アブダビグローバルマーケット(以下ADGM)は今週、「取引所やカストディアン、仲介業者などによって運用される暗号資産(仮想通貨)資産に関する規制枠組み」を制定したと発表しました。
ADGMはアブダビに拠点をおく国際金融センターであり、「世界各国の金融センターや規制当局と協力し、規制枠組みや法的管轄、さらには魅力的な労働環境を提供することで金融サービスの開発と支援を行う」と自社のウェブサイト上に記載されています。今回の規制枠組みに関して、ADGMは「マネーロンダリングなどの金融犯罪、消費者保護、技術ガバナンスなど、暗号資産(仮想通貨)運用に関連するあらゆるリスクに対応できるように設計されている。」と述べています。
そしてこの規制枠組みは今年5月28日に金融規制当局(FSRA)がパブリックコンサルテーションを終えた後に作成されたものであることが大きな特徴になっています。民間の意見取り込ていることでこの枠組みに幾らかの修正が加えられ、スライド制をベースにして暗号資産(仮想通貨)取引所に日常的に課税を行なうような方針を定めたのは大きな変更点です。
ADGMの金融規制当局CEOであるRichard Teng氏は規制枠組みに関して以下のようにコメントしています。
包括的で完璧に近い規制枠組みを導入することにより、FSRAは暗号資産(仮想通貨)運用に対する適切なガバナンスへの主導的な役割を果たしており、ADGMは暗号資産(仮想通貨)資産プレイヤーの選択肢の1つと位置付けています。
イギリスに拠点をおく大手通信会社ロイター社の報道によると、FSTAは2月に「正式な貨幣ではないが、暗号資産(仮想通貨)は商品やサービスの交換媒体として世界中で関心を集めている。」と述べており、その有用性には兼ねてから注目していました。そのため、規制枠組みはユーザーが安全に暗号資産(仮想通貨)を利用できるためのフォーマットと捉えることができます。
FSRAはまた、ADGMにおける暗号資産(仮想通貨)資産運用に関する34ページのガイドも発行しています。この文書では暗号資産(仮想通貨)ビジネスや取引所、さらには資産管理のための規制枠組みに関して説明しており、「Spot Crypto Asset Framework(暗号資産(仮想通貨)資産枠組み)の下で許可が降りる申請者は暗号資産(仮想通貨)ビジネスを行う上でFSP(金融サービス認可)が付与される」とされており、同枠組みでは以下のように掲載されています。
(ブローカーディーラー、カストディアン、資産運営者などの)市場仲介者や暗号資産(仮想通貨)取引所は、取引にあたって金融規制当局からの承認が必要になり、許可が下りた資産の範囲でしか運用ができないようになっています
そしてこの文書ではこの枠組みはICOには適用されないことも述べています。ICOに関しては、金融規制当局が去年の10月に別途指針を表明しています。
アブダビグローバルマーケットはアブダビの経済を活性化させるために様々な国外の金融当局と提携をしており、昨年9月には日本の金融庁と協力枠組みを構築したことでも話題になりました。
UAEでは暗号資産(仮想通貨)運用に対して積極的な姿勢を見せており、今年2月にはアブダビ銀行が中東で初めてリップルと提携したり、4月にはイスラム法でビットコインが合法化されたと報じられてBTC価格が高騰したりなど、UAEは暗号資産(仮想通貨)運用においても重要な位置を占めるのではないかと考えれらます。その中で枠組みを制定してリスクヘッジを行おうとする規制当局の考えは自然なものでしょう。今回の枠組みによって安全性・透明性が確保されれば市場全体に活気を与えられるのではないかと考えています。
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著者: CoinPartner 編集部 CoinPartner