記事の概要

  • SECがICOトークンを「未認可証券」として違法判決を下す。これまでは詐欺まがいの事業が問題になっていたICOだが、トークンを問題資視した初の事例となった。
  • 今回のSECの判決を機にICOのあり方が大きく変わる可能性がある点が非常に重要。これからの行き先としてはSECの規制厳格化とSTO普及の二つが考えられる。

 

SECがICO発行元に違法判決を下す

SECが現地時間16日に開いた記者会見にて、Paragon社Airfox社が発行するICOトークンが未登録証券であると判決し、民事調停を行なったことが明らかになりました。SECへの登録をせずに投資契約に似た形で金融商品を販売するのは1934年以来米国で禁止されており、今回はICOトークンがSECの規約に違反するという判決が下されました。これを受けてParagonとAirfoxの両社は25万ドル(約2800万円)の罰金、さらに影響を受けた投資家への返済に同意をしました。

今回の決断に関して、SECは記者会見にて以下のような発言をしています。

今回我々はParagonとAirfoxの両社に25万ドルの罰金を課し、違法ICOトークンを購入したことで被害を受けた投資家への保証合意も締結した。そして問題となった2社は1934年証券取引法に基づいて発行するトークンを証券として登録することになる。さらに、最短でも一年間は等委員会に定期的な報告書を提出するよう義務付けた。AirfoxとParagonは以上の処罰を受け入れて今後実行に移していく。

SEC執行共同監督であるSteven Peikin氏はParagonとAirfoxに対する取り締まりを強化することで、詐欺防止のためにICOプロジェクトをSECに登録することを促進すると考えているようです。

SECの承認を受けていない違法ICOによって発行したトークンを購入した投資家に払い戻しの機会を与え、さらには発行主に証書を登録させることになった今回の決断は、今後ICOを発行する企業にとってのロールモデルとなり、連邦証券法の遵守により一層注意を払うようになるだろう。

今回の事件の重要ポイント

今回の事件はこれを機にICOのあり方が大きく変わる可能性があるという点で注目が集まります。特にICOによって発行したトークンが有価証券として使われてしまう事例に対して警鐘を鳴らしていると言えるでしょう。ICOに関して、これまではいわゆる「ICO詐欺」という事業の中身が問題視されていましたが、最近では発行するトークンが有価証券として働いていることが規制の対象理由となる事例が多くなっています。そんなトレンドを受けてか今回の事件ではこのような有価証券としてのトークンをSECは「未認可」であるために違反としています。

そして今後もこのような「ICOトークンの有価証券問題」というのは暗号資産(仮想通貨)業界でも大きな課題になってくるとCoinPartnerでは考えています。この問題の行き着く先は二つあると考えており、一つはSECによる規制厳格化。そしてもう一つはSTOの普及です。

SECとは米国証券取引委員会という名前の通り、投資家への安全で公平な証券取引の提供を目的とした連邦政府機関です。そのため、ICOトークンが証券として機能する場合には厳しい取り締まりを行うようになるのは当然と言えるでしょう。

それに対し、二つ目のSTOの普及というのはトークン発行側の対策と考えられます。「発行するトークンに証券的要素が帯びてしまうのが問題ならば最初から証券としてトークンを発行しよう」というのが根本的な発想です。これによりICOトークンは株などの金融商品のような側面も持つことになるでしょう。どちらの場合になっても、今後ICOのあり方が大きく変わるのではないかという点で非常に重要なニュースとなっています。