マイクロペイメントは、一円、十円もしくはそれより少し大きかったり小さかったりの額の決済を、手数料なしでできてしまうシステムです。現状ネットショッピングをするとしたら、クレジットカードでの決済が普通であり、どんなに少額の買い物でも数十円の手数料がかかってしまいます。そのため、デジタルコンテンツなどを購入するときに決済手数料が購入価格よりも高くなってしまい、決済として現実的ではありませんでした。それを手数料が無料に近い値段で簡単に決済できるのがマイクロペイメントです。動画1秒や文字1文字に対して1円単位の決済が出来るということは実は革命的なことで、将来的に多くの会社やコミュニティで使われる可能性があります。
また、今は一つの動画コンテンツだけを観閲するために高額な有料会員登録をしなければならず、「それだったら見なくていいや」となる人たちも多いと思います。ですが、動画一つに対して決済できるようになれば、「そんな少額なら…」と何百、何千倍という人が払いたいと思うようになるかもしれません。このように課金の心理的な障壁が低くなるということも革命的な決済手段といわれる大きな要因でしょう。
PayPalはインターネットのオンライン決済代行サービスです。今ネットで買い物をするときに、買い物をする各お店や仲介業者にクレジットカード情報を教えなければいけないです。PayPalではこの問題を解決するために、店と個人との間に仲介し、代行で決済を行います。つまり、カスタマーは店にクレジットカード情報を教えることなく、PayPalだけに教えれば決済が出来るのです。
ビットコインでの決済を導入したことで話題にもなりました。詳しくはこちらの記事を読んで下さい!!
2014年9月、ビットコイン界に走った衝撃。世界第2位の規模を誇るインターネット決済仲介会社PayPal(ペイパル)がビットコインでの支払いを導入しました。今後ビットコイン人気はますます高くなっていくものと思われます。
そんなPayPalですが、Micropaymentsという少額決済サービスを導入しています。通常PayPalでの決済は、手数料が3.6%+40円ですが、このMicropaymentsを使用するとその手数料が5.0%+7円になります。
では、いくらまでならMicropaymentsを使うとお得なのでしょうか。決済値段をXとすると、
X×1.036+40>X×1.05+7、つまり2357.14>Xなら、Micropaymentsがお得ですね。
しかし、これでもまだ1~10円で決済するには手数料が7円以上かかってしまい、マイクロペイメントが出来るとは言えません。
今までの少額の支払いシステムはポイント制などがよく使われていました。楽天で買い物をすると買った何割かポイントがもらえたりするあのポイントです。ポイントを使うことで、手数料をかけずに即座の決済が可能になり、マイクロペイメントが可能です。 しかし、登録がめんどくさい、サイトごとに別々のポイントを買わなきゃいけない、払い戻しができないなどのデメリットがあります。しかも、一番大きい問題としては、第三者の承認があるわけではないので、その運営元を信頼しなければならないということが挙げられます。極端な話、運営にそのポイントは使えません、と宣言されれば、そのポイントは何の価値も持ちません。
では、ビットコインを使ったマイクロペイメントだったらどうでしょうか。ビットコインは第三者の承認がマイニングという形で存在しているため、トラストレスです。その上、サイトごとに別々のものを使う必要もなく、払い戻しも可能です。そのため、ビットコインを使ったマイクロペイメントではポイント性での問題点は解決出来ます。しかしビットコインには別の問題があります。それは、ビットコインのトランザクションにマイナーフィーがかかるため手数料が高いことや、承認に10分かかり即座の決済が出来ないことです。これを解決する技術がマイクロペイメント・チャネルという技術なのですが、その前にそれを理解する上で、幾つか必要な知識を説明します。
ビットコインの送金は普通送金先のアドレスのPublic Key(公開鍵)にハッシュ値をかけたもので、受取人は秘密鍵で署名することで受取人であるということを証明します。この受取人の署名を複数人にしたい時に用いるのがマルチシグです。これの何がすごいかというと、契約途中に受取人が音信不通になったり、ばっくれたりしないように送金者と受け取り人の両者の署名がなければ使えないようにできます。しかも契約が遂行されなければ自動で返金されるという取引をオフチェーンで作っておけます。これによって持ち逃げが出来なくなります。
マルチシグの詳しい説明はこちらの記事を読んで下さい!!!
