記事の概要

  • 中国では人民元が過去10年で最安であることなどを理由に、資本の国外流出に歯止めが効かない状況。
  • 暗号資産(仮想通貨)価格と中国資本の流通は密接につながった例は過去に数多く存在している。
  • そのため、現在の中国の金融市況を鑑みると、暗号資産(仮想通貨)の将来的な価格高騰を示唆している可能性がある。

 国内資本の流出が続く中国

​中国経済は現在、国内資本の流出という問題に直面している。

2018年の米中貿易戦争を皮切りに米金利の上昇や国内経済成長の鈍化が起こり、その結果中国元は過去10年余りで最安の水準となっている。

こうした状況を受け、自らの資産を海外に移転​国内の富裕層が続出。

対する政府は5万ドル以上の送金や元を外貨に換金する際には税務局への申請を義務付けるなど、国内資産の保護に躍起になっている状況だ。

みずほ銀行のシニア通貨ストラテジストである張建泰氏は、「米中の貿易関係に大きな改善がなく、金融政策の乖離が続く限り資本の流出の圧力は高いままだろう。」と発言。

今後も資本流出が続いていくことが予想される。

仮想通貨価格と密接な関係を築く中国資本の動向

​上記のような中国の現状は、暗号資産(仮想通貨)価格へ影響を及ぼし得るという点で重要な意味を持つ。

現に、過去の歴史を顧みても中国資本と暗号資産(仮想通貨)には密接な関係があるのだ。

2013年12月 ビットコイン価格乱降下

​中国資本が最初に暗号資産(仮想通貨)に影響を及ぼしたのは2013年12月。

中国の中央銀行が信用性を疑問視する声明を発表したことにより、ビットコイン価格は最高17%の急落を起こした。

当時は世界の取引量の1/3強が中国の暗号資産(仮想通貨)売買サイト「BTCチャイナ」で取引されており、中国の動向が暗号資産(仮想通貨)に及ぼす影響力は非常に大きかった。

そのため、中国の規制当局が暗号資産(仮想通貨)に関して初めて言及した声明は価格に大きな波紋を呼ぶ結果となった。

2015年~2016年 ビットコイン取引額の9割を中国が占める

​2014年に資本・金融収支が赤字基調に転じ、2015年~2016年には外貨準備高が減少し始めたことを受けて中国資本家は中国元として保有していた財産の保護策を講じる。

その第一手としてビットコインに注目が集まった結果、中国でのビットコイン取引額率は全世界の9割を占めるようになった。

一方国内資金の流出と元安を恐れた中国政府は、外貨換金額の上限設定や外貨購入手続きの厳格化などの対応策をこの時期から取り始めている。

こうした両者の動きが相乗効果を呼び、中国ではビットコインへの換金の動きがさらに加速していき、価格上昇へとつながっていった。

2017年初頭 ビットコイン価格暴落

​中国人民銀行は2017年1月に当時の暗号資産(仮想通貨)大手3取引所の調査を開始。

調査の直後に3取引所がいずれも信用取引を停止し、これが1月5日のビットコイン10%暴落の要因とされている。

翌2月には中国人民銀行が再度暗号資産(仮想通貨)取引所に対して規定違反に対する厳重な警告を実施。

その結果2月9日には15分の間に10%の価格下落を起こすなど、中国が暗号資産(仮想通貨)に及ぼす作用の大きさを示すニュースとなった。

過去が示す今後の仮想通貨価格予想

​これまでの歴史が示してきた通り、ビットコインと中国資本には密接な関係があることが分かる。

厳しい規制による暴落もあるが、それ以上に中国資本がビットコインに流れたことによる価格上昇という例が散見されている。

現状はアメリカの経済不調から始まった株式市場の暴落の波を受けている暗号資産(仮想通貨)であるが、中国資本が流入することで暗号資産(仮想通貨)の高騰が起きる可能性があることはこれまでの歴史が示唆している。

2019年の暗号資産(仮想通貨)上昇には、中国マネー流入がカギとなるのは間違いないだろう。