断定することはできない。

なぜ経済不況が仮想通貨に有利なのか

ビットコインや金の価格上昇が起こるのは、世界市況が悪化した時であるという考えがある。

実際、上記の金チャートにて金価格の暴騰が開始している2000年代後半は、リーマンショックに始まる世界的不況が起こっているのだ。

しかし、なぜ不況下でビットコイン価格が上昇するのだろうか。そのメカニズムは以下の通りだ。

世界的大不況が起こると、市場参加者はまず先に「資産の移転」を行う。

不況前までは証券や株式など、高金利の金融商品で資産運用を行なっていたユーザーが、資金保護のために投資マネーを別場所に移動させる動きが活発になる。

移転先となる候補は、従来の金融市場の影響を受けにくい「安全資産」としての特性が高いものだ。

リーマンショックの際は金に白羽の矢が立ったが、次に起こる大不況下ではビットコインにも照準が合うと考えられる。

さらに、不況下での各国の金融政策もビットコインを押し上げる一因となる可能性もある。

供給量の上限が設定されていることから、将来的にデフレ通貨となることが決定的なビットコイン。

この特性が、不況下で政府が行う金融緩和政策によるインフレを防止する「インフレヘッジ」の役割を果たすことから、需要が高まっていくと言う期待の声が多く挙がっている。

世界不況の可能性 問われるビットコインの真価

以上を踏まえると、世界的不況下にてビットコイン価格が上昇することには歴史的にも理論的にも可能性が0だとは言えない。

そして、ビットコイン価格上昇の引き金となる世界的不況ももう間近に迫っているという考えも出ている。

その理由として、米国の対メキシコ国境建設を発端とした政府閉鎖、米中貿易摩擦など米国経済が非常に不安定になっているからだ。

IMF(国際通貨基金)は2019年の世界経済見通しを下方修正するなど、専門機関からも不安の声が上がっている。

将来的な不況が予測される状況下にて、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)は台頭するのか、衰退の一途を辿るのか。

2019年、ビットコインの真価を問われる時が到来するかもしれない。