記事の概要

  • ソウル中央地方裁判所はノンヒョン銀行のCoinisの口座差し押さえに違法判決を下す。暗号資産(仮想通貨)取引所を支持する初の判決となった。
  • 一連の事件には取引所がマネーロンダリング対策を巡って銀行側から大きな重圧をかけられていた事が背景にあった。
  • 今回の判決では銀行からの重圧軽減の効果が期待される。

 

ソウル中央地方裁判所は取引所を支援する判決を下す

地元メディアの報道によると、ソウル中央地方裁判所は暗号資産(仮想通貨)を支援する判決を下したようです。韓国のノンヒョン銀行が預金の引き出しをはじめとした取引所の口座を停止した件に関して、暗号資産(仮想通貨)取引所のCoinisは先月裁判所に告訴をしていました。銀行側は金融委員会のAMLガイドラインを根拠に取引停止措置を取っていましたが、今週月曜日に開かれた法廷にてこの措置は違法であるという判決が下されました。この件についてアメリカのニュースサイトZDnetは「暗号資産(仮想通貨)取引所が銀行の取引停止措置に違法判決を下したのは初めての事例である。」と報道しています。

この事件に携わっているKim Tae-lim​弁護士は「この判決は、法的根拠なしに見境なく暗号資産(仮想通貨)取引所を規制することに警鐘を鳴らすという意味で非常に重要である。」と説明しています。

実名登録システムによるAMLが背景に

韓国政府は今年1月、AMLの一環として暗号資産(仮想通貨)取引所の「実名登録システム」を導入しており、この方針が事件の起こった背景になっています。本人確認手続きを行った者のみが入出金をできるようにするという内容ですが、このシステムを導入したのはBithumb,Upbit,Coinone,Korbit​の4つのみと普及率が低い事が問題になっていたのです。銀行側は実名登録システムを行っていない取引所ではマネーロンダリングのリスクが高まると主張しており、ノンヒョン銀行はBithumbやCoinoneに実名登録システムの導入を促していました。しかし、今年8月にはノンヒョン銀行との提携失敗による新規顧客登録の中止をBithumbが発表し、9月にはノンヒョン銀行の命令により個人認証が完了していないユーザーの法廷通貨の引き出しを中止していました。このように銀行側がマネーロンダリング対策と消費者の安全性を理由に取引所との契約拒否をする事例がここ数ヶ月で目立っており、韓国暗号資産(仮想通貨)市場の規模縮小が懸念されていました。しかし今回の判決によって、銀行からの重圧が減ってスムーズな運営ができるようになる事が期待されます。