EOSはシステム脆弱性を克服して6月9日に正式にメインネットを開始しましたが、チェーンが有効とみなされて通常機能が利用可能になる投票の閾値に達するまで一週間かかりました。このペースの遅さには批評家が40億ドルもの金額を投資したネットワークの有用性だけではなく実際にどの程度広く利用されるのかに疑問を呈する可能性があります。​

EOSメインネットのメリット

EOSメインネットは、経済産業界が注目しているスマートコントラクトを実行するために設計されたEthereumネットワークに対抗するために特別に開発されました。EOS開発者は、Ethereumが抱える問題としてネットワーク内の全てのノードが全てのトランザクションを登録する必要があるため、トランザクションの処理が遅いことをあげています。それに対してEOSメインネットは一秒に何千ものトランザクションを処理できる''21 block producers''を導入することでこの問題の解決を図っており、主に企業の業務サポートで利用されることが期待されています。''21 block producers​''はビットコインでいうところのマイナーに相当し、​ EOSトークン所有者のコミュニティーによって選出されます。また、EOSネットワークが構築されるまではEOSが過去1年間に売却したトークンは Ethereum​ネットワーク上に保管されていました。そしてメインネットがローンチされたと同時にこれらのトークンは凍結され、新しいブロックチェーンに移行された後に、 “21 block producers”​の投票が行われました。その約一週間後、投票率が稼働に有効な15%を超えたことから、正式にチェーンが有効になりました。

有用だが非中央集権的であるとの声も

MIT Technology Reviewに掲載された記事によると、閾値に必要な投票数1億5000万票に達し、 “21 block producers”​の選出は一日で行われるとされています。同記事ではわずか100のエンティティーが誰がシステムの運用をするのかを決める投票の75%を支配しているEOSブロックチェーンの中央分権性に疑問を呈しています。そして、EOSはメインネットのローンチ以降、期待とは裏腹に価格の下落を見せており、新しいブロックチェーンの立ち上げの遅れや投資機会の不満を示しているのかもしれません。このようなメインネットの不透明な道のりは、EOSのシステム有用性がユーザーにとっての利用価値や投資家にとっての投資価値があることを証明するにあたって大きな障害となるかもしれません。

コインパートナーの見解

​EOSメインネットのローンチは6月に入って最も注目の暗号資産(仮想通貨)ニュースの一つです。一秒間に何千万ものトランザクションを処理できるネットワークは非常に魅力的であり、時価総額は全暗号資産(仮想通貨)中5位と注目度が非常に高くなっていました。そのため、今回のメインネットローンチを発端にうまくいけばイーサリアムを超える可能性も0ではありません。

しかし、多くのユーザーが指摘しているように開発が遅れていることは不安要素になっています。メインネット移行の際にホワイトハッカーが脆弱性を指摘して発表が遅れたりなど、(今現在そのバグは解決したとされています)不完全なシステムは今後も大きな課題となるでしょう。

さらにはMIT Technology Review​の記事が疑問を呈した非中央集権性も暗号資産(仮想通貨)ユーザーは快く思わないでしょう。以上二点の改善にも注目しながら、EOSネットワークの動向を追っていきましょう。