セキュリティ対策をするうえで知っておかなければならないマルチシグについて!秘密鍵がハッキングされても、秘密鍵をなくしても大丈夫ってどういうこと!?ネットショッピングやマイクロペイメントにまで影響を与える新技術を解説します。
ビットコインに導入されている仕組みで相対的な時限ロックをすることが出来ます。どういうことかというと、◯というトランザクションがマイニングされてから□ブロック後でないとネットワークに流すことが出来ないトランザクションをオフチェーンで作ることが出来ます。これが、次に説明するマイクロペイメント・チャネルでは大事で、実質的には無期限なペイメントチャネルを作ることが出来ます。
マイクロペイメント・チャネルとは、ビットコインでのマイクロペイメントを可能にした技術です。まず、サイドチェーンを使ってトランザクションをオフチェーンで処理します。そしてそれらをまとめた効率化されたトランザクションのみをブロックチェーンに書き込むという仕組みです。
もう少し、具体的な処理を説明します。例えば、コンテンツのユーザーAとコンテンツ提供者Bがいるとします。Aはそのコンテンツに対して一秒1satoshi(1BTC=100,000,000satoshi)を支払うとします。契約の期限は2日後までです。
ここで持ち逃げのリスクを考えてみましょう。
Aが途中で動画を見るのをやめたとしても、BはAが動画を見終わる1秒前までのトランザクションを持っているので精算が可能です。
Bが途中で動画提供をやめたとしても、Bが今までの精算をしようとしてトランザクションをネットワークに流せばAの資金が返ってきます。もし流さなかったとしてもトランザクション☆を流せばAのもとに1BTCが帰って来ます。
そのため、持ち逃げは不可能です。
つまり、2人で取引する場合にブロックチェーンには更新させないオフチェーン上でお金の行き来が行われ、期限が来るとブロックチェーン上で決済されるという仕組みです。そのため、ブロックチェーンに書かれる内容は、「A→ABに1BTC」「AB→Aに99,996,400satoshi」「AB→Bに3600satoshi」の3つだけです。なのでビットコインのトランザクションにマイナーフィーがかかるため手数料が高いことや、承認に10分かかり、即座の決済が出来ないという問題点は解決されます。
マイクロペイメント・チャネルでは、二人の間でチャネルというものを作らなければなりません。これを大人数相手に開設しようとするとチャネルの数が膨大になりすぎてしまい、スケーラビリティ問題が生じてしまいます。これを解決した技術がライトニングネットワークです。まだ実装はされていませんが、実装されればマイクロペイメントが現実のものとなると思います。
ライトニングネットワークの詳しい説明はこちらの記事を読んで下さい!
ライトニングネットワークって?ビットコインにsegwitが導入されたことで最近話題になっているライトニングネットワークですが、決済が早い!って情報しか知らない人も多いですよね。詳しい仕組みや問題点はないのか解説します!!!
マイクロペイメントの使い道は、BtoCだけではありません。IoTに利用することでマシンtoマシンの決済が可能になります。IoTとは、Internet of Thingsの略で全てのモノをインターネットに繋いで、自動操作や自動制御出来るようにしようとする考え方です。マイクロペイメントをIoTに取り入れることで、例えば、ガソリンを使った分だけ車が自動でお金を支払うや、インターネット回線を使った分だけ携帯が自動でお金を支払うといったことが可能になります。
現状IoTを叶えようとしているIOTAという暗号資産(仮想通貨)があります。IOTAはすでにマイクロペイメントを可能にしています。ビットコインのライトニングネットワークなどのソリューションとは全く違うアプローチをしているので、興味のある人は読んでみてください!
IOTA(アイオータ)は、IoTに最適な全自動決済システムです。皆さんはお釣りもらうの面倒くさい...と感じたことはありませんか?IOTAはそんな夢を叶えてくれます。全自動決済の可能性を考察してみました!
マイクロペイメントが実用化され数円単位の決済が可能になるというのは革命的なことです。暗号資産(仮想通貨)を用いてのマイクロペイメントは技術的な問題やスケーラビリティの問題など解決するべき課題は多いです。しかし、もしちゃんとマイクロペイメントが可能になれば暗号資産(仮想通貨)が様々な場所で使われるようになると思います。日常においても自動販売機で使えたり、IoTに応用出来たりと使える場面は多いと思います。
